数字で見るPMSの経済損失。女性が働きやすいと経済は活性化!

みなさん、「健康経営」を知っていますか? 「健康経営」とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組み実践すること。従業員へ健康投資を行うことは、モチベーションアップや業績の向上などにもつながると期待されている経営手法のひとつです。

「健康経営」は女性の健康を重要視

現在、国が推奨している取り組みのひとつ、「健康経営」。優れた健康経営をしている企業には、「健康経営銘柄」を顕彰したり、「健康経営優良法人認定制度」を設けるなど、社会的に評価を受けられる環境の整備も進んでいます。
そんな中、平成31年3月、経済産業省は「健康経営における女性の健康の取り組みについて」という女性の健康にフォーカスしたデータが発表されました。
「健康経営」に取り組む中で、関心が高いものを聞いた結果がこちら。

「健康経営」に取り組む中で、関心が高いものを聞いた結果がこちら

出典:経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて

一番多かったのが「女性特有の健康問題対策」。半数を越える56%という関心の高さでした。
これまで、健康経営を進める中でメタボ対策が重要視されてきましたが、ここにきて、健康経営の質を高めるには、“女性の健康に力を入れていこう!”という流れになってきています。

4,911億円ってなんの数字か、わかる?

バイエルン薬品株式会社と東京大学大学院医学系研究科の大須賀穣教授らのグループによる全国の女性約2万人を対象にしたインターネット調査から、女性特有の月経関連症状による1年間の社会経済的負担を試算すると……なんと、その額6,828億円!

女性特有の月経関連症状による1年間の社会経済的負担を試算

出典:経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて

そして、月経関連症状による1年間の労働損失、4,911億円!!
といことは、月経関連症状への対応を整えるれば、労働損失を大幅に減らせる可能性があるということです。

できる女性は、健康意識が高い!

多くの女性が社会で活躍している現在、日本の全従業員の約44%は女性。中でも、健康への意識が高い女性というのは、仕事もできるというデータもあります。

経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて」

出典:経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて

きちんとカラダと向き合うことのできる人ほど、仕事でも高いパフォーマンスを見せられるのです。さらに、こんなデータも。

出典:日本医療政策機構「働く女性の健康増進に関する調査2018」

出典:日本医療政策機構 「働く女性の健康増進に関する調査2018

健康意識の高い女性というのは、月経関連症状がある中でも、仕事のパフォーマンスが高いというのです。ということは、健康経営により、みんなが女性特有の月経関連症状への知識を高め、働きやすい環境になることで、さらに女性たちは大きな活躍を見せてくれることが想像できますよね。

働く女性のリアルなPMS

このように、女性が働きやすい環境を作ろうと進んでいる「健康経営」ですが、本格的にスタートしたのはここ数年。まだまだ改善すべき課題も多いようです。

「ルナルナ」による、生理痛や PMS の仕事への影響とピルの服薬に関するアンケート

「ルナルナ」による、生理痛や PMS の仕事への影響とピルの服薬に関するアンケート(調査実施期間:令和 2 年 1 月 10 日(金)~14 日(火) 調査対象:10~50 代以上の働く女性 2,094 名)

 

「健康経営」で取り上げられている女性特有の月経関連症状の中でも、やはり多くの人が悩まされているのが生理痛やPMS。実際、生理痛やPMSの症状が仕事に影響があると感じている女性は、約87%。

ホルモンのバランス変化で起こる月経前症候群(PMS)で仕事や昇進をあきらめる女性もいる

ホルモンのバランス変化で起こる月経前症候群(PMS)で仕事や昇進をあきらめる女性もいる(ホルモンケア推進プロジェクト調べ:35~59歳の女性500人対象)

さらにはPMSが、休暇をはじめ、昇進・退社という社会人にとっての大きな節目にも関わっているという結果もあります。
PMSにより、昇進を辞退、もしくは辞退を考えたことのある女性が60%以上。PMSにより、仕事を休むことがある女性が20%以上、さらには仕事を辞めたことがある女性が6.8%もいるのです。
毎月のことだからと我慢している人もいるかもしれませんが、時には女性の人生にまでも影響してくるPMS。社会全体で、きちんとした対応力を身につける必要があることは、間違いありません。

生理休暇は、約100年前のパワーウーマンたちの名残!?

日本には、労働基準法により、生理日の就業が著しく困難な女性が取得可能な休暇、生理休暇があります。実は生理休暇には、こんなストーリーがあります。最初に女性労働者が月経時の休暇を権利要求として声をあげたのは、第二次世界大戦前の1917年。戦後に法定化しようとしたところ、男女平等の観点から女性の特別扱いにあたるとGHQからの否定を受けました。が、女性活動家たちの熱心な運動により、GHQの反対を押し切り規定されたのです。まさに、日本の働くパワーウーマンたちが作った歴史のひとつと言えるでしょう。

しかし、昭和40年代には4人に1人が生理休暇を取得していたのですが、現在ではわずか0.9%。100人に1人も取得することのない休暇となっています。
取得低下の背景には、男女雇用機会均等法の成立や、女性の残業や深夜労働に対する制限がなくなったことが影響していると考えられます。様々な変化と共に、女性を守っている制度についても、見直すタイミングがきていると考えるべきなのかもしれません。

ちなみに、現在の生理休暇は生理日に限ったことではなく、PMSの時期にも取得可能な制度です。取得日数に制限もありません。ただ、有給休暇となるかは、会社によって異なるので、取得を考える際には、きちんと確認してくださいね。
出典:田口亜紗著『生理休暇の誕生』(青弓社)

 

ウィメンズ・ヘルス・アクション DATA BOOK 2019 ~PMS・うつ病・更年期・がん 4大お悩みを考える~

出典:ウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会「ウィメンズ・ヘルス・アクション DATA BOOK 2019 ~PMS・うつ病・更年期・がん 4大お悩みを考える~

PMSをはじめとする女性の月経関連症状に寄りそう「健康経営」が進んでいますが、これは一見、働く世代の女性だけに向けたものに感じます。ですが、実は、働く世代の女性たちが健康でいることは、健康な出産を実現することで「次世代への健康投資」にも繋がってくるのです。女性が働きやすい環境だと経済が活性化し、少子化対策にも繋がる。つまりは明るい未来のためにとても大切なことなのです。

経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて」

出典:経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて

PMS関連も多数!盛り上がりを見せる日本のフェムテック

最近、耳にすることが増えた「フェムテック」という言葉。なんとなく意味はわかるけれど、“一体なんのこと?”と疑問に思う方もいるかもしれません。でも実は、月経日管理や月経周期に寄り添ったダイエットアプリも「フェムテック」。ということは、すでに私たちも日々使っているのかも!?日本でも大きな広がりを見せている「フェムテック」とは?を探ります。

そもそも「フェムテック」って?

「フェムテック」とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせて作られた造語。女性が抱える健康やライフスタイルの課題をテクノロジーで解決、サポートするサービスやプロダクトを指します。この言葉は、ドイツの月経管理アプリを開発したデンマーク人が2012年に造ったといわれています。
その後、世界的に大きく成長し、2025年までには500億ドル(約5兆円)規模にまで拡大すると見込まれている巨大な市場となっています。

日本でも活動は盛んになりつつあり、生きやすい世界を目指すプラットフォームfermataでは、2020年4月にはじめて国内のフェムテックマーケットマップを発表し、51サービスが掲載されました。その約半年後となる2020年秋冬には、サービスは46増え、97サービスとグンと拡大。これを見るだけでも、注目度の高さ、成長のスピードがわかりますよね。

 

fermata「2020年秋冬 国内femtechマーケットマップ」

出典:fermata「2020年秋冬 国内femtechマーケットマップ

フェムテックの具体的なサービス・プロダクトって?

では具体的に、フェムテックのサービスやプロダクトには、どんなものがあるのか、各カテゴリーを見てみましょう。

☑︎PERIOD HEALTH/月経
月経に関係するもの。月経日管理アプリやサプリメントなど。今話題の吸水ショーツは、2020年4月版ではひとつだったのが、秋冬版では6つまで増加しました。

☑︎WOMEN WELLNESS/女性のヘルス全般
健康全般、包括的にヘルスケアをサポートするサービス等のこと。サプリメントやオンライン薬局、検査サービスやデリケートゾーンのケアアイテムなども含まれます。

☑︎SEXUAL WELLNESS/セクシュアル関連
女性器に使用するプレジャーアイテムをはじめ、性病検査キットなど。

☑︎FERTILITY&SOLUTIONS/不妊治療
平均初産年齢が上がるにつて、需要が高まっている不妊治療・妊よう性ジャンル。妊活系アプリやSNSを使ったサービス、葉酸サプリなど。

☑︎PREGNANCY&MOTHER CARE/妊娠中・産後ケア
妊娠中、産後のケアを目的としたサービスやプロダクト。アプリやオンラインで相談できるサービスも増えています。

☑︎MENOPAUSE/更年期
2020年4月版にはなく、秋冬版で追加されたのが、更年期。更年期カップルのコミュニケーションサポートやオンラインの相談サービスなど、今後の展開が楽しみなカテゴリーです。

みなさん、使ってみたいサービスはありましたか?

日本ならではの事情も!?

PERIOD HEALTH(月経)でもご紹介した話題の吸水ショーツですが、実物を見たことがない。ナプキンやタンポンみたいに、スーパーやドラッグストアで売ってる? と疑問に思う方も多いはずです。

というのも、実は日本には薬機法というものがあり、生理用ナプキンは医薬部薬品に指定され、使用材料や製品企画が法令により定められている商品で、なんと、吸水面や肌にあたる部分は「白」でなければいけないという色指定が存在します。つまり、この基準を満たしていないと生理用品として販売、表示ができないのです。

このような理由から、実際に使ってみれば、想像以上の吸収力で安心感があり、洗って繰り返して使えエコフレンドリーで優秀という吸水ショーツではありますが、現在限られた店舗のみでの販売となっています。
ですが最近、アフターピルについても動きを見せるなど、日々進化している日本のフェムテック業界。月経関連商品の扱いにも変化が起こるかもしれませんよね。素敵な進化を楽しみにしていきましょう!

世界のPMSマーケット。フェムテックが活発な欧米の最新事情

みなさん「フェムテック」という言葉を聞いたことはありますか? フィメール+テクノロジー=フェムテック。女性のヘルスケアやライフスタイルの課題をテクノロジーで解決、サポートするという意味の造語で、今、投資家たちも注目する世界的に拡大している分野なのです。

実は、未開拓の市場だった!

実は、未開拓の市場だった!

フェムテック市場とは、女性に関するデータを集め、最新のテクノロジーを使い、女性の課題を解決していくという、とても意義のある市場です。なぜなら、実は女性のヘルスデータは男性と比べ、圧倒的に少ないからです。

驚くべきことに、1993年までアメリカでは女性のデータは医学的な実験の対象になっていませんでした。それは、実験中に妊娠した場合、胎児に悪い影響が出てしまう可能性があるという理由からなのですが、そのため、薬や病気に関するデータは、すべて男性のカラダの影響を測り得たものであるということなのです。

その名残もあり、医療現場では男性のデータを使う傾向にあります。つまり、フェムテックの分野は、現代においてまだ未開拓なので、伸びしろが大きいというということなのです。

欧米でのフェムテック事情

フェムテック市場をリードしている欧米では、2000年ごろに女性用ヘルスケアアプリが登場しました。シリコンバレーでは今まで少なかった取締役やエンジニアのポジションに女性が就くことが多くなり、それが影響しフェムテック関連のスタートアップが増え、その後サブスクリプションやデバイスなどへ拡大していきました。

その後、市場は成長を続け2020年秋冬に発表されたfermataのデータによると、35カ国484社が開発に乗り出しています。

欧米でのフェムテック事情

出典:fermata「2020年秋冬 日本海外Femtechマーケットマップ

ミレニアル世代にフィットするデザインとコンセプトが鍵

ここで、話題のフェムテックをひとつご紹介します。2015年に誕生したサンフランシスコの「Cora」は、生理用品のサブスクリプションサービス。ユーザーの月経周期や経血量などに合わせ、適切な量の生理用品が送られてくるというシステムで、大変人気を集めました。

女性用のプロダクトはピンクにすればいいという流れを覆し、ケースのデザインをスタイリッシュにしたことが、現代の女性の感性にヒットした要因のひとつといわれています。さらに「Cora」で購入すると自動的に、生理用品の購入が難しいインドの貧困地域の少女たちに生理用品が寄付される仕組みになっています。

これが、社会貢献欲求の強いミレニアル世代に響き、600万ドルを調達できるスタートアップとなりました。
このように、フェムテックは憂鬱なだけの月経や月経前から解放され、自らと向き合う時間に変え、豊かな心持ちを与える力があると考えられます。

ピルでPMSをコントロールするのが主流の欧米

ピルでPMSをコントロールするのが主流の欧米

海外のフェムテックでは、服用管理のストレスをなくすためのスマートケースなど、ピルに関係する事業が多くあります。それは、海外では、ピル(低用量経口避妊薬)などを使って、女性自身が積極的にPMSや妊娠をコントロールする傾向が強いことが理由と考えられます。

例えばフランスのピルの内服率は、なんと30%以上。ちなみに、日本でピルが認められるようになったのは、米国に遅れること40年となる1999年で、服用率も2.9%と、フランスと比べると1/10ほど。PMSへの対処法の違いがあるようです。

出典:国連「Contraceptive Use by Method 2019

日々進化するPMSのソリューション

さらにPMS関連では、月経周期によって変化する女性のホルモンバランスに合わせたサプリメントを提供するパーソナライズサービスや、症状などを通院せずにオンラインで専門家に気軽に相談できるサービス、PMSや月経痛を和らげるウエアラブルデバイス、おりものの電解質を分析したり、尿からホルモン値を測定するアプリ連動型のデバイスなどが開発されています。
このように、海外ではPMSのソリューションが日々進化し、人によって異なる課題をも解決へと導けるような、生きやすい社会へと向かっていることは、間違いないようです。

100年前にはまだPMSはなかった!?PMSの歴史

近代では、女性の社会進出や役割の変化にともない、社会的ストレスが増え、女性特有の身体疾患の割合も増えているといわれています。なかでも、医学的な配慮が必要とされている疾患のひとつとして代表的なPMS(月経前症候群)ですが、比較的最近定義されたもので、今後も研究が進められ、新しく解明されていくことも多い症状のようです。

最初にPMSの症状が発表されたのは約90年前

PMS(Pre Menstrual Syndrome/月経前症候群)は、アメリカのロバート・T・フランクが、月経前7~10日ごろに精神的緊張症状などが現れる女性が多く、月経開始とともにその症状が消失することを発見。1931年に、症例とともに月経前緊張症と発表したのがはじまりです。

1953年には、イギリスのグリーンとダルトンが、精神症状だけではなく、月経前に起こるその他の多くの症状をまとめて「PMS(月経前症候群)」とすることを医学誌に発表、提唱しました。

世界、日本でのPMSの定義とは?

その後、欧米諸国ではPMSが広く知られ、1990年にはWHOの国際疾病分類 ICD−10に記載されるようになりました。

一方日本では、日本産科婦人科学会産婦人科用語集によると、PMSとは「月経前3〜10日の間に続く精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに減弱あるいは消失するものをいう」と定義はされているものの、日本心身医学学会診断・治療ガイドラインには、PMSの項目は存在していません。

また、産婦人科診療ガイドラインでは、米国産婦人科学会(ACOG)の診断基準を用いており、そこでは身体症状と精神状態を分け、少なくとも2周期以上にわたり周期的な症状変動があり、月経周期5~10日目の精神、身体症状に比べ月経前の症状の強さが30%以上増している場合にはPMSとして扱うべきと記してあります。

変化した女性のライフスタイル

変化した女性のライフスタイル

現段階では、病因・病態について明らかではない部分も多いPMSではありますが、時代の流れによる女性のライフスタイルの変化が一因として大きく関係していると考えられています。

また、昔の女性に比べ、現代の女性は出産回数が減っています。つまり、現代の女性の方が、生涯で起こる月経の回数が増えているのです。大きなエネルギーを伴う月経や排卵は、カラダへの負担も少なくないといえるのかもしれません。

 

現代の女性は出産回数が減っています

出典:Short RV:Proc R Soc Lond B Biol Sci.1976;195(1118):3-24. からの算出データを元に産婦人科医師/ウィメンズ・ヘルス・アクション 対馬ルリ子副代表が監修

今後に注目!日本における女性の健康への取り組み

現在、最初にPMSの症状について発表したアメリカや、PMSと名付けた欧州では、婦人科での受診頻度、PMSの認知度、自覚率などが日本と比べ高いといわれています。

このように、PMSをはじめとする女性特有の疾患への対応において、比較的歴史の浅い日本ではありますが、経済産業省が働く女性の健康推進を発表するなど、多くの団体や企業が、女性の健康を考えた政策を実行し、今後大幅に成長する分野として、近年、大きな注目を集めています。

PMS(月経前症候群)の原因ってなに?月経前の不調のメカニズムを知ろう!

月経が始まる前に起こる不調(頭痛、腹痛、だるさ、イライラなど)。その原因は未だ解明されていないのですが、卵巣から分泌される女性ホルモンが影響を与えていると考えられています。少しでも月経前の期間を快適に過ごすために、PMSの原因と緩和方法を探っていきましょう。

PMSの原因って?

PMSが月経と関係しているのは何となく分かるものの、どういったメカニズムで起きているのでしょうか。人によってもさまざまな症状が現れるPMSの原因は、まだ完全には解明されていません。

産婦人科専門医として多くの女性が抱えるお悩みに取り組んできた小川奈津希先生は、
「排卵を止めると軽くなるということがこれまでの経験から分かってきましたので、排卵に関わるホルモン動態の変化が原因なのでは?」と考えています。

排卵すると“プロゲステロン”というホルモンが出るので、それが原因でイライラしたり、便秘になります。そこで、“プロゲステロン”が出ないようにホルモンの働きをフラットにさせればよい、というのが小川先生の考えです。

排卵すると“プロゲステロン”というホルモンが出る

出典:ウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会「ウィメンズ・ヘルス・アクション DATA BOOK 2019 ~PMS・うつ病・更年期・がん 4大お悩みを考える~

PMSが重くなったり、軽くなったりするのはなぜ?

月経前に訪れるPMSをあまり感じない月、逆に仕事に行くのが辛い月や、友達との約束をキャンセルするほど気分がのらない月など、その時によってPMSの感じ方が違うと思っている女性も多いはず。

「楽しいことをしているとPMSのことを忘れてしまう人が多いと感じる」と、PMSで悩む多くの女性の相談にのってきた経験から小川先生は話します。

「リラックスしているときにはPMSは和らぎますが、仕事や家事、学校の勉強が忙しいとき、家族や友人ともめ事が起き精神的につらいときなどはPMSがひどくなる人が多い傾向にあります」

排卵を止めるのが効果的!?

戦前の夫婦の平均出生子ども数は4.27人でしたが、戦後大きく低下しました。2010年には 1.96人へと低下し、現在は少子化が社会問題になっています。

排卵を止めるのが効果的

「妊娠中や授乳中は月経がとまるので、PMSもなければ月経痛もありません。当時の女性は18歳頃から妊娠して40歳を過ぎても子供を出産していました。そのため排卵も長期間止められていたので、特に不調を感じることもありませんでした」(小川先生)

夫婦の完結出生児数*
国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2011年)
※注 対象は結婚持続期間15~19年の初婚どうしの夫婦(出生子ども数不詳を除く)。各調査の年は調査を実施した年。
*「完結出生児数」とは、結婚から15~19年の夫婦の平均出生子ども数。夫婦の最終的な平均出生子ども数とみなされる。
出典:厚生労働省「平成25年版厚生労働省白書 -若者の意識を探る-第3節

昔と比べて現代の女性は生涯月経数が約450回も増えているとも言われています。女性のカラダには、子どもを宿すために子宮と卵巣があるのですが、妊娠しないことで月経の回数も増えるため不調がでやすくなる、という考えも。

「月経や排卵は健康の証拠と思っていらっしゃるかもしれませんが、月経は妊娠しなかった結果でしかありません。妊娠をせずに、毎月排卵と月経を繰り返すことが不調につながるのです」。そこで有効なのがピルなのだと小川先生は話します。

PMSを“ホルモン剤”で緩和させる!

PMSを“ホルモン剤”で緩和させる!

「会社の同僚にPMSについて相談したところ、クリニックに行ってピルを処方してもらえば?と、勧められた」と、クリニックに足を運ぶ患者が増えたそう。ひと昔前に比べてピルを飲む女性が増え、PMSの認知度も高まっていると小川先生は実感しています。

「子育てができないくらいイライラしていて、でも仕事もこなさなくてはいけないけど無理!どうしたらいいですか?と、切羽詰まった様子で受診された方には、詳しく症状を伺って診断した後、ピルを処方しました」(小川先生)
ピルを飲むことで排卵を止め、妊娠しているときと同じような状況を作りPMSの症状を和らげる治療を行ったそうです。

「PMSの症状が軽くなったと喜んでいらっしゃいました。とても明るくなったその様子が印象的でした」。小川先生いわく、4カ月目くらいから患者さんの表情がガラリと変わったそうです。

PMSを緩和させるピルって?

一方では血栓症などのリスク
ピルは脳の下垂体に働きかけて、排卵をとめる作用があります。

「子宮の内膜を厚くしない効果もあるので、それによって月経血が減ります。さらに月経痛が軽くなる、貧血が軽くなる、排卵しないため卵巣がんの予防にもつながります」(小川先生)

一方では血栓症などのリスクもありますが小川先生は、
「吐き気、胸のはり、頭痛、不正出血など、マイナートラブルがおこりますが、飲み始めて3カ月間程度でおさまる場合がほとんど。マイナートラブルが出ない方も多いです」と話します。

ピルを処方してもらおうか、どうしようか迷っているみなさんの背中を押してくれる心強い言葉ですね。

PMSを“漢方”で緩和させる!

PMSを“漢方”で緩和させる!
最近では漢方を処方する産婦人科も増えているといいます。小川先生のクリニックでは月経に関わるお悩みに使うものは大きく3〜4種類あり、体質、体格などをみて処方します。

「胃腸が弱いとか、冷え性とか、人それぞれが持つ症状に合わせて処方します。例えば、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)は、滞った血のめぐりを良くして、のぼせや足の冷えを改善して、月経痛、月経不順などをよくする効果があると言われています。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、血行を良くして、水分代謝を整え余分な水分をとり除き、足腰の冷えや月経不順を改善する効果があると言われています」(小川先生)

PMSを“運動”で緩和させる!

PMSを“運動”で緩和させる!
薬や漢方を内服するのではなく別の方法で緩和したい場合は、適度な運動を心がけるのがおすすめと、小川先生は話します。

「マラソン、ウォーキング、ヨガなど、気軽に始められる運動を心がけてみてください。それ以外でも、自分がすっきりできる運動ならなんでもOKです」

カラダを動かすことで血の巡りがよくなり、肩こりやむくみなども和らぎます。ふくらはぎを動かすことで心臓に戻る血液が増えますので、むくみが軽減されます。リフレッシュすることでPMSが軽くなる人もいます。運動すると気分転換にもつながるので、精神面にもよい影響をもたらします。

PMSを“サプリメント”で緩和させる!

PMSを“サプリメント”で緩和させる!

運動と一緒に、PMSの症状を緩和させる栄養素を摂取すると効果的だそう。

「ビタミンB6、カルシウム、マグネシウム、鉄分、ビタミンCなどの栄養素を摂りましょう。全てを食品から摂ろうとすると、大量の野菜を摂取しなければならず食事が大変になります」(小川先生)

野菜ジュースは甘いだけでビタミンはほとんど入っていません。余計な糖分を摂らずに済むサプリメントは、効率的に栄養素が摂取できます。

PMSは“〇〇を摂らない”ことで緩和できる!

PMSは“〇〇を摂らない”ことで緩和できる!

積極的に摂取する以外にも、「カラダに不必要なものを入れないことも大切です」と小川先生は話します。

「カフェイン、アルコール、たばこの3つには気をつけてください。カフェイン、アルコールは飲みすぎないこと。適度に楽しむ分にはリラックス効果が得られる方もいるので問題ありません。たた、たばこは百害あって一利なし。ピルとの相性も良くないのでできるだけやめていただくようにお願いしています」

カフェインは特に注意が必要!!

カフェインは特に注意が必要!!

コーヒーを飲む時間がリラックスにつながる場合もありますが、カフェインの摂りすぎには注意が必要です。

「カフェインには目が覚め、気持ちがシャキッとするなど良い面もありますが、神経を興奮させることで精神症状を悪化させるなど悪い面もあります。イライラを増強させたり、興奮状態をさらに高める作用も」(小川先生)

コーヒーなどを好んで飲んでいる方でPMSがつらいなと感じるならば、少しの間カフェイン断ちをしてみてはいかがでしょうか。もし、その間に調子が良いと感じたならPMSの期間だけやめてみるなども有効です。

小川先生は、コーヒーの変わりに、心身ともに好影響を及ぼすハーブティーに置き換えることもすすめています。

PMSに繋がりそうな原因を知ることは、緩和方法の選択にもきっと役立つはず。自分に合った緩和方法を探りつつ、PMSをうまく乗り切っていきましょう!

もしかしたら、それPMSの症状かも!? 生理前にあらわれる心とカラダの変化をチェック!

もしかしたら、それPMSの症状かも!?  生理前にあらわれる心とカラダの変化をチェック!

最近やたらと眠い、食欲が止まらない、些細なことにイライラする……。意外と見過ごしがちな、ちょっとした心やカラダの変化。実はそれ、月経前に女性ホルモンの急激な変化が引き起こすPMS(月経前症候群)の症状かも!?

もし、月経3〜10日前からその症状が現れ、月経と共になくなるなら、PMSの疑いあり。人によって、月によっても現れ方が全く異なるPMSの症状は、200種類以上あると言われています。

その中でもメジャーな症状を〈精神面〉〈身体面〉のふたつに分けてご紹介。この中に、あなたに当てはまるものはありますか?

精神面

【チェックリスト】
□ イライラする
□ 怒りっぽくなる
□ 家族や身近な人に八つ当たりしてしまう
□ 気分が落ち込む
□ 不安
□ 緊張
□ ボーッとする
□ パニックになる
□ 気力が湧かない
□ 集中力がなくなる
□ 憂鬱
□ 情緒不安定
□ 泣きたくなる
…etc

PHYSICAL

身体面

【チェックリスト】
□ 肌が荒れる
□ カラダがだるい
□ 疲れやすい
□ 胸がはる
□ むくみ
□ のぼせ
□ 冷え
□ 充血
□ 食欲旺盛または食欲不振
□ 甘いものが食べたくなる
□ 腹痛
□ 頭痛
□ 関節痛
□ 喘息
□ 鼻炎
□ めまい
□ 下痢または便秘
□ お腹がはる
□ 体重増加または体重減少
□ 眠気または不眠
□ 吐き気
□ 動悸
□ めまい
…etc

症状が軽度であれ、自分のカラダの変化を知っておくことは予防医療にもつながります。また、上記の症状が月経とは関係のないタイミングで現れるなら、他の病気の可能性もあるので、まずは自分の月経周期との関連性をチェックしてみましょう。

 

PMS(月経前症候群)ってなに? 月経前にやってくる不調について知ろう!

PMSの特徴って?

女性のカラダは複雑でデリケート。25~38日と言われている月経周期に合わせてホルモン分泌量が変動するため、不調などが起こりやすいのです。

その不調の代表格がPMS。日本産科婦人科学会によるとPMSとは“月経開始の3~10日くらい前から始まる精神的、身体的症状で月経開始とともに減退ないし消失するもの”と、定義されています。

「PMSはだいたい20年前くらいから認知され、女性の関心も高まってきました。症状は身体的、精神的な不調がかなり多くの項目で存在します」。
産婦人科専門医として多くの女性が抱えるお悩みに取り組んできた小川奈津希先生が、PMSについて話してくれました。

PMSの症状って?

PMSのメカニズムはまだ解明されていませんが、カラダに現れる症状は分かっています。身体的、精神的な不調が多数存在しますが、代表的な症状はこちら。

☑︎身体的な症状:カラダがだるい・胸がはる・むくみ・腹痛・頭痛・吐き気
☑︎精神的な症状:イライラ・落ち込む・ボーっとする・八つ当たり・眠気

PMSの症状って?

ゼリア新薬工業「PMSと人間関係に関する意識調査」(2015年6月)
出典:ウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会「ウィメンズ・ヘルス・アクション DATA BOOK 2019 ~PMS・うつ病・更年期・がん 4大お悩みを考える~

PMSを感じる20~40代の女性1,200名に、ゼリア新薬工業株式会社がインターネットで、月経前に感じる精神的・身体的症状について調査(2015年6月実施)を行いました。その結果、月経前に感じる「イライラ」や「怒りっぽい」など、精神的なコントロールができない女性が多い傾向にあります。

小川先生も多くの患者さんを診察・治療してきた経験から「たいていの場合は、身体的、精神的な不調がミックスされていることが多く、お腹が痛くて、カラダがだるくて、眠くてイライラする、という方が多い印象です」と、話します。

PMSが現れる割合は? 症状が多く見られる年代は?

小川先生のクリニックでは、月経、おりもの、子宮頸がんなど15以上の診療項目があり、もちろんPMSも項目のひとつに含まれています。では、どのくらいの割合の女性が受診し、症状が多く見られるのはどの年代なのでしょうか。

「PMSだけで受診されるというより、月経痛とPMSがつらいという理由で受診される方が多く、全体の7~8割くらい。月経前に寝込んでしまい会社に行けないなど、日常生活に支障をきたす方も5%程度いるというデータもあります」

女性ホルモンの分泌量は思春期に増加し、月経のサイクルは10代後半から整ってくる人が多い傾向にあり、早い人ではPMSの症状が10代後半から発症する人も。症状が多くみられるのは20代後半で、月経の回数が増える20~40代になるにつれひどくなるケースもあります。

PMSが現れる割合は? 症状が多く見られる年代は?

出典:ウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会「ウィメンズ・ヘルス・アクション DATA BOOK 2019 ~PMS・うつ病・更年期・がん 4大お悩みを考える~

PMSと月経痛(生理痛)は違う!

PMSと月経痛(生理痛)は違う!

月経が始まる3~10日前、排卵後から始まる身体的、精神的な不調がPMS。月経痛は月経が始まる頃に現れる不調で、腰や骨盤周りの痛み、腹痛、頭痛、吐き気などがあり、PMSとは区別されます。

「月経前にはPMSがやってきて、月経が始まると月経痛に見舞われるなど、月の半分くらいはカラダの不調に悩まされている方も多くいらっしゃいます」

PMSの影に隠れている病気の予防も忘れないで!

PMSの影に隠れている病気の予防も忘れないで!

月経痛はさらに重くなるとさまざまな病気が隠れている可能性も。生活に支障ができるほど重い月経痛に悩まされるようになったら、病院を受診するのはもちろんですが、予防のためにも定期検査はしたほうがいいと、小川先生は強く訴えます。

「定期検査は子宮内膜症をはじめ、子宮頸がん、性感染症など、女性なら誰がいつ発症してもおかしくない病気の発見につながります。これらの病気を予防するために、1~2年に1度の検診は必ず受けていただきたいです」

今は駅ビルの中にも婦人科のクリニックが入っていることも多く、仕事帰りや出かけたついでに立ち寄れるクリニックを探しておくと便利です。

居住している自治体から子宮がん検診のお知らせも届くので、それをきっかけに近所のクリニックをかかりつけ医にするのもいいかもしれません。

PMSがさらにひどくなるとPMDD(月経前不快気分障害)に!

PMSがさらにひどくなるとPMDD(月経前不快気分障害)になる!

PMSの症状の中には、急に悲しくなったり、涙もろくなったり、怒りっぽくなったりなど、精神的な不調が特に強くなる方も。

「PMSの症状を訴える患者さんが圧倒的に多いのですが、感情面のコントロールがうまくいかず仕事や学校など、日常生活に大きな支障をきたすPMDDになっている方も稀にいらっしゃいます。PMDDはPMSに比べて深刻ですが、症状が複数現れるわけではなく感情の症状も必ずしも認めるわけではありません」(小川先生)

小川先生の話からも分かるように、PMSの症状を感じる女性はクリニックを受診する7~8割いるのに対して、PMDDで受診される方はほとんどいません。科学研究費助成事業が発表した研究成果報告書によると、PMDDの12カ月有病率は、月経のある女性の1.8~5.8%の間とされています。

月経前に感じる不快症状について理解は深まったでしょうか。さらにPMSについて知識を深めたい方は、PMSの原因や緩和方法も紹介していますので、ぜひご覧になってください。月経前も快適に過ごせるヒントが見つかりますよ。