PMS(月経前症候群)とは? 月経前にやってくる不調について知ろう!
INDEX
PMSの特徴って?
女性のカラダは複雑でデリケート。25~38日と言われている月経周期に合わせてホルモン分泌量が変動するため、不調などが起こりやすいのです。
その不調の代表格がPMS。日本産科婦人科学会によるとPMSとは“月経開始の3~10日くらい前から始まる精神的、身体的症状で月経開始とともに減退ないし消失するもの”と、定義されています。
「PMSはだいたい20年前くらいから認知され、女性の関心も高まってきました。症状は身体的、精神的な不調がかなり多くの項目で存在します」。
産婦人科専門医として多くの女性が抱えるお悩みに取り組んできた小川奈津希先生が、PMSについて話してくれました。
PMSの症状って?
PMSのメカニズムはまだ解明されていませんが、カラダに現れる症状は分かっています。身体的、精神的な不調が多数存在しますが、代表的な症状はこちら。
☑︎身体的な症状:カラダがだるい・胸がはる・むくみ・腹痛・頭痛・吐き気
☑︎精神的な症状:イライラ・落ち込む・ボーっとする・八つ当たり・眠気
ゼリア新薬工業「PMSと人間関係に関する意識調査」(2015年6月)
出典:ウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会「ウィメンズ・ヘルス・アクション DATA BOOK 2019 ~PMS・うつ病・更年期・がん 4大お悩みを考える~」
PMSを感じる20~40代の女性1,200名に、ゼリア新薬工業株式会社がインターネットで、月経前に感じる精神的・身体的症状について調査(2015年6月実施)を行いました。その結果、月経前に感じる「イライラ」や「怒りっぽい」など、精神的なコントロールができない女性が多い傾向にあります。
小川先生も多くの患者さんを診察・治療してきた経験から「たいていの場合は、身体的、精神的な不調がミックスされていることが多く、お腹が痛くて、カラダがだるくて、眠くてイライラする、という方が多い印象です」と、話します。
PMSが現れる割合は? 症状が多く見られる年代は?
小川先生のクリニックでは、月経、おりもの、子宮頸がんなど15以上の診療項目があり、もちろんPMSも項目のひとつに含まれています。では、どのくらいの割合の女性が受診し、症状が多く見られるのはどの年代なのでしょうか。
「PMSだけで受診されるというより、月経痛とPMSがつらいという理由で受診される方が多く、全体の7~8割くらい。月経前に寝込んでしまい会社に行けないなど、日常生活に支障をきたす方も5%程度いるというデータもあります」
女性ホルモンの分泌量は思春期に増加し、月経のサイクルは10代後半から整ってくる人が多い傾向にあり、早い人ではPMSの症状が10代後半から発症する人も。症状が多くみられるのは20代後半で、月経の回数が増える20~40代になるにつれひどくなるケースもあります。
出典:ウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会「ウィメンズ・ヘルス・アクション DATA BOOK 2019 ~PMS・うつ病・更年期・がん 4大お悩みを考える~」
PMSと月経痛(生理痛)は違う!
月経が始まる3~10日前、排卵後から始まる身体的、精神的な不調がPMS。月経痛は月経が始まる頃に現れる不調で、腰や骨盤周りの痛み、腹痛、頭痛、吐き気などがあり、PMSとは区別されます。
「月経前にはPMSがやってきて、月経が始まると月経痛に見舞われるなど、月の半分くらいはカラダの不調に悩まされている方も多くいらっしゃいます」
PMSの影に隠れている病気の予防も忘れないで!
月経痛はさらに重くなるとさまざまな病気が隠れている可能性も。生活に支障ができるほど重い月経痛に悩まされるようになったら、病院を受診するのはもちろんですが、予防のためにも定期検査はしたほうがいいと、小川先生は強く訴えます。
「定期検査は子宮内膜症をはじめ、子宮頸がん、性感染症など、女性なら誰がいつ発症してもおかしくない病気の発見につながります。これらの病気を予防するために、1~2年に1度の検診は必ず受けていただきたいです」
今は駅ビルの中にも婦人科のクリニックが入っていることも多く、仕事帰りや出かけたついでに立ち寄れるクリニックを探しておくと便利です。
居住している自治体から子宮がん検診のお知らせも届くので、それをきっかけに近所のクリニックをかかりつけ医にするのもいいかもしれません。
PMSがさらにひどくなるとPMDD(月経前不快気分障害)に!
PMSの症状の中には、急に悲しくなったり、涙もろくなったり、怒りっぽくなったりなど、精神的な不調が特に強くなる方も。
「PMSの症状を訴える患者さんが圧倒的に多いのですが、感情面のコントロールがうまくいかず仕事や学校など、日常生活に大きな支障をきたすPMDDになっている方も稀にいらっしゃいます。PMDDはPMSに比べて深刻ですが、症状が複数現れるわけではなく感情の症状も必ずしも認めるわけではありません」(小川先生)
小川先生の話からも分かるように、PMSの症状を感じる女性はクリニックを受診する7~8割いるのに対して、PMDDで受診される方はほとんどいません。科学研究費助成事業が発表した研究成果報告書によると、PMDDの12カ月有病率は、月経のある女性の1.8~5.8%の間とされています。
月経前に感じる不快症状について理解は深まったでしょうか。さらにPMSについて知識を深めたい方は、PMSの原因や緩和方法も紹介していますので、ぜひご覧になってください。月経前も快適に過ごせるヒントが見つかりますよ。
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