ココロの処方箋

SEXUAL WELLNESS

連載

by 小嶋 美樹

【公認心理師・山名裕子先生のココロの処方箋】〈CASE:9 〉セックスを上手く断るには“かわいく焦らす”「ツァイガルニク効果」を試してみよう!

月経やPMS(月経前症候群)、セクシャルな問題など、女性には特有の悩みや不調がつきものです。その症状は、痛みとなって身体に現れるだけでなく、時に女性の心にも重くのしかかります。なかなか人に話すことができないそんな女性特有の心の問題への対処法を、公認心理師の山名裕子先生に伺います。

〈今回のお悩み〉

「付き合って2年になる彼氏がいます。彼のことは好きなのですが、どうしてもセックスに気乗りしない日もあり……。でも、それを彼に言い出すことができず、結局は応じてしまうのです。彼に嫌われないようにセックスを断るよい方法はないでしょうか?」(30代・自営業)

「誘いを断る=嫌われる」ではない

「日本人女性のなかには『パートナーの誘いを断る=嫌われる』との公式が脳内に出来上がってしまっている人が少なくないように感じます。今回は、そうではなく、相手を傷付けない断り方や伝えた方もあるのだということを知っていただきたいなと思います。

たしかに、『妻を誘ったのに断れられることが続いて、プライドが傷ついてしまうケース』も中にはあります。ただそれは女性側が、自身を守るためではあるものの、相手を傷付けてしまうような伝え方をしてしまったからであり、相手に嫌な思いをさせない上手な断り方もあるのです」(山名先生、以下同)

―「相手を傷付けない上手な断り方」とは、具体的にはどんな方法なのでしょう?

「最も重要なのは、『今日、私がセックスに応じられないのは、決してあなたのせいではない』ということを相手にきちんと伝えることです。パートナーからセックスを断られた男性が、『僕のことを好きでなくなったのかな?』とか、『自分のセックスがよくないのかな?』と自分を責めたり、プライドが傷付いたりしない方法で断ること。

具体的な方法のひとつとして、体調を理由にすることでしょう。その際に大切なのは、それを相手に伝えるタイミングです。たとえば、彼といい雰囲気になってベッドに誘われるタイミングになったときに、『ごめん、今日は体調が悪いからしたくない』と伝えるのは、できれば避けたほうがよいでしょう」

伝えるタイミングがポイント!

―では、いつ伝えるのがベストなのですか?

「誘われてしまってから断るのではなく、前もって相手に伝えておくのです。女性にはPMSの症状や月経前のホルモン変化によって、セックスに積極的になれない日もあります。そのことを普段からきちんと話し合っておくことが最善策ですが、もしそれが難しい場合には、たとえば今夜、セックスをするかもしれないと思う日には、自分の体調の悪さを夕方や昼間ぐらいから前もってパートナーにアピールしておくことです」

―たしかに「今夜はセックスをする気分ではない」と昼間からパートナーに伝えるのは難しくても、「今日はお腹が痛くて」とか「身体がなんだかだるいんだ」となら、前もって話すことができる気がします。

「そうですよね。女性が言いやすいだけでなく、そうすることでパートナーも『今夜はセックスをしないほうがいいかな』と、心の準備をすることができますよね。気分が高揚したなかで断られてショックを受け、お互いに気まずい思いをする事態もあらかじめ避けることができるのです」

相手を傷付けずに断る「ツァイガルニク効果」

「ただ、何度も『体調が悪い』とアピールするのは、なんだか気が引ける……という方もいらっしゃるでしょう。そこで、もうひとつの方法としておすすめなのが、セックスを敢えてかわいく焦らすことです。たとえば軽いキスまで進んだ段階で、『今日はここまでね。続きは次回のデートでしようね』と言って、その日のセックスを断る方法です」

―それはかなりの上級者テクニックですね!

「実はこの方法は、相手を傷付けずにセックスを断るのに効果的なだけでなく、相手がより自分に興味を持ってくれる可能性の高い方法なのです。心理学の世界では、これを『ツァイガルニク効果』と呼んでいます。

人は達成できた事柄よりも、途中でやめてしまった事や、まだ終わっていない途中の段階の事の方が記憶に残りやすいのです。この現象を『ツァイガルニク効果』と言います。

たとえば、テレビの連続ドラマには、最終話以外にはいつも続きがありますよね。物語を途中で強制的にストップされてしまうため、次回がものすごく気になったりしませんか?インターネットの記事などでも、1ページ目よりもクリックした先にある2ページ目のほうが気になったり……。そんな人間の心理を利用した理論が『ツァイガルニク効果』なのです」

相手の誘いに100パーセント応じる必要はない!

「自分が興味を持っている対象や事柄がいったん遮断されることで、以前よりもより強く気になってしまう、というのが『ツァイガルニク効果』の原理です。恋愛においても、キスまではするけれども『その続きは次ね』と待たされることで、相手の興味をより自分に引くことができるとも言えるのです。

この理論を上手く取り入れて、相手のプライドを傷付けたり悲しませたりすることなく、上手にセックスを断ることができたら、お互いにとってプラスになることは間違いありません」

―たしかにその「おあずけ」な感じ、男性は嫌いじゃない気がします(笑)。

「そもそも、相手の誘いに100パーセントで応じることが恋愛においてベストというわけではないのです。セックスも、相手を傷付けることなく上手に断ることができれば、時には断ることも関係性の上ではプラスに働くことがある、という認識をまずは持っていただきたいなと思います」

セックスの誘いを何度も断っているうちにセックスレスになってしまうカップルは非常に多いそう。だからと言って、自分の本心を隠し、無理にパートナーの要求に応えることをくり返すことは、女性の心身の健康にとってよいことではありません。今回の山名先生のアドバイスをぜひパートナーとの良好な関係作りに役立ててみてください。

山名裕子氏

1986年生まれ、静岡県浜松市出身。公認心理師。「やまなmental care office」を東京青山に開設。心の専門家としてストレスケアからビジネス・恋愛などの悩みへのカウンセリングを行っている。メディア出演や講演会活動も多数。

山名裕子YouTubeチャンネル:「心の専門家チャンネル

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小嶋 美樹

編集者、ライター、ディレクター。大学卒業後、出版社に勤務し、女性誌や実用書・ビジネス書の編集、WEBディレクターなどを経て、2020年からフリーランスに。現在は主にインタビュー記事や女性のライフスタイル・子供の教育系記事の執筆、韓国エンターテインメント記事の編集・執筆など行う。趣味は旅行で、今一番欲しいものは子供たちと日本中を旅して回れるキャンピングカー。