by 木川誠子

肛門とオーガズムの関係性。快感を伝達する部位?

女性の身体には、快感を得るためだけの臓器であるクリトリスがあります。その隣には肛門があり、快感を伝達する役割があるのだとか。セクシャルウェルネスを考えるうえで切り離せない関係性がありそうな肛門とオーガズムについて、国家資格を保有し、女性限定の膣サロンを主宰する鍼灸師の栗本夏帆先生にその関係性を教えていただきました。

まずはオーガズムについて知ろう

「オーガズムとは、性行為中に感じる気持ちいい、心地いいという状態のより強い快感のことを言います。具体的には、身体的に刺激を受けたことによって、臓器であるクリトリスが快感をキャッチアップ。その刺激と快感が脳に伝わることで、筋収縮が8~12回ほど起こっている状態です。

大切なのは、身体的に受けた刺激と気持ち良さが脳に伝わること。身体と脳の両方に刺激と快感が伝わることでオーガズムが起こります」(栗本先生・以下同)

快感は肛門を経由して脳へ

「女性はクリトリスで快感をキャッチアップすると骨盤で収縮が起こり膣と肛門で、男性の場合は肛門だけで感知されて脳に伝達されます。

肛門は膣と壁1枚を隔てて隣に位置しています。外側から見ると、デリケートゾーンからお尻のほうに向かって、膣→会陰(個人差はありますが長さは約3cm程度)→肛門の順です。消化管の最後に位置する開口部なので、基本的な役割は便を排出するための場所なので、肛門自体が快感を得ているわけではありませんが、経由して脳へと伝わっていきます。そして、オーガズムが起きているときは肛門の筋肉も収縮していると言われているため、快感を広げてくれる役割を担っていると言えます」

肛門にあるふたつの筋肉を知っておこう

快感を広げる役割を担っていると考えると、肛門の構造を知ることはセクシャルウェルネスの知識となりそうです。

「簡単に仕組みを説明しますと、肛門は内肛門括約筋(ないこうもんかつやくきん)と、その外側にある外肛門括約筋(がいこうもんかつやくきん)というふたつの筋肉で取り囲まれています。

内肛門括約筋は自律神経によってコントロールされており、自分の意志でどうこうすることはできません。また、自律神経に関係していることから、ストレスなどの影響を受けることも考えられます。

もうひとつの外肛門括約筋は脊髄神経で支配されているため、意識して締めたり緩めたりすることができます。例えば、人前でおならが出そうになったときに我慢ができるのは、外肛門括約筋のおかげです」

外側の筋肉を鍛えるのも快感の手助けに

「また、筋肉は衰えていくため、自分の意志で動かせる外肛門括約筋は鍛えることを意識してみてください。信号待ちなど、立ち止まっているときにお尻をキュッと締めるだけでも有効的です。骨盤底筋群と合わせて、肛門の筋肉も意識してみてください」

オーガズムがどうやって起きるか、肛門がどう関係しているかを知ることは、自分の身体を知ることにつながります。自分が気持ちいい、心地いいと感じる状態を大切にしながら、センシュアルウェルネスに向き合ってくださいね。

 


栗本夏帆先生
くりもと・かほ グラン治療院の統括院長。国家資格を保有する鍼灸師として活動しながら、「一般社団法人 日本温活協会」の温活士としても活躍。女性限定の膣サロンを立ち上げるなど、勉強会や啓もう活動にも励んでいる。2022年4月22日は初の著書となる『うるおいの膣レッチ』(光文社)を刊行予定。https://biyoshinkyu.net/

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木川誠子
出版社勤務を経て2009年よりライター・エディターのフリーランスとして活動。ウェルネスや美容、ライフスタイルのコンテンツを発案し、ディレクションから執筆まで一貫して携わる。2016年から兼ねてより関心のあったフェムテック領域に本格的に取り組み始め、フェムケアをはじめ、五感を通して自分を知るための”フェムアートプロジェクト”を立ち上げる。2022年には「株式会社k company」を設立し、その実践の場を創造・提供している。ライフオーガナイザー1級/アロマ心理/公認フェムテックマイスター(TM)