PMS/生理 ココロの処方箋 連載 by 小嶋美樹

【読者のお悩み】生理前になると不安が強くなって彼に大量メール…どうすれば止められる?

月経やPMS(月経前症候群)、セクシャルな問題など、女性には特有の悩みや不調がつきものです。その症状は、痛みとなって身体に現れるだけでなく、時に女性の心にも重くのしかかります。なかなか人に話すことができないそんな女性特有の心の問題への対処法を、公認心理師の山名裕子先生に伺います。

〈今回のお悩み〉

「生理が始まる少し前になると、急に不安感が押し寄せ、心が不安定になりがちです。その時期になると、付き合っている彼氏が本当に私のことを好きかどうか不安になり、夜中に大量のメールを送ってしまうことも。彼を困らせたいわけではないのに、どうすればいいのでしょう?」20代・会社員女性)

不安な気持ちを紙に書き出してみる

「月経が始まる3~10日ほど前になると、だるくなったり、眠くなったりといった変化が身体に現れたり、イライラや気分の落ち込みといった心の不調が現れる症状のことをPMSと言います。今回の相談者さんも、このPMS症状によって不安感が増しているのではないかと考えられます(山名先生・以下同)

日本では、月経のある女性の約7080%が月経前に何らかの症状を感じ、そのうち日常生活に支障をきたすほどの強いPMSを示す女性の割合も5%ほどいると言われています。(1)不調の原因がPMSに起因しているものだと気が付いていない女性も多いそうですね。

「そうなんです。PMSの症状は、月経前の黄体期に身体のなかで起こる女性ホルモンの急激な増減によって引き起こされると考えられています。辛い症状がPMSによるものか否かを見極めるためにも、月経が始まる頃にそれらの症状がどうなっているのかをチェックしてみてください。月経開始とともに症状が治まる場合は、PMSの可能性が高いと考えられます」

―PMSの症状が出る時期にパートナーとのトラブルが増える、という女性は多いのでしょうか?

「そういった女性からの相談は多いですよ。

一番身近な存在であるパートナーに、イライラや不安感の矛先が向いてしまうケースが少なくありません。こういった困りごとを抱えている女性へのカウンセリングでは、まずはその漠然とした不安感や辛さを紙に書き出していただくようにしています。たとえば10分と時間を決めて、心に浮かんだ思いを自由に書き留めていただくのです」

生理が始まってみると「なんてことない」

それはどういった効果があるのでしょう?

「その後、月経が始まって気持ちが安定しているときに再びお越しいただき、前回、書き留めたメモをクライエント様と一緒に振り返って分析をします。私が、この頃はこんな風に思っていたようですが、今はどうですか?とお聞きすると、何でこんな風に感じていたのか、今読み返すと信じられないとおっしゃる方も多いのです。

たとえば、月経前の心が不安定になっている時期に、仕事が忙しいと彼があまり会ってくれないが、本当はもう私のことなど愛していないに違いないとか、残業と言いつつ浮気をしているのではないかと不安で、返事が来るまで何通もLINEを送ってしまう。本当は止めたいのに……”などと書き綴っていた女性がいたとします。

彼女にPMSの症状が出ていない時期にそれを読んでもらうと、何も根拠がないのに勝手に彼を疑って、不安になっていたのが不思議で仕方ない”“今はこの気持ちはまったく感じないとおっしゃったりするんです」

たしかに自分の心が不安定になると、相手は何も悪くないのに、勝手にマイナスな妄想が膨らんだりしますよね。

「紙に書き出し、自分の気持ちを客観視することで、次に同じような症状が現れたときには、これは一時の感情にすぎないのだから、彼を振り回すような行動はやめておこうと、冷静な判断ができるようになります。それに、時間を決めて自分の気持ちを書き出す行為自体も、実は大事なメンタルケアの一環なのです」

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小嶋美樹
編集者、ライター、ディレクター。大学卒業後、出版社に勤務し、女性誌や実用書・ビジネス書の編集、WEBディレクターなどを経て、2020年からフリーランスに。現在は主にインタビュー記事や女性のライフスタイル・子供の教育系記事の執筆、韓国エンターテインメント記事の編集・執筆など行う。趣味は旅行で、今一番欲しいものは子供たちと日本中を旅して回れるキャンピングカー。