ココロの処方箋

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EDITOR's CHOICE

by 小嶋 美樹

【公認心理師・山名裕子先生のココロの処方箋】〈CASE:10〉過去の恋のトラウマは元カレが原因!?「客観視と自分磨きで乗り越えましょう」

月経やPMS(月経前症候群)、セクシャルな問題など、女性には特有の悩みや不調がつきものです。その症状は、痛みとなって身体に現れるだけでなく、時に女性の心にも重くのしかかります。なかなか人に話すことができないそんな女性特有の心の問題への対処法を、公認心理師の山名裕子先生に伺います。

〈今回のお悩み〉

「3年前に別れた元カレに当時よく言われていた『胸が小さいね』とか『もっと痩せたら?』などの言葉が今も忘れられず、自分の容姿やスタイルに自信が持てません。次の恋愛に進む勇気を取り戻すためにはどうしたらよいのでしょう?」(20代・会社員)

「問題は元カレにある」と自覚することが大切

「人にはそれぞれが理想とするボディ・イメージがあります。そのため、たとえ誰もが羨むスタイルの持ち主であっても、自分の身体に100パーセントは満足していなかったり、人には言えないコンプレックスを抱えていたりするのです。『どんな人でもみんな、何かしらのコンプレックスを抱えて生きているのだ』ということを、まずは今回の相談者様に知っていただきたいなと思います」(山名先生、以下同)

―それでも大好きな人から言われた「胸が小さい」とか「痩せたら?」の一言はキツイですよね……。

「そうだと思います。ただ、今回の相談者様の元カレのように、相手を傷付けるような発言をしてしまう人の場合、問題はその元カレのほうにある場合が多いのです。もしかすると、その元カレも何かしらの強い劣等感を抱えていたのではないでしょうか? 

劣等感ゆえに自分が最も言いやすい相手である彼女に対してだけは優位に立とうと、敢えてネガティブなワードをぶつけ続けていた可能性も考えられます。だとすれば、問題視すべきは元カレのほうであって、相談者様が過去に言われた言葉に囚われ続けるべきではないのです」

―でも、自分のことを冷静にそう分析できる人は多くないような気がします。

「そうですよね。ただ、トラウマになっている事柄を克服するためには、まずは『これは私の問題ではなく、彼の問題なんだ』と、正しい認識を持つことが大切なのです。その判断が自分自身では難しい場合には、専門家によるカウンセリングを利用するなどの方法もおすすめです」

―たしかに、心が健全な人であれば、恋愛中の相手を貶めるような発言を繰り返すはずはないですもんね。

「その通りです。『彼の問題だったんだ』と正しく認識し、自分の心に渦巻く感情を一旦終わらせてあげることが何よりも重要なポイントなのです」

努力する行為自体が自信に繋がることも

「彼の行為を正しく認識した上で改めて自分自身を見つめ直した際に、それでも自信の持てない箇所があるのであれば、ポジティブな努力をして改善を図ってみることもおすすめです。

『もう少し痩せたい』と思うのであれば朝のジョギングを始めてみるとか、『胸が小さいのがコンプレックス』と言うなら、バストアップのための筋トレやマッサージのケアをしてみるとか……。たとえ見た目が大きくは変わらなかったとしても、努力をするその行為自体が自信に繋がる可能性もあるからです」

―たしかに、人からみたら変化がないような些細なことでも「私は頑張った」と、自分で自分のことを認めてあげた途端に、なにかが吹っ切れることってありますよね。

「あとは今のコロナ禍が落ち着いたら、銭湯や温泉に行ってみるのもいいかもしれませんね。メディアやSNSを通して入ってくる情報のなかでは、理想の体型の女性ばかりに目がいってしまうかもしれませんが、現実は必ずしもそうとは限りません。現実を客観視できれば、ありのままの自分自身をもっと認めてあげられるようになるかもしれませんよ」

コロナ禍に無理に出会いを求めなくてOK

「それに、あなたが完璧だと思っている体形がすべての人にとっての理想形だとは限りません。好みや理想は人それぞれです。元カレに指摘され続けた体形が好きだと思ってくれる人も必ずいるはず。そのことを分かってほしいなと思います」

―そうして勇気を出して手に入れた次の恋が、よりプラスに働くこともありますか?

「もちろん考えられます。人間の心と身体は思っている以上にリンクしているのです。恋をして女性ホルモンが活性化されることで心身ともに健康になり、生き生きとした美しさが増すことは大いにあり得ます。

しかし、今の新型コロナウイルス感染拡大が続く日々のなかでは、新しい恋を求めることすらはばかられる人も多いのではないでしょうか? そんなときには、無理をして出会いを求める必要はありません」

―今は次の恋愛に歩を進められないとなると、他なる手は何かあるのでしょうか?

「たとえば最近よく言われている『推し活』もおすすめです。大好きなアイドルやK-POPスターなどの推しを作ることで、日常が華やかになりますし、リラックス効果からホルモンバランスが整うことも考えられます。

ドキドキする気持ちは日々のポジティブなエネルギーにもなるでしょう。今、新たな出会いを見つけられず悶々としている人には、まずはそういう手段で自分磨きをするという方法もあるのだということをぜひ伝えたいです」

勇気をもって一歩を踏み出し、新たな恋にコマを進める気持ちは大切だけれど、焦りは禁物です。新型コロナウイルスの感染拡大が終息し、安心して日常生活が送れるようになるまでは、自分磨きに精を出すのもいいかもしれません。

山名裕子氏

1986年生まれ、静岡県浜松市出身。公認心理師。「やまなmental care office」を東京青山に開設。心の専門家としてストレスケアからビジネス・恋愛などの悩みへのカウンセリングを行っている。メディア出演や講演会活動も多数。

山名裕子YouTubeチャンネル:「心の専門家チャンネル

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小嶋 美樹

編集者、ライター、ディレクター。大学卒業後、出版社に勤務し、女性誌や実用書・ビジネス書の編集、WEBディレクターなどを経て、2020年からフリーランスに。現在は主にインタビュー記事や女性のライフスタイル・子供の教育系記事の執筆、韓国エンターテインメント記事の編集・執筆など行う。趣味は旅行で、今一番欲しいものは子供たちと日本中を旅して回れるキャンピングカー。