お悩み相談室 連載 by 小嶋美樹

「甘い物のドカ食いOK」「頑張りすぎNG」…日々の工夫で症状が緩和される「薬に頼らないPMS治療」とは?

「こうあるべき」の思い込みで負のスパイラルに陥ることも

他にもPMSの症状を緩和させる日々の工夫はありますか? たとえば「生理前になると眠くて仕方ない」という悩みを抱えている女性も多いかと思うのですが…… 

「『あんなに寝たのに、なんでまだ眠いんだろう?』と思っている方も多いかもしれませんが、日中に眠くなるのは、夜間の睡眠の質が悪いからです。だから、夜に熟睡できるような工夫をお伝えします。

『昼間、少しでもいいから身体を動かしてみましょう』とか、『寝る前にパソコンやスマートフォンの画面は見ないでね』、『夕飯は寝る3~4時間前までに終わらせてみようか』などのお話をして、夜の睡眠の質を上げる工夫を一緒に考えていきます」

睡眠についての記事はこちら:

PMS期の「日中の眠さ」は夜眠れていないことが原因!? 熟睡のための「10の行動」とは?

睡眠は長さじゃなくて質が大事なのですね。他にも、先生がPMSの症状に悩む患者さんによくアドバイスされることはありますか?

「PMS期の精神症状が重症化してしまった患者さんのなかには、月経前の数日間はもう死んでしまいたいほど辛くなる、と訴える女性もいらっしゃいます。そういう方の話を聞いていると、“自分はこうあるべきなのに、できない自分”というのにストレスを感じ、負のスパイラルに陥っているパターンも少なくないのです。

たとえば、イライラが我慢できずに子供に八つ当たりをしてしまうことに罪の意識を感じている女性のなかには、身体の調子が悪いときでも常に自分一人で家事、育児を担っている方も」

「母親なんだから、どんなに体調が悪くてもすべてやるべき」なんて、それは無理な話ですよね。

「家事や育児だけでなく、仕事や人間関係においてもそう。“こうあるべき”との思い込みを捨て、PMSで辛い時には、誰かを頼ったり、思い切って自分を甘やかしてみるのも一種の治療法なのだと患者さんにはアドバイスさせていただいています」

池田裕美枝先生

いけだ・ゆみえ 京都大学医学部卒業。「市立舞鶴市民病院」「洛和会音羽病院」にて総合内科研修後、産婦人科に転向。現在は「二宮レディースクリニック」での産婦人科外来、「神戸市立医療センター中央市民病院」の女性外来、「京都大学医学部附属病院」の女性ヘルスケア外来を担当。また、SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ)の勉強会や啓もう活動を行う研究会「SRHR Initiative」の代表も務める。

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小嶋美樹
編集者、ライター、ディレクター。大学卒業後、出版社に勤務し、女性誌や実用書・ビジネス書の編集、WEBディレクターなどを経て、2020年からフリーランスに。現在は主にインタビュー記事や女性のライフスタイル・子供の教育系記事の執筆、韓国エンターテインメント記事の編集・執筆など行う。趣味は旅行で、今一番欲しいものは子供たちと日本中を旅して回れるキャンピングカー。