100年前にはまだPMSはなかった!?PMSの歴史
近代では、女性の社会進出や役割の変化にともない、社会的ストレスが増え、女性特有の身体疾患の割合も増えているといわれています。なかでも、医学的な配慮が必要とされている疾患のひとつとして代表的なPMS(月経前症候群)ですが、比較的最近定義されたもので、今後も研究が進められ、新しく解明されていくことも多い症状のようです。
最初にPMSの症状が発表されたのは約90年前
PMS(Pre Menstrual Syndrome/月経前症候群)は、アメリカのロバート・T・フランクが、月経前7~10日ごろに精神的緊張症状などが現れる女性が多く、月経開始とともにその症状が消失することを発見。1931年に、症例とともに月経前緊張症と発表したのがはじまりです。
1953年には、イギリスのグリーンとダルトンが、精神症状だけではなく、月経前に起こるその他の多くの症状をまとめて「PMS(月経前症候群)」とすることを医学誌に発表、提唱しました。
世界、日本でのPMSの定義とは?
その後、欧米諸国ではPMSが広く知られ、1990年にはWHOの国際疾病分類 ICD−10に記載されるようになりました。
一方日本では、日本産科婦人科学会産婦人科用語集によると、PMSとは「月経前3〜10日の間に続く精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに減弱あるいは消失するものをいう」と定義はされているものの、日本心身医学学会診断・治療ガイドラインには、PMSの項目は存在していません。
また、産婦人科診療ガイドラインでは、米国産婦人科学会(ACOG)の診断基準を用いており、そこでは身体症状と精神状態を分け、少なくとも2周期以上にわたり周期的な症状変動があり、月経周期5~10日目の精神、身体症状に比べ月経前の症状の強さが30%以上増している場合にはPMSとして扱うべきと記してあります。
変化した女性のライフスタイル
現段階では、病因・病態について明らかではない部分も多いPMSではありますが、時代の流れによる女性のライフスタイルの変化が一因として大きく関係していると考えられています。
また、昔の女性に比べ、現代の女性は出産回数が減っています。つまり、現代の女性の方が、生涯で起こる月経の回数が増えているのです。大きなエネルギーを伴う月経や排卵は、カラダへの負担も少なくないといえるのかもしれません。
今後に注目!日本における女性の健康への取り組み
現在、最初にPMSの症状について発表したアメリカや、PMSと名付けた欧州では、婦人科での受診頻度、PMSの認知度、自覚率などが日本と比べ高いといわれています。
このように、PMSをはじめとする女性特有の疾患への対応において、比較的歴史の浅い日本ではありますが、経済産業省が働く女性の健康推進を発表するなど、多くの団体や企業が、女性の健康を考えた政策を実行し、今後大幅に成長する分野として、近年、大きな注目を集めています。
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