お悩み相談室 フェムテック/ケア 連載 by 小嶋美樹

春の新生活でメンタルを病まないための「3割の法則」

『フェムテックtv』でも人気の産婦人科医・池田裕美枝先生こと“ゆみえ先生”に、女性特有の不調や性のお悩みに関して伺っていく本連載。今回は、春に陥りがちな「メンタルの不調」への対処法に関してお話を聞いていきます。

体調を記録し、言語化しておくことがポイント!

前回は「PMSは春に悪化する、といった医学的根拠はない」とのお話を伺いました。ただ、PMSと混同しがちな、気分が落ち込んだり倦怠感を感じたりする「季節性のうつ」や、むくみや便秘、めまいなどの症状を伴う、東洋医学で言うところの「水毒」の症状が季節の変わり目に強く出ることはある、ということでしたよね?

「普段が不調だと、PMSの時期の不調もより自覚しやすくなるものです。そういう意味では、春先などの季節の変わり目は、女性は体調の変化に要注意だとも言えるでしょう」(ゆみえ先生・以下同)

「春になると毎年、なんとなく気分が沈む」とか「春先に体調を崩しがち」など、自身の体調のサイクルを知ることが大切なんですね。

「自分の身体を知るためにも、自分の体調をメモやスマートフォンのアプリなどに記録し、言語化しておくことがポイントです。身体のサイクルが分かっていれば、対処のしようがありますからね。医療機関を受診する際にも、なんとなくの症状ではなく、きちんと記録に残して来てくださったほうが、私たち医師も的確なアドバイスをすることができるのです」

スタートダッシュで失敗しない「3割の法則」

体調のサイクルを知ることで、自分自身でもできる対処法はあるのでしょうか?

「たとえば、『自分は新たな人間関係に弱いかも』とか、『変化の多い春先はメンタルが沈みがちだ』という方におすすめしたいのが、“3割の法則”です。これは新しい環境に身を置く際には、始めから頑張りすぎないための法則です。『なんでもやります、がんばります』と、最初にはりきってしまう人は、後々が危険なんですよね」

新たな人間関係での遠慮もあって、そうなってしまう人も少なくはなさそうですよね。

「それでもメンタルが辛くならない方はいいと思うんです。ただ、始めにいつも以上に頑張ってしまうと、その後、自分のキャパシティー以上の仕事が降ってくる可能性も高くなります。だから『働き始めの3週間は、意識的に3割の力に抑える』というのが“3割の法則”なんです」

たしかに最初に頑張りすぎることで「すごく仕事のできる人が来てくれたから、あれもこれもお願いしちゃおう」と、周りの期待が必要以上に大きくなることは容易に想像できます。

「新しく加わった方の名前が関係各所におおよそ知れ渡るまでの期間が約3週間。その間は、そこまでできる人だと思われる必要はないのです。無理をせず、少しずつ、を具体化した“3割の法則”をぜひ覚えておいてください」

―“3割の法則”は、新たに人を迎え入れる企業側の人間も知っておくとよいかもしれませんね。春先にメンタルを病みがちな方は、ぜひ実践してみてください!

 

池田裕美枝先生

いけだ・ゆみえ 京都大学医学部卒業。「市立舞鶴市民病院」「洛和会音羽病院」にて総合内科研修後、産婦人科に転向。現在は「二宮レディースクリニック」での産婦人科外来、「神戸市立医療センター中央市民病院」の女性外来、「京都大学医学部附属病院」の女性ヘルスケア外来を担当。また、SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ)の勉強会や啓もう活動を行う一般社団法人SRHR Japanの代表も務める

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小嶋美樹
編集者、ライター、ディレクター。大学卒業後、出版社に勤務し、女性誌や実用書・ビジネス書の編集、WEBディレクターなどを経て、2020年からフリーランスに。現在は主にインタビュー記事や女性のライフスタイル・子供の教育系記事の執筆、韓国エンターテインメント記事の編集・執筆など行う。趣味は旅行で、今一番欲しいものは子供たちと日本中を旅して回れるキャンピングカー。