PMS(月経前症候群)の原因ってなに?月経前の不調のメカニズムを知ろう!
月経が始まる前に起こる不調(頭痛、腹痛、だるさ、イライラなど)。その原因は未だ解明されていないのですが、卵巣から分泌される女性ホルモンが影響を与えていると考えられています。少しでも月経前の期間を快適に過ごすために、PMSの原因と緩和方法を探っていきましょう。
INDEX
PMSの原因って?
PMSが月経と関係しているのは何となく分かるものの、どういったメカニズムで起きているのでしょうか。人によってもさまざまな症状が現れるPMSの原因は、まだ完全には解明されていません。
産婦人科専門医として多くの女性が抱えるお悩みに取り組んできた小川奈津希先生は、
「排卵を止めると軽くなるということがこれまでの経験から分かってきましたので、排卵に関わるホルモン動態の変化が原因なのでは?」と考えています。
排卵すると“プロゲステロン”というホルモンが出るので、それが原因でイライラしたり、便秘になります。そこで、“プロゲステロン”が出ないようにホルモンの働きをフラットにさせればよい、というのが小川先生の考えです。
出典:ウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会「ウィメンズ・ヘルス・アクション DATA BOOK 2019 ~PMS・うつ病・更年期・がん 4大お悩みを考える~」
PMSが重くなったり、軽くなったりするのはなぜ?
月経前に訪れるPMSをあまり感じない月、逆に仕事に行くのが辛い月や、友達との約束をキャンセルするほど気分がのらない月など、その時によってPMSの感じ方が違うと思っている女性も多いはず。
「楽しいことをしているとPMSのことを忘れてしまう人が多いと感じる」と、PMSで悩む多くの女性の相談にのってきた経験から小川先生は話します。
「リラックスしているときにはPMSは和らぎますが、仕事や家事、学校の勉強が忙しいとき、家族や友人ともめ事が起き精神的につらいときなどはPMSがひどくなる人が多い傾向にあります」
排卵を止めるのが効果的!?
戦前の夫婦の平均出生子ども数は4.27人でしたが、戦後大きく低下しました。2010年には 1.96人へと低下し、現在は少子化が社会問題になっています。
「妊娠中や授乳中は月経がとまるので、PMSもなければ月経痛もありません。当時の女性は18歳頃から妊娠して40歳を過ぎても子供を出産していました。そのため排卵も長期間止められていたので、特に不調を感じることもありませんでした」(小川先生)
夫婦の完結出生児数*
国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2011年)
※注 対象は結婚持続期間15~19年の初婚どうしの夫婦(出生子ども数不詳を除く)。各調査の年は調査を実施した年。
*「完結出生児数」とは、結婚から15~19年の夫婦の平均出生子ども数。夫婦の最終的な平均出生子ども数とみなされる。
出典:厚生労働省「平成25年版厚生労働省白書 -若者の意識を探る-第3節」
昔と比べて現代の女性は生涯月経数が約450回も増えているとも言われています。女性のカラダには、子どもを宿すために子宮と卵巣があるのですが、妊娠しないことで月経の回数も増えるため不調がでやすくなる、という考えも。
「月経や排卵は健康の証拠と思っていらっしゃるかもしれませんが、月経は妊娠しなかった結果でしかありません。妊娠をせずに、毎月排卵と月経を繰り返すことが不調につながるのです」。そこで有効なのがピルなのだと小川先生は話します。
PMSを“ホルモン剤”で緩和させる!
「会社の同僚にPMSについて相談したところ、クリニックに行ってピルを処方してもらえば?と、勧められた」と、クリニックに足を運ぶ患者が増えたそう。ひと昔前に比べてピルを飲む女性が増え、PMSの認知度も高まっていると小川先生は実感しています。
「子育てができないくらいイライラしていて、でも仕事もこなさなくてはいけないけど無理!どうしたらいいですか?と、切羽詰まった様子で受診された方には、詳しく症状を伺って診断した後、ピルを処方しました」(小川先生)
ピルを飲むことで排卵を止め、妊娠しているときと同じような状況を作りPMSの症状を和らげる治療を行ったそうです。
「PMSの症状が軽くなったと喜んでいらっしゃいました。とても明るくなったその様子が印象的でした」。小川先生いわく、4カ月目くらいから患者さんの表情がガラリと変わったそうです。
PMSを緩和させるピルって?
ピルは脳の下垂体に働きかけて、排卵をとめる作用があります。
「子宮の内膜を厚くしない効果もあるので、それによって月経血が減ります。さらに月経痛が軽くなる、貧血が軽くなる、排卵しないため卵巣がんの予防にもつながります」(小川先生)
一方では血栓症などのリスクもありますが小川先生は、
「吐き気、胸のはり、頭痛、不正出血など、マイナートラブルがおこりますが、飲み始めて3カ月間程度でおさまる場合がほとんど。マイナートラブルが出ない方も多いです」と話します。
ピルを処方してもらおうか、どうしようか迷っているみなさんの背中を押してくれる心強い言葉ですね。
PMSを“漢方”で緩和させる!
最近では漢方を処方する産婦人科も増えているといいます。小川先生のクリニックでは月経に関わるお悩みに使うものは大きく3〜4種類あり、体質、体格などをみて処方します。
「胃腸が弱いとか、冷え性とか、人それぞれが持つ症状に合わせて処方します。例えば、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)は、滞った血のめぐりを良くして、のぼせや足の冷えを改善して、月経痛、月経不順などをよくする効果があると言われています。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、血行を良くして、水分代謝を整え余分な水分をとり除き、足腰の冷えや月経不順を改善する効果があると言われています」(小川先生)
PMSを“運動”で緩和させる!
薬や漢方を内服するのではなく別の方法で緩和したい場合は、適度な運動を心がけるのがおすすめと、小川先生は話します。
「マラソン、ウォーキング、ヨガなど、気軽に始められる運動を心がけてみてください。それ以外でも、自分がすっきりできる運動ならなんでもOKです」
カラダを動かすことで血の巡りがよくなり、肩こりやむくみなども和らぎます。ふくらはぎを動かすことで心臓に戻る血液が増えますので、むくみが軽減されます。リフレッシュすることでPMSが軽くなる人もいます。運動すると気分転換にもつながるので、精神面にもよい影響をもたらします。
PMSを“サプリメント”で緩和させる!
運動と一緒に、PMSの症状を緩和させる栄養素を摂取すると効果的だそう。
「ビタミンB6、カルシウム、マグネシウム、鉄分、ビタミンCなどの栄養素を摂りましょう。全てを食品から摂ろうとすると、大量の野菜を摂取しなければならず食事が大変になります」(小川先生)
野菜ジュースは甘いだけでビタミンはほとんど入っていません。余計な糖分を摂らずに済むサプリメントは、効率的に栄養素が摂取できます。
PMSは“〇〇を摂らない”ことで緩和できる!
積極的に摂取する以外にも、「カラダに不必要なものを入れないことも大切です」と小川先生は話します。
「カフェイン、アルコール、たばこの3つには気をつけてください。カフェイン、アルコールは飲みすぎないこと。適度に楽しむ分にはリラックス効果が得られる方もいるので問題ありません。たた、たばこは百害あって一利なし。ピルとの相性も良くないのでできるだけやめていただくようにお願いしています」
カフェインは特に注意が必要!!
コーヒーを飲む時間がリラックスにつながる場合もありますが、カフェインの摂りすぎには注意が必要です。
「カフェインには目が覚め、気持ちがシャキッとするなど良い面もありますが、神経を興奮させることで精神症状を悪化させるなど悪い面もあります。イライラを増強させたり、興奮状態をさらに高める作用も」(小川先生)
コーヒーなどを好んで飲んでいる方でPMSがつらいなと感じるならば、少しの間カフェイン断ちをしてみてはいかがでしょうか。もし、その間に調子が良いと感じたならPMSの期間だけやめてみるなども有効です。
小川先生は、コーヒーの変わりに、心身ともに好影響を及ぼすハーブティーに置き換えることもすすめています。
PMSに繋がりそうな原因を知ることは、緩和方法の選択にもきっと役立つはず。自分に合った緩和方法を探りつつ、PMSをうまく乗り切っていきましょう!
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