お悩み相談室 連載 by 小嶋美樹

「毎朝、辛い」「起きられない」「午前中は気分が悪い」という人必見! それって起立性調節障害かも?

「朝なかなかベッドから出られない」「午前中はボーっとする」「起きてからしばらくは気分が悪い」などの悩みに日々、困っている人はいませんか? ともすると「朝が弱いだけ」「怠けている」と見過ごされてしまいそうな症状が、実は「起立性調節障害」という病気である可能性があることをご存じでしょうか。今回は、この「起立性調節障害」という疾患に関してゆみえ先生に伺っていきます。

脳への血流が減少することで「起床できない」?

「起立性調節障害とは、交感神経と副交感神経からなる自律神経のバランスの乱れによって起こる疾患です。自律神経は全身の血液の動きを調整する働きを担っており、このバランスが乱れると血圧が低下。すると、下半身から心臓に向かって流れるはずの血流が滞ってしまい、寝ている状態から身体を起こした際に脳への血流が減少してしまうのです」(ゆみえ先生・以下同)

―朝、起きることができなくなったり、倦怠感が抜けなかったり……といった症状はこういったメカニズムで起こっている可能性があるというわけですね。

「そうですね。重力に逆らって血流を下から上に押し上げる働きを担っている自律神経は、実は思春期に頃に一時的に機能が弱まることが分かっているのです。そのため、起立性調節障害は10代の若者に多いとされている病態でもあります」

―10代の娘さんが「朝起きられず、学校に遅刻ばかりで進級も危うくなってしまった」という話を聞いたことがあります。その方は、「夜、寝ていないわけじゃないのになぜ?」と医療機関にかかって始めてこの病気に気が付いたのだそうです。

身長が急激に伸びる時期は要注意!

―なぜ10代に多い病気なのでしょう?

「ひとつの理由としては、急激に身長が伸びる年頃だからと言えるでしょう。人間の身体は自律神経の働きで血管の収縮が起こり、それがポンプのような役割をして、立っているときでも寝ているときと同じように、下半身から上に向かって血液が流れる仕組みになっています。

急に身長が伸びると、今まで通りに血管の収縮が起きても、血の巡りが追いつかないことも。結果、脳への血流が低下し、さまざまな症状が現れると考えられています。

また、二次性徴期でもあるこの頃は、性ホルモンの分泌量が急激に増える時期。実は、性ホルモンが急激に低下する更年期に自律神経の乱れからくる疾患が起きやすいのと同じ理由で、急にホルモンが増える思春期も、ホルモンバランスの乱れから起立性調節障害が起こりやすくなるのではないかと考えられています」

―起立性調節障害の特徴は他にもありますか?

「男性よりも女性患者の方が多いのも特徴のひとつです。理由としては、おそらく女性のほうが全身の筋肉量が少ないからではないでしょうか? 足から心臓に向かって血流を押し上げる働きを担っているのは、主に下半身の筋肉です。足が動くとき足の筋肉がポンプのような働きをするのですが、その筋肉が少ない女性のほうが、より血流が滞りやすいのです」

―足の筋肉がポンプの役割を担っているなんて知りませんでした!なんだか不思議ですね。

「成長期のお子さんが、毎日きちんと睡眠時間を確保しているにも関わらず、朝起きてこなかったり、午前中は常にしんどそうにしている様子が続くようであれば、一度この病態を疑ってみてもいいのかもしれません」

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小嶋美樹
編集者、ライター、ディレクター。大学卒業後、出版社に勤務し、女性誌や実用書・ビジネス書の編集、WEBディレクターなどを経て、2020年からフリーランスに。現在は主にインタビュー記事や女性のライフスタイル・子供の教育系記事の執筆、韓国エンターテインメント記事の編集・執筆など行う。趣味は旅行で、今一番欲しいものは子供たちと日本中を旅して回れるキャンピングカー。