世界のPMSマーケット。フェムテックが活発な欧米の最新事情
みなさん「フェムテック」という言葉を聞いたことはありますか? フィメール+テクノロジー=フェムテック。女性のヘルスケアやライフスタイルの課題をテクノロジーで解決、サポートするという意味の造語で、今、投資家たちも注目する世界的に拡大している分野なのです。
実は、未開拓の市場だった!
フェムテック市場とは、女性に関するデータを集め、最新のテクノロジーを使い、女性の課題を解決していくという、とても意義のある市場です。なぜなら、実は女性のヘルスデータは男性と比べ、圧倒的に少ないからです。
驚くべきことに、1993年までアメリカでは女性のデータは医学的な実験の対象になっていませんでした。それは、実験中に妊娠した場合、胎児に悪い影響が出てしまう可能性があるという理由からなのですが、そのため、薬や病気に関するデータは、すべて男性のカラダの影響を測り得たものであるということなのです。
その名残もあり、医療現場では男性のデータを使う傾向にあります。つまり、フェムテックの分野は、現代においてまだ未開拓なので、伸びしろが大きいというということなのです。
欧米でのフェムテック事情
フェムテック市場をリードしている欧米では、2000年ごろに女性用ヘルスケアアプリが登場しました。シリコンバレーでは今まで少なかった取締役やエンジニアのポジションに女性が就くことが多くなり、それが影響しフェムテック関連のスタートアップが増え、その後サブスクリプションやデバイスなどへ拡大していきました。
その後、市場は成長を続け2020年秋冬に発表されたfermataのデータによると、35カ国484社が開発に乗り出しています。
出典:fermata「2020年秋冬 日本海外Femtechマーケットマップ」
ミレニアル世代にフィットするデザインとコンセプトが鍵
ここで、話題のフェムテックをひとつご紹介します。2015年に誕生したサンフランシスコの「Cora」は、生理用品のサブスクリプションサービス。ユーザーの月経周期や経血量などに合わせ、適切な量の生理用品が送られてくるというシステムで、大変人気を集めました。
女性用のプロダクトはピンクにすればいいという流れを覆し、ケースのデザインをスタイリッシュにしたことが、現代の女性の感性にヒットした要因のひとつといわれています。さらに「Cora」で購入すると自動的に、生理用品の購入が難しいインドの貧困地域の少女たちに生理用品が寄付される仕組みになっています。
これが、社会貢献欲求の強いミレニアル世代に響き、600万ドルを調達できるスタートアップとなりました。
このように、フェムテックは憂鬱なだけの月経や月経前から解放され、自らと向き合う時間に変え、豊かな心持ちを与える力があると考えられます。
ピルでPMSをコントロールするのが主流の欧米
海外のフェムテックでは、服用管理のストレスをなくすためのスマートケースなど、ピルに関係する事業が多くあります。それは、海外では、ピル(低用量経口避妊薬)などを使って、女性自身が積極的にPMSや妊娠をコントロールする傾向が強いことが理由と考えられます。
例えばフランスのピルの内服率は、なんと30%以上。ちなみに、日本でピルが認められるようになったのは、米国に遅れること40年となる1999年で、服用率も2.9%と、フランスと比べると1/10ほど。PMSへの対処法の違いがあるようです。
出典:国連「Contraceptive Use by Method 2019」
日々進化するPMSのソリューション
さらにPMS関連では、月経周期によって変化する女性のホルモンバランスに合わせたサプリメントを提供するパーソナライズサービスや、症状などを通院せずにオンラインで専門家に気軽に相談できるサービス、PMSや月経痛を和らげるウエアラブルデバイス、おりものの電解質を分析したり、尿からホルモン値を測定するアプリ連動型のデバイスなどが開発されています。
このように、海外ではPMSのソリューションが日々進化し、人によって異なる課題をも解決へと導けるような、生きやすい社会へと向かっていることは、間違いないようです。
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