フェムテック/ケア by 寳田真由美

美肌や冷え症改善にもビタミン、ミネラルが必要!

前回に続き、20~30代の女性に不足しがちな栄養素であるビタミン・ミネラルについてのお話です。今回は、肌トラブルや冷え症など、普段から悩んでいる方も多い体の不調を改善するための栄養素について、管理栄養士の成澤文子さんにお伺いしました。体を整えるために必要なビタミンやミネラルなどの栄養素をバランスよく摂って、体の中から整えましょう。

前回の記事>> 『「なんだかだるい」には鉄、「眠れない」にはビタミンC…不足しがちなビタミン、ミネラルとは?

肌荒れや顔のたるみ予防には、ビタミンB群やビタミンC、カルシウムを

マスク生活が長引く中、顔の赤みやかゆみなどの肌トラブルや、顔のたるみ、小じわなどの肌の老化が気になっている人が増えていると言われています。

「肌のたるみ予防には、たんぱく質が欠かせません。たんぱく質はアミノ酸から成るため、アミノ酸の代謝に必要なビタミンB6を摂るようにしましょう。ビタミンB2が豊富な食品と一緒に摂ると、より効果的です」

肌の新陳代謝を良くするには、ビタミンエース(ビタミンACE)と呼ばれるβカロテン(ビタミンA)のほか、ビタミンCやビタミンEも必要です。

「これらには活性酸素を取り除く抗酸化作用があります。ビタミンCは、ハリのある肌を保つために重要。ビタミンEは、血行を改善する働きがあり、βカロテンを含むビタミンAは皮膚や粘膜、目を健やかに保ち、肌のターンオーバーに役立ちます。」

「骨粗しょう症の予防も大切です。骨密度が減って骨折しやすくなる骨粗しょう症は、2030代の方にはピンとこないかもしれませんが、骨が少なくなったり、もろくなると、たるみやしわといった老け顔の原因になります。骨量は年齢とともに減少するので、皮膚の土台となる骨が減少して老け顔にならないためにも、いまからしっかりと対策を心がけたいですね。意識して、ミネラルの一種であるカルシウムを摂るようにしましょう」

ビタミン&ミネラルを摂取できる食品

ビタミンB6鶏ささみ、まぐろ赤身、サーモン、ツナオイル漬け、チーズ、バナナ、赤ピーマン

ビタミンB2卵、納豆、アーモンド、うなぎ、乳製品、焼きのりなど

ビタミンC柑橘類、キウイフルーツ、パプリカ、ブロッコリー、小松菜、じゃがいもなど

ビタミンEナッツ類、アボカド、豆乳、大豆、イワシ、かぼちゃなど

βカロテンにんじん、ほうれん草、かぼちゃ、ブロッコリー、モロヘイヤなど

カルシウム牛乳・乳製品、小魚、大豆製品、ごま

冷え症改善には、たんぱく質+ビタミンB6、鉄が重要

冷えの原因は人によってさまざまですが、女性に多いのが筋肉不足による冷えです。

「体の熱の多くは、筋肉によって作り出されるので、筋肉が増えると体は冷えにくくなります。ですから、冷え症の方は筋肉を増やすことが必要。まずは食事から十分な栄養が摂れているかを見直してください。特に、たんぱく質が不足すると、筋肉量が低下しやすくなります。

たんぱく質の代謝に関わるビタミンB6や、近年、筋肉の増強に役立つことが分かってきたビタミンDと一緒に摂るとより効果的。その上で、体を動かして筋肉を増やし、代謝をアップさせて、体温を上げていくのがおすすめです。ただし、冷えがひどい時や、片側だけ冷える、むくむ、しびれがあるなどの気になる症状がある場合は、病気が隠れていることもあるので病院を受診しましょう」

ミネラルの一つである鉄不足も冷えに影響すると成澤さん。「は、全身へ酸素を運ぶ大切な働きを持っています。鉄が不足して体のすみずみまで酸素が届かないと、細胞で熱を生み出す力が弱くなり、冷えの原因に。鉄は体内で作ることができませんので、食事から摂取する必要があります。しょうが、ねぎ、ごぼう、にんにくなど体を温める食品を一緒に摂るのもいいですね」

ビタミン&ミネラルを摂取できる食品

ビタミンB6にんにく、まぐろ、カツオ、サバ、鶏ひき肉、鶏ささみ、赤ピーマン、玄米など

ビタミンD鮭、イワシ、カツオ、卵黄、きくらげなど

レバー、牛肉(赤身)、あさり、かつお、ひじき、小松菜、卵、大豆など

野菜不足が葉酸不足の原因に。豆や海藻で栄養をプラス

葉酸といえば、妊活・妊娠中に積極的に摂りたい栄養素であることはよく知られています。葉酸はビタミンB群の一つで、「造血のビタミン」とも言われています。13食、バランスよく食事を摂っている場合、欠乏することは基本的にはありませんが、厚生労働省の調査によると、2030代の女性の葉酸摂取量は、推奨量を満たしていないことが分かっています。

葉酸は、細胞増殖に必要なDNAの合成にも不可欠で、妊活・妊娠中以外の人にも重要な栄養素です。2030代の女性の摂取量が不足している原因は、野菜不足のせいだと考えられます。野菜の1日の目標摂取量は350g(うち緑黄色野菜は120g以上)とされていますが、現状は不足しています。忙しいと手軽に済ませられる食品に偏りがちなので、『朝食に1品プラスできるように前日に買い置きする』『多めに作って保存しておく』『具沢山の汁物にする』など意識するといいですね。外食は特に野菜が不足しやすいので、積極的に野菜がとれるメニューを選ぶようにしましょう。野菜の摂取量が増えれば、葉酸だけでなく、食物繊維やビタミン、ミネラルも摂取できます」

葉酸不足が続くと、貧血を起こしたり、神経や腸機能の障害、口内炎や皮膚の異常が起こることもあります。「妊娠したくなったら摂ればいい」と考えていると、思わぬ不調を招くかもしれません。

「野菜不足を解消することで必要な量の葉酸を摂ることができます。万が一、妊娠中に葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高くなります。将来、妊娠を望んでいる方は、特に意識して摂るようにしておきたい栄養素です」

葉酸を摂取できる食品

葉酸レバー、枝豆、ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガス、焼きのりなど

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成澤文子さん

なりさわ・あやこ 管理栄養士・料理研究家。2011年「日本一家庭料理がうまい女性決定戦」(日本テレビ系)にて有名シェフ審査員10名満場一致で「初代レシピの女王」となる。
その他料理コンテスト多数受賞。家庭で作れる本格レシピが人気。メディア、企業に向けたレシピ提案から、食育指導、特定保健指導など健康支援でも活躍中。

Instagram : @ayako_narisawa

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寳田真由美
編集者、ライター。大学卒業後、出版社や編集プロダクションに勤務。情報誌や女性誌、旅行誌などの編集を経て、2000年よりフリーランスで活動。現在は、主に女性のライフスタイルや健康、医療記事の編集・執筆などを行う。いま一番はまっているのは、愛犬と旅するためにはじめたキャンプ。