
【鈴木奈々×高橋怜奈先生】鈴木奈々さんも悩んでいる! 30歳からピルってもう遅い…?|前編
生理前の体調不良と気分の落ち込みに時折悩んでいるという、鈴木奈々さん。ネットで調べたところ、ピルを飲むとPMSの症状が落ち着くと知ったけれど、33年間、ピルは未経験。今から飲み始めるピルって意味があるの…?そして、そもそもピルって安全なの…? Over30からはじめるピルについて、婦人科医の高橋怜奈先生に教えていただきました。
PMSに年齢や健康状態は関係する?
鈴木奈々さん(以下鈴木さん):先生、今回色々お話を伺えると聞いて、とっても楽しみにしていました! さっそくですが、30歳を超えたころからPMSが酷くなってきているみたいで…。今日も、まさに生理前なんです! あと3日ぐらいでくるんじゃないかな? だからすっごく精神状態が不安定になりやすいです。いつもは元気なのに、生理前になると落ち込みやすくなったり、イライラしがちだったり…。
高橋先生:鈴木さんもPMSで悩んでいたんですね。まずはPMSの仕組みからお話させてください。PMSはそもそも、身体が妊娠に向けて準備をする中で、排卵をするために起こります。この排卵によって女性ホルモンの大きな変動が起こり、その女性ホルモンの波によって体調不良やメンタルに問題がおこるのです。つまり、PMSの原因は女性モルモンの波によるものなので、健康体な女性でも起こる可能性がある症状なのです。PMSの定義としては、生理前の3~10日前から起こりうる、身体的不調や精神的不調で、生理がはじまると改善したり、治まったりする状態のことを呼びます。
PMSはホルモンバランスの他に、生活環境も原因となる
鈴木さん:私は30歳をすぎてから、症状が悪化している感覚があったのですが、年齢によって酷くなることもあるんですか?
高橋先生:もちろん、年齢とともに悪化するという人もいらっしゃいます。ただ、PMSの原因は女性ホルモンの波の他に、生活環境やストレスによって引き起こされることもあるため、一概に年齢のせいとは言い切れないですね。女性も年齢を重ねるごとに、仕事でも責任のあるポジションを任されたり、子育てに悩んだりなど、生活環境の変化によりストレスが増えると思うので。
鈴木さん:なるほど! 婦人科ではPMSの治療はどんなことをしてくれるのですか? よくピルがいいと聞きますが、なんとなく怖いイメージで…、試したことがないんです。
高橋先生:一番手軽な治療はピルの内服ですね。他にも、ピル以外のホルモン療法や漢方薬などがありますが、現在のピルは種類も増えていて、自分にあったものを選べるようになっています、超低用量ピルといって、ホルモン量がとても少ないピルもあるので、昔のピルに比べて副作用やマイナートラブルも少なくはじめられるようになったのでおすすめです。ただ、先ほどもお話をしたとおり、PMSはホルモンのバランスの他に生活環境が原因になっていることもあります。なので、ピルだけでは症状が改善しない場合もあることも、知っておいてください。ピルの内服はPMS以外にもメリットが多いのですが、昔の副作用の強いピルの印象が未だに残ってしまっていて、怖い印象を持っている人は今でも多いですね。
鈴木さん:そうなんです…! 私もピルを飲むと太りやすいとか、ネットで見ていたので。それはイヤだなぁって思っていました。
高橋先生:そうですね。身体に合わないと飲みはじめは少し辛い人もいます。比較的、身体に負担の少ないと言われている低用量ピルでも、体調不良になってしまう人もいますが、今は超低用量ピルもありますから、低用量ピルでキツかった人は、超低用量ピルを試してみるのもおすすめですよ。
あとは、お薬に敏感な方や不安な方は、ピルを処方してもらう際に、その旨を伝えると、ピルと一緒に吐き気止めを出してもらうこともできます。また、飲む時間を工夫するのもおすすめです。寝る前の時間に飲むと、日中に体調が悪くなることが少なくすみますよ。それでも吐き気があるなら、ピルの種類を変えてしまうのがおすすめです。
実は排卵は止めておくほうが、メリットがある!?
鈴木さん:ピルで生理をコントロールするって、ちょっと怖いなって思っちゃうんですよね。そのまま生理が来なくなったらどうしよう…って。
高橋先生:その心配は必要ないですよ。ピルは飲むのを辞めたら、すぐに排卵が再開します。むしろピルを飲み忘れるとすぐに排卵して妊娠する可能性があるので、避妊目的の方には、飲み忘れないようにしっかりと説明しているくらいです。なので、妊活をはじめたくなったら、飲むのを止めればいいだけなんです。それに、排卵は止めておいたほうが、色々な病気のリスクを下げられるんですよ!
鈴木さん:え!? 排卵って止めたほうがいいんですか!?
高橋先生:実はそうなんです。ピルを服用していると排卵を止められますが、それは卵巣を守っていることにもなるんですよ。排卵により卵巣から卵子が出るときは、卵巣の壁を突き破って出てきます。それによって卵巣の壁は毎月傷ついているんです。そのダメージが積み重なって、卵巣がんの一つの原因にもなっているんです。なので、ピルで排卵を抑えることで、卵巣がんのリスク低下にもつながるんですよ。また、将来妊娠を考えている人は、長期間ピルを飲んでいたほうが、本当に妊娠をしたい時に妊娠をしやすくなるという研究結果もあります。長期間ピルで排卵を止めていることで卵巣の壁がきれいに保たれ、本当に排卵してほしいときに排卵しやすい状態を保てるんです。
鈴木さん:すごい! 排卵を止めたほうがいいなんて、考えたこと無かったです…!
高橋先生:卵巣癌のリスクが下がったり将来的な妊活にも有利になるのは素晴らしいですよね。他にも、子宮体癌や大腸癌のリスクも下げますよ。
鈴木さん:いいことしかないじゃないですか! 私は7月で33歳になるのですが、まだ間に合いますか?
高橋先生:もちろん! 今からでも全然遅くないですよ。いいことばかりに見えるピルですが、血栓のリスクは上がってしまうというデメリットがあります。ただ、これは飲んでない人に比べると高くなってしまうというお話です。原因はピルに含まれているエストロゲンという女性ホルモンがなんですが、実は妊婦さんやお産後の女性の方が血栓のリスクは高いので、ピルのリスクとして血栓を言われがちですが、実は世の中に血栓ができやすくなることってたくさんあるんですよね。
あとは、肥満や40歳以上の方は投与を慎重に行いますね。そのほか、ピルを服用するのにリスクがある方もいらっしゃるので、産婦人科に相談してほしいです。そういった方のPMSや生理痛の治療では、ピル以外のホルモン療法や漢方薬などの方法もあります。
鈴木さん:話を聞けば聞くほど、妊娠予定が無い時は、ピルを飲んでおいたほうがよさそうですね…! ピルなどでコントロールをして、排卵を止めておくことが、他の病気の予防になるなんて知りませんでした! ピル、私もはじめてみようかな…。今日は先生に直接お伺いできて安心できました! まずは婦人科を受診してみます!
次回は、女性ならではの病気について、高橋先生に鈴木奈々さんが教えてもらいました。後編へ続く。
鈴木奈々:1988年7月9日生まれ。B型。茨城県出身。2012年に約350本のテレビ出演を果たし、ブレイクタレントランキング女性部門第1位を獲得。以降も多数のテレビ番組に出演。何事にも全力で挑む姿勢、新人タレントさながらの元気さと謙虚さが幅広い世代に支持され、テレビ・雑誌・広告など多方面で活躍中。
instagram:@nana_suzuki79
高橋怜奈:東邦大学医療センター大橋病院・産婦人科在籍。医師であり、プロボクサー。産婦人科YouTuberとしても活動。自身のSNSをはじめ、テレビや雑誌などで女性のデリケートな悩みに答える。
YouTube:産婦人科医YouTuber高橋怜奈
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