【読者のお悩み】「出産未経験の女性は、出産を経験した女性に比べて子宮系の病気にかかりやすい」という噂は本当?
『フェムテック tv』でも人気の産婦人科医・池田裕美枝先生こと“ゆみえ先生”が、SNSで集めた読者からのリアルな悩みに答えます!
今回の相談:「出産経験がないと、子宮系の病気にかかりやすい」というのは本当ですか?
ゆみえ先生の回答:「出産未経験の女性は子宮筋腫と子宮内膜症にかかりやすいと言われています」
月経回数が多すぎる現代女性
「出産経験がない女性は出産を経験した女性に比べて、子宮系の病気に罹患しやすいと、というのは本当です。子宮筋腫と子宮内膜症にかかりやすいと言われています。
実は私たち現代女性は、長い人類の歴史の中でも、かつてないほどに生涯月経数が多いのです。二足歩行に進化した人類は、しばらくは早産や死産の確率が極めて高かったため、絶えず妊娠・出産をくり返していたと言われています。しかし、多産だった頃とは違い、現代は女性たちの生涯妊娠期間が短くなり、生涯月経数も飛躍的に増えたのです」(ゆみえ先生・以下同)
―以前、「マーティン×ゆみえ先生“基本の性教育” vol.1 」の対談でも出たお話ですね。
「何度も排卵し、何度も月経が起こっている間に、経血が子宮に逆流し、子宮内膜症に罹患しやすくなるのではないかと考えられています。また、出産未経験の女性は子宮口が大きく広がったことがないため、出産経験者の女性よりも経血が逆流しやすいのではないかとも言われています」
ピルで子宮を休ませることで予防が可能
―子宮筋腫にはなぜ罹患しやすいのでしょう?
「子宮筋腫とは子宮の壁にできる良性の腫瘍のことで、筋肉のコブのようなものです。なぜ子宮筋腫ができるのか、というメカニズムははっきりとは分かっていないのですが、筋肉のコブである筋腫は、出産時に子宮が大きく広がった経験のある人にはできにくいにではないかと考えられています。
女性の子宮は出産時に、容積が通常時の1000倍にもなることができます。でも、細胞分裂をして筋肉が増えるのはほんのごくわずかで、あとは単に伸びて大きくなるんです。伸びて伸縮性のある子宮には筋腫ができにくい、という訳です」
―出産経験がない女性が、それらの病気を予防することはできないのでしょうか?
「ピルで予防することができますよ。ピルを飲むことで、月経回数や経血量を減らし、余計な排卵や出血を減らすことで、月経時に起こるぜんどう運動が軽減されるのです。つまり、子宮を休ませることでリスクを最小限にすることができます」
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池田裕美枝先生
いけだ・ゆみえ 京都大学医学部卒業。「市立舞鶴市民病院」「洛和会音羽病院」にて総合内科研修後、産婦人科に転向。現在は「二宮レディースクリニック」での産婦人科外来、「神戸市立医療センター中央市民病院」の女性外来、「京都大学医学部附属病院」の女性ヘルスケア外来を担当。また(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ)の勉強会や啓もう活動を行う研究会「SRHR Initiative」の代表も務める。
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