フェムコト FEMTECH/FEMCARE 連載 by 木川誠子

「コミュニケーションは自分の考えも、相手の考えも尊重するためにも大切」鍼灸師・温活士 栗本夏帆さん|フェムコト インタビューvol.7 後編

『フェムテック tv』と、未来を作るSDGsマガジン『ソトコト』が新たに女性のウェルビーイング向上を目的として立ち上げた、対談コンテンツ『フェムコト』。

7回目となる今回は、2021年の人気記事TOP5にもなった『快感を得るための臓器、クリトリスについて知ろう』など、フェムテック tvにも何度もご登場いただいている、鍼灸師の栗本夏帆さんとお話しします。

>>前編はこちら:『子宮の構造を調べて学んだ小学校時代 鍼灸師・温活士 栗本夏帆さん

〈Profile〉

鍼灸師・温活士 栗本夏帆さん
くりもと・かほ グラン治療院の統括院長。国家資格を保有する鍼灸師として活動しながら、「一般社団法人 日本温活協会」の温活士としても活躍。女性限定の腟サロンを立ち上げるなど、勉強会や啓もう活動にも励んでいる。4月22日には自身初となる著書『うるおいの腟レッチ』(光文社)を刊行予定。

https://biyoshinkyu.net/

鍼灸は母乳の出が良くない時や、つわり対策などにも活用できる

フェムテック tv:鍼灸の観点から、今のフェムテックのムーブメントをどう捉えていますか?

栗本さん:鍼灸は、病院では数値に出ないような、病名はつかないけど何か不調があるという、未病に対して施術することが得意です。

例えば、フェムテックのムーブメントもあって不妊に対するソリューションはたくさん出来たと思うんですけど、本来は不妊にならないための段階が大事ですよね。まさにその段階にアプローチできるのが鍼灸です。

鍼灸は肩こりや腰痛の最終手段だと思われている人が多いですが、不妊専用の鍼灸院もありますし、母乳の出が良くない時や、つわり対策などにも活用できます。フェムテックのサービスや製品を取り入れる前、不妊にならないための対策として、妊娠後はつわり予防として、生理痛が起こらないように鍼灸を受けるというイメージです。

鍼灸師にとっては当たり前のことでも、知らない人は多いので。まずは、今通ってくださっているお客様に、未病治の考え方やフェムテックについて伝えていくことで悩みの解決につながっていくと思っています。未病治というか、予防医学の視点はもっと広めていきたいです。

フェムテック tv:フェムテックの領域においてもそうですが、予防の視点はけっこう重要になりますよね。

栗本さん:はい、そう思います。そのことを知っているか、知らないかだけでも違ってくると思います。知らないから不安になる、知らないから悩むということは、けっこうありますよね。

『腟サロン』の参加者からも、「知ったことであの時の現象はこういうことだったんだって分かりました」という声が届くことがあり、知識を得ることも予防になるのではないかと思っています。

生理痛や更年期など、女性特有の不調が起きた場合、どこの科に行けばいいのか分からない人もいます。私の母も「更年期かな……」と言っていた時があって、「念のため病院に行ったほうがいいよ」と話したら、「どこに行けばいいの?」って。「産婦人科だよ」と伝えたら、「こんなに楽になるなら早く行っとけばよかった」って言っていました。

ただ、産婦人科を受診しても、雑な対応をされて「産婦人科には行きたくない」という声も聞くので、めげずに自分に合った病院を探してほしいなと思います。

フェムテック tv:産婦人科に行きたくないという話はよく耳にします。

美顔鍼灸の施術をする栗本さん

グラン治療院のスタッフのみなさん

セルフプレジャートイの必要性とは

栗本さん:そして、セルフプレジャートイは必要性を感じていないから手が伸びないのかなと思うんです。「セックスをすると幸せホルモンのオキシトシンが分泌されますよ」と話をするんですが、「相手がいないと……」と言われるんです。でも、セルフプレジャーでも分泌されると話すと、「そうなんだ!」と、セルフプレジャーに関心を抱く方も多いので、必要性を感じれば、買ってみようとなるのかなと。

フェムテック tv:最近のセルフプレジャートイはデザインがスマートですよね。いかにも……みたいな見た目ではなくなっただけでも、ハードルが下がってきたように思います。海外セレブも必要性を訴え始めていたりして、世の中的にはセルフプレジャーに関して確実に見方が変わってきていますよね。そうなるときちんとした知識が必要になってくると思うのですが、セルフプレジャーに限らず、フェムテックに関してどういったことを心掛けて伝えていますか?

栗本さん:フェムテックは発展途上の分野で、どうしてもいろんな意見が出てきてしまいます。そういった意味では、鍼灸師という肩書は安心材料になっているように思いますし、発信する内容に関しては、専門性やエビデンスなどをきちんと調べています。

4月22日に発売になる、栗本さん初の著書『うるおいの腟レッチ』

『腟サロン』では女性風俗の経営者をゲストスピーカーに呼んだことも

フェムテック tv:栗本さんのお話を伺っていると、知識もそうですが共感性というのも大切にされている印象があります。

栗本さん:そうですね。悩んでいると、どんな情報にもすがりたくなると思うんです。押しつけではなくて、後押しする形を意識しています。「こうしたほうがいい」ということは言わず、選択肢のひとつになるような形で。

後は、自分がいいと思ったことしか言えないので、体験談を交えながら話すようにしています。肌荒れの話もそうですが、使ったことがないアイテムはおすすめしませんし、逆に当院で取り扱いのない商品でも本当にいいと思ったものは紹介します。

あと、自分の体験談を話すことによって患者さんも話しやすくなるかなと思っています。だからと言って、必ずしも話さなければならないわけではなく、話したくなった時に話しやすい関係性を築いていくように意識しています。

フェムテック tv:『腟サロン』の参加者には、どういう方が多いですか?

栗本さん20代からシニア世代もいて年齢層は幅広いですが、その中でも3040代が特に多いです。自分にトラブルがあったから知りたくて参加されている人も、何もトラブルが起きたことがないけど、事前に知っておきたいという人もいます。

フェムテック tv:そういう方は、予防的な観点で参加されているのでしょうか?

栗本さん:そうです。でも、具体的な話を聞くと、「あ、分かる」みたい人もいて、認識はしていなかったけど、言葉にすると「そういうことだったんだ」と、理解されるケースもあります。

フェムテック tv:どれくらいのペースで開催されているんですか?

栗本さん:これまでは月に1回だったんですけど、今年からは不定期開催にしようと思っています。ゲストを読んで話してもらう会も計画中です。1月は、女性風俗を経営されている方をゲストスピーカーとしてお呼びしました。

フェムテック tv:女性風俗の話は興味深いです。いろんな発信をされていますが、本も出版されるんですよね。

栗本さん:そうなんです!私の自己紹介的なことも含めながら、女性の健康課題に関してひとりでも多くの人に関心を持ってもらいたいと思い、入門編というか、自分の身体について知らないことを知るに変えられる本になるといいなと思って制作しているところです。

「デリケートゾーンのケアアイテムはどこで買えますか?」という質問もけっこうあるので、私が使ったことがあるものを中心に、いろんなメーカーさんのアイテムをたくさん掲載しています。

栗本さん愛用のフェムテック・フェムケアアイテム

セルフプレジャーも腟ケアの一環

フェムテック tv:栗本さんが実際に使っているケアアイテム、気になります!

栗本さん:デリケートゾーン専用のアイテムを使って洗って保湿をすること。いろんなブランドのアイテムを試しているのですが、今は『明日 わたしは柿の木にのぼる』をラインで使っています。腟トレもしていますし、セックスをする時はローションを使うこともあります。最近は、吸水ショーツの魅力にハマっています。

フェムテック tv:吸水ショーツはどのメーカーを使っていますか?

栗本さん:はじめての吸水ショーツは『ムーンパンツ』のバックレースのタイプでした。可愛くて、思わず職場の後輩に見せました。「これ吸水ショーツなんだよ、可愛くない?って」(笑)。

VIOの脱毛もしていますし、セルフプレジャーも腟ケアの一環だと思っています。

フェムテック tv:いろいろやってらっしゃいますね。とても勉強になります!では最後に、栗本さんが思うウェルビーイングな社会はどんな社会ですか?

栗本さん:ひと言でいうと、自由な感じ。自分の考えや思っていることを気楽に言える社会かなと思います。フェムテックも当たり前になって、難しいことではなく、親も、教師も普通に話せる社会。

理解しようとする、知ろうとする、他人事ではなくて、みんな当事者として考えられる。つい勝手に想像したり、気を遣って行動することもあると思うんですが、解釈は無限で、捉え方もさまざまなので、自分の考えも、相手の考えも尊重するためにコミュニケーションを大切にする社会になるといいなと思っています。

フェムテック tv:すべてはコミュニケーションありきですよね。今日はありがとうございました!

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木川誠子
ライフオーガナイザー1級、アロマ心理の資格を保持。出版社勤務を経て2009年に独立。編集者・ライターとしての経験を活かし、ライフスタイルを仕立てる(tailor)を意味するライフスタイラーとして、美容や食など様々な角度からライフスタイルの情報を発信。ライフスタイルは感性や感覚、体験などで構築されて、ひとりひとり異なるもの。自分自身で感じた感覚を大切に、独自の体感や実感を取り入れながら、雑誌やWEBメディア、カタログなどでの執筆活動をはじめ、メーカーブランディングなども行う。また、姉妹で、完全予約制のプライベートショップ「KIRA CLOSET」を主宰し、ワークショップや食事会を企画、開催。食事会でのメニューはお手軽でありながら、さり気ないおもてなし感が特徴で、レシピは定期的にメディア掲載中。