フェムテック/ケア by 木川誠子

日本発セルフラブブランド「aib」誕生秘話。セルフラブとセルフプレジャーとは?

フェムテックのムーブメントが起き、月経や更年期、妊娠など女性特有の事柄やセクシャリティについて、語られる機会が増えてきました。そして、解決へと導くためのさまざまなアイテムが登場している中で、セルフプレジャー・トイをはじめ、デリケートゾーンにも取り入れられるケアアイテムや潤滑ゼリーを展開する、日本発のセルフラブブランド『aib(アイブ)』が誕生。

代表であるYUKIEさんに誕生の背景を伺うと、女性としてのリアルな実体験がきっかけになっていました。YUKIEさんのこれまでの歩みを振り返りながら、セルフラブの大切さについてお話しいただきました。

15歳で女優として活動を始め、23歳で引退

「15歳から女優として活動していたのですが、やる気はあるもののなかなか芽の出ない日々が続きました。そんな中で受けたグラビアオーディションでは、『君はグラビアではなく、樽ダルだね』と鼻で笑われたことがあります。樽とは太っているという意味です。その場はなんとか笑顔で乗り切りましたが、泣きながら帰りました。

仕事柄、常に容姿を見られ、周りと比べられる環境だったこともあり、その当時は『かわいくいなければ、選ばれなくては』と、常に容姿をジャッシされることに応えようと必死になっていてとても苦しかったです」(aib代表・YUKIEさん。以下同)

23歳で女優業の引退を決断。女優時代に常に体型のコントロールを意識していたことや幼少期に習っていた器械体操の影響もあって身体のメンテナンスに興味を持ち、エステティック業界へ。そこでも女性が働くことの大変さに直面。

23歳で美容業界へ。プライベートでは結婚、離婚を経験

「女優をしていた頃はやる気だけはあったものの、何かを成し遂げたことがありません。だからこそ引退後は、自分で何かを成し遂げたいと思って働いていたのですが、彼氏とのケンカでメンタルが落ち込んだ状態のスタッフがいて業務に支障をきたしたり、生理による不調で出勤できないスタッフがいたり、そのためにオーナーがシフト管理に苦労している姿を目の当たりにして、芸能界とは違う現実を知りました。また、ハードワークなのに給与が満足いかなくて、この頃から独立を意識し始めます。

プライベートでは24歳の時に結婚したのですが、その2年後に離婚。今振り返ってみるとその当時は、『結婚をすることが女性の幸せ、男性に選ばれる女性でいなくてはいけない』と思い込んでいたようです」

28歳で再婚し、出産。出産直後に未経験の飲食業で起業

独立を考えながらも28歳で再婚し、出産。子どもを産んだ直後に、「20代の今なら身体の無理が利く」と思い、そのまま起業。経営や飲食業は未経験ながら、タピオカブームに乗ってドリンクスタンドをオープン。

「エステサロンでの起業はできないと思いましたが、ドリンクスタンドの経営も大変でした。スタッフは何人もばっくれましたし、シフトには私も入っていたのですが、出産直後だったこともあって母乳を出さないといけないし……と、ひっちゃかめっちゃかな状態。それでもブームの後押しもあって経営的には波に乗れて、これまで『選ばれなくては』と思っていた強迫観念からは解放。『やっと自分の人生が動きだした』と感じ、このタイミングを逃したくないと、寝る時間を削って戦闘モードで働きました。

ただ、『産後は無理をしないほうがいい』という言葉をすべて無視していたので、やっぱり心身には影響が出てしまいました。常にイライラしているし、髪の毛は抜けて水分がなくなってパサパサな状態。パートナーとは出産後から約3年間はセックスレスになっていたし、婦人科に行ったら病気が見つかるし……。それでも気持ちで乗り越えていたのですが、ある時アルバイトの男の子に注意をしたら『くそばばあ』と言われ、鏡で自分を見たら確かにくそばばあだったんです。

その時に、『私、このまま女性として終わっちゃうのかな』と。私には何が足りないのだろうと考えた時に、『セルフラブだ!とくにセクシャルが足りていない』と気がつきました」

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木川誠子
出版社勤務を経て2009年よりライター・エディターのフリーランスとして活動。ウェルネスや美容、ライフスタイルのコンテンツを発案し、ディレクションから執筆まで一貫して携わる。2016年から兼ねてより関心のあったフェムテック領域に本格的に取り組み始め、フェムケアをはじめ、五感を通して自分を知るための”フェムアートプロジェクト”を立ち上げる。2022年には「株式会社k company」を設立し、その実践の場を創造・提供している。ライフオーガナイザー1級/アロマ心理/公認フェムテックマイスター(TM)