【マーティン×ゆみえ先生】“基本の性教育” vol.1 現代女性の生涯月経数が「約10倍以上に急増」!?
朝の情報番組などで活躍中のタレントのマーティンが、日頃から疑問に思っている“女性の身体”のアレコレを学ぶ「基本の性教育」。「女性が日々、生理など女性特有の不調で辛そうにしていることは知っていても、僕たち男性がどう声を掛ければよいのか、何をしてあげればいいのか、分からないことだらけ。この機会にぜひいろいろ教えてほしいです」と言うマーティンの疑問に、産婦人科医の池田裕美枝先生がオンラインで答えます。
月経は「気持ちの良くない」生理現象
マーティン:
僕が学生の頃は、学校の性教育の授業は男女別に受けていたので、そもそも女性の身体に関しての知識がないに等しいんです。疑問があっても、女性にはなかなか聞けないですし……。だから正直、女性の身体に関しては謎だらけです。
僕のように「女性には生理がある」という程度にしか知識のない男性も多いと思うので、今回はいろいろ聞きたいなって楽しみにしてきました。まずは、基本中の基本でお恥ずかしいのですが、「そもそも生理って何?」というところから教えてください!
池田先生:
男性が女性の身体のことをきちんと知ることが大切ですからね。どんどん質問してくださいね。まずは普段、「生理」と一言で言っていますが、身体の生理現象って他にも山ほどありますよね。
たとえばクシャミ、オナラ、排尿なども人間の生理現象です。ただ、今回ここで言う、いわゆる「女性の生理」は、正式には月経と言います。月経は人間のさまざまな生理現象のなかでも、際立って気持ちの良くないものなんです。
マーティン:
たしかにクシャミとか排尿にはスッキリ感がありますもんね。月経にはそれがないのですか?
池田先生:
そうなんです。人間の生理現象は、ほとんどのものが出してしまったら気持ちが良いものばかり。でも月経はすっきり感も快楽もなく、ただただ血が出て、お腹や腰も痛い現象なんですよね。
マーティン:
たしかに月経中の女性はいつも苦しんでいるイメージがあります。
「赤ちゃんのベッド」が排出される?
池田先生:
では、なぜ「月経時に血が出るのか」と言うと、女性の多くは子宮を持って生まれてくるのですが、子宮を持つ人は、いつの日か子宮の中で赤ちゃんを育てることができるようにするために、子宮の内側にある赤ちゃん用のベッドをつねに新調しておく必要があります。
年に約12回ある排卵ですが、毎回、妊娠するわけではありません。妊娠に至らなかった場合には、その都度、不要になった赤ちゃん用のベッドがはがれ、経血と一緒になって排出されます。それが月経の仕組みです。
マーティン:
「赤ちゃんのベッド」って聞くと、なんだか可愛らしい物にも思えますね。それが、どうして痛みや苦痛を伴うのでしょう?
池田先生:
月経のある女性の全員が苦痛を伴っているわけではなく、痛みの有無や症状は人それぞれなんですよ。ただ、何らかの苦痛を感じたことのある女性がほとんどでしょう。
「なぜ、月経が辛いのか?」の質問に答えるのは、なかなか難しいのですが、ひとつ言えるのは、女性が生涯で経験する月経の回数が、おそらく人類史上、現代がもっとも多いということに関係しているのではないかと思われます。
マーティン:
人類史上もっとも多い!? かなり衝撃的なワードですね。
月経数が「人類史上もっとも多い」現代女性
池田先生:
私たちの祖先は四足歩行の猿から二足歩行に進化しました。ただ、二足歩行になったことで女性の骨盤が小さくなり、頭の大きな赤ちゃんを産むことが難しくなったのです。
二足歩行に進化した人類は、しばらくは早産や死産の確率が極めて高く、子どもを無事に産み育てることが困難だったことが分かっています。そのため人間は、発情期を手放し、種を存続させるために、時期を問わず絶えず妊娠をくり返していたのではないかと考えられています。
マーティン:
ということは、妊娠している時期が長いと、月経は少なくなるってことですね。
池田先生:
そうです。そのため、女性の生涯月経数は今よりもはるかに少なかったのです。そんなに大昔の話でなくても、日本でも戦前までは1人の女性が生涯に産む子供の数が今よりもずっと多かったことをご存じですか? 7~8人は当たり前、10人以上の子どもを出産する女性も珍しくありませんでした。
マーティン:
僕たちのお祖母ちゃん世代は、今よりはるかに兄弟が多いですもんね。
池田先生:
妊娠から出産後の授乳期の間は月経が止まるので、戦前までは女性の生涯月経数が50 回ほどだったとも言われています。対して現代の女性のなかには、生涯に450回以上もの月経を経験する人も。
そもそも女性の月経が一生のうちにこんなにも多くなってから、まだわずかな月日しか経っていないのです。そのため、月経が他の生理現象と同じように快楽を伴うものになるまで、まだ女性の遺伝子が追い付いていないことが、月経が辛い要因の1つなのではないかと考えることができます。
マーティン:
いきなり壮大な話でびっくりしましたが、すごく勉強になりました。もっと女性の身体のことが知りたくなりました!
次回は、月経に伴うさまざまな症状や対処法に関して、引き続きマーティンが池田先生に話を伺っていきます。②へ続く。
マーティン
1995年4月6日、アメリカ人の父と日本人の母との間に生まれる。4歳から日本で育ったため、英語はまったく話せなく「侍魂」を持つ日本人。いつかはハリウッドに出ることを夢見て役者活動に励み中。2019年4月1日より朝の情報番組『ZIP! 』(日本テレビ系)の「いただきます!日本全国朝ごはんジャーニー」を担当。
池田裕美枝先生
いけだ・ゆみえ
京都大学医学部卒業。「市立舞鶴市民病院」「洛和会音羽病院」にて総合内科研修後、産婦人科に転向。現在は「二宮レディースクリニック」での産婦人科外来、「神戸市立医療センター中央市民病院」の女性外来、「京都大学医学部附属病院」の女性ヘルスケア外来を担当しながら、京都大学大学院医学研究科社会健康医学系健康情報学博士課程にて、女性の社会的孤立や月経前症候群による社会的インパクトなどを研究している。
コメントを書く / 読む▼
-
[…] < 前の記事 […]
-
[…] […]
-
[…] ―以前、「マーティン×ゆみえ先生“基本の性教育” vol.1 」の対談でも出たお話ですね。 […]
この記事を読んだあなたにおすすめ
-
PMS/生理
【栄養士監修】「朝食」「魚」「発芽玄米」で生理前のイライラ、落ち込…
-
PMS/生理
【栄養士監修】PMS(月経前症候群)は食事が原因かも⁉「おすすめ食…
-
PMS/生理
管理栄養士が教える「生理前の肌トラブル」「生理中のお酒」にまつわる…
-
PMS/生理
結婚と心の安定。西野未姫が感じる心身の変化とは?
-
フェムコト PMS/生理 フェムテック/ケア 連載
「心や体の悩みは溜め込まず、やりたいことをやる人生に!」クリエィテ…
-
NEWS
加藤綾菜さんが夫・茶さんと築いた“45歳差婚”という新しいパートナ…
-
お悩み相談室
「セックスを自分の意思で行ってる?」……NOと言えないあなたを守る…
-
フェムテック/ケア 性
女性を解放するセクシャルウェルネスとは?
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です。