PMS/生理 今月のFな人 メンズ by 小嶋美樹

【マーティン×ゆみえ先生】“基本の性教育” vol.2:「三陰交のツボ押し」を男性は覚えておくべし!

朝の情報番組などで活躍中のタレントのマーティンが、日頃から疑問に思っている“女性の身体”のアレコレを学ぶ「基本の性教育」。「女性が日々、生理など女性特有の不調で辛そうにしていることは知っていても、僕たち男性がどう声を掛ければよいのか、何をしてあげればいいのか、分からないことだらけ。この機会にぜひいろいろ教えてほしいです」と言うマーティンの疑問に、産婦人科医の池田裕美枝先生がオンラインで答えます。

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「そんなことで怒る?」はPMSの可能性も

マーティン:
前回は月経の仕組みについて教えていただきました。今回は、月経に伴って起こるさまざまな不調に関して教えていただきたいです。「お腹が痛そうだな」というイメージが強いのですが、その他にはどんな症状があるのですか?

池田先生:
腰痛や頭痛、倦怠感を伴う女性が多いのですが、なかには下痢になったり、嘔吐する人もいます。さらに言うと、月経の期間中ではなく、月経前に心身に症状が出る女性も。月経開始の数日前から腹痛や頭痛、倦怠感などを感じたり、精神的な症状が現れることを、PMS(月経前症候群)と言います。

マーティン:
月経のときだけじゃないんですね。それは僕が思っていた以上に大変だ!

池田先生:
PMSの精神 的な症状として多いタイプが、気持ちのアップダウンが激しくなって些細なことで泣いてしまったり、イライラが止まらなかったり……。「無性に特定の物が食べたくなって我慢できない」なんて症状が出る女性もいます。

マーティン:
女性がなんだかいつも以上にイライラしている日がありますもんね。「なんでそんなことで怒る?」ってこともたまにあったり(笑)。あれはPMSの症状だったのかもしれませんね。

池田先生:
そうかもしれません。女性も後々振り返ったときには、「八つ当たりして申し訳なかったな」とは思うんですけどね(笑)。

PMS期のケンカの原因は「日頃の本音」?

マーティン:
PMSの症状でイライラしちゃう女性に対して、僕たち男性はどう接すればよいのでしょう?

池田先生:
実は以前、PMSでイライラして、身近な男性に八つ当たりをしてしまった経験のある女性たちに話を聞く機会がありました。PMSのケンカの原因は、実は「その時に急に気になったことで口論になる」というよりは、日頃は愛情や優しさから女性が我慢できていたことが、PMSのせいで理性が効かなくなったことで、男性についつい言ってしまう一言が原因になっていることが多いようです。

マーティン:
PMSによって、日頃は我慢していた本音が出るってことですか!?

池田先生:
そうなんです。たとえば、男性が良かれと思って食後にお皿を洗ってくれるとします。嬉しいのだけれど、洗い方が雑で、毎回シンクの周りが水浸しになるのが実はイヤだったと……。

普段は「洗ってくれたんだから大目にみよう」と思って黙っていられた女性も、PMSと重なったことで「なんで水浸しにするの?」とついつい言ってしまいケンカになったことがあった、と話してくれた女性に対して、その場にいた女性たちも口をそろえて「わかる!」と、共感の嵐でしたよ。

マーティン:
そんなこと聞くとちょっと怖いんですが、ケンカを避ける術はあるんでしょうか?

池田先生:
女性の気分が落ち着いている時期に、ケンカの要因になりそうなことを正直に話し合っておくのがいいかもしれませんね。そのためにも、まずは身近な男性に「女性の身体のサイクル」を知ってもらうことが大切です。

男性が我慢をして、女性のすべてを受け入れるべきだとは思いません。PMSによる女性のイライラは期間限定で過ぎ去ることなので、しんどい時は離れたり、その時期は会わないでおく、などのルールを作っておくのもいいかもしれませんね。

月経痛には「仙骨」を温め「三陰交」のツボ押しを!

マーティン:
女性は日々、さまざまな症状に襲われて大変なんですね。痛みや不快な症状を軽くできる方法はないのですか?

池田先生:
工夫の仕方はいろいろあるんですよ。たとえば、月経中の腹痛や腰痛を和らげるには、身体を温めることが大切です。腹巻などを履いてお腹まわりを冷やさないように心掛けたり、お腹や腰 の下の方にある「仙骨」という骨のあたりにカイロを張って温めることでも痛みを和らげることができます。

マーティン:
カイロならコンビニでも手に入りますよね。仕事関係の女性や友達が痛がっていたら、僕、すぐに買いに走ります!

池田先生:
他には、足の内側のくるぶしから指で4本分ほど上にある「三陰交」というツボがあるのですが、そこを押したり温めたりすることで血の巡りがよくなり、月経中の腹痛や腰痛の緩和が期待できます。

マーティン:
ツボ押しですね。それなら僕にでもできますよね。「女性が苦しんでいるのをなんとかしてあげたい」と思う男性は、このツボを覚えておくべきですね。

鎮痛剤は「痛くなる前に飲む」がポイント

池田先生:
ただ、最も痛みに効果的な対処法は、痛み止めの鎮痛剤をできるだけ早く飲むことなのです。

マーティン:
早く飲むのがいいだなんて知りませんでした。薬を飲む目安みたいなものはありますか?

池田先生:
ほとんどの女性が、月経に伴う痛みをギリギリまで我慢した上で、「もうこれ以上はムリ!」となって鎮痛剤を飲むことが多いように思います。でも、それでは遅いのです。できればお腹や腰が痛くなる前に服用してください。

毎月のことなので、女性は自分が痛くなるタイミングの予測がある程度できますよね。「たぶん今日は痛くなるな」とか「ちょっと痛くなってきたぞ」という段階で鎮痛剤を服用するほうが、確実に痛みを抑え込むことができるのです。

マーティン:
薬はどんなものを飲めばいいのですか?

池田先生:
一般的な薬局に売っているロキソプロフェンやイブなどで大丈夫です。「早めに飲む」ということを覚えておいてほしいなと思います。

マーティン:
「痛みを我慢しないで、早めに」がポイントですね。僕も覚えておきます!


次回は、月経を自分でコントロールできるピルに関して、引き続きマーティンが池田先生に話を伺っていきます。③へ続く。

 

 

マーティン
1995年4月6日、アメリカ人の父と日本人の母との間に生まれる。4歳から日本で育ったため、英語はまったく話せなく「侍魂」を持つ日本人。いつかはハリウッドに出ることを夢見て役者活動に励み中。2019年4月1日より朝の情報番組『ZIP! 』(日本テレビ系)の「いただきます!日本全国朝ごはんジャーニー」を担当。

 

池田裕美枝先生

いけだ・ゆみえ 京都大学医学部卒業。「市立舞鶴市民病院」「洛和会音羽病院」にて総合内科研修後、産婦人科に転向。現在は「二宮レディースクリニック」での産婦人科外来、「神戸市立医療センター中央市民病院」の女性外来、「京都大学医学部附属病院」の女性ヘルスケア外来を担当しながら、京都大学大学院医学研究科社会健康医学系健康情報学博士課程にて、女性の社会的孤立や月経前症候群による社会的インパクトなどを研究している。

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小嶋美樹
編集者、ライター、ディレクター。大学卒業後、出版社に勤務し、女性誌や実用書・ビジネス書の編集、WEBディレクターなどを経て、2020年からフリーランスに。現在は主にインタビュー記事や女性のライフスタイル・子供の教育系記事の執筆、韓国エンターテインメント記事の編集・執筆など行う。趣味は旅行で、今一番欲しいものは子供たちと日本中を旅して回れるキャンピングカー。