加藤綾菜さんが夫・茶さんと築いた“45歳差婚”という新しいパートナーの形
夫である加藤茶さんとの結婚生活を綴った加藤綾菜さんによるコミックエッセイ『加藤茶・綾菜の夫婦日記 加トちゃんといっしょ 』が、3月30日に発売されました。綾菜さんが加トちゃんと出会って12年、そして結婚して10年。その濃密な時間が1冊にまとまっています。年の差婚、両親の存在、子供のこと……etc.今を生きる女性のみなさんなら、きっと共感することも多いはず。多様化するパートナーシップの形を体現した綾菜さんのインタビューから、女性の新しい生き方が見えてきました。
子供がいないことは「可哀想」なんかじゃない
フェムテック tv:コミックエッセイ発売おめでとうございます! 2人の日常を描くことに、加藤茶さんとは最初にどんなお話をされましたか?
加藤さん:初めは自分よりも加トちゃんのほうが書籍に対する温度が高くて「もっとこう書け」と言われることもありました(笑)。怒られるのが嫌で、途中は隠しながら執筆したことも。ただ行き詰まったときに「これどう思う?」と尋ねると、すごく的確なアドバイスをもらえるんですよね。ただ出来上がった本を見せたら、ほとんどダメ出し。「僕だったらこうする」とか、オチが甘いと言われました(笑)。
フェムテック tv:日常をさらけ出すことに反対はされなかったんですね。
加藤さん:加トちゃんからは「どうせ書くんだったら全て正直に全部書きなさい」と言ってもらいました。この一言で書くことにしたはいいものの、すごく時間がかかりましたね。最終的に書き終えたのは、校了の3日前。自分の情けない部分や恥ずかしい部分も全部書いたので、加トちゃんには“さすがにこれは何か言われるかな?”と思ったけど「これでいいじゃない」と言ってもらえました。
フェムテック tv:当初は“子供のことは絶対に書かないと決めていた”んですよね。
加藤さん:“可哀想”と思われることが嫌だったんです。周囲の方やインタビューで「子供がいないと、加トちゃんがいなくなったら寂しくないの?」というようなことを聞かれることが多くて。そこで“私って可哀想だと思われてるんだ”って気づいたんです。それはもちろん子供がいたほうが幸せなのかもと思うけど、10年間いろんなことがあって、加トちゃんが病気になって生きるか死ぬかを乗り越えて今がある。もう生きてること自体が幸せなんだって思えるから、私は可哀想じゃなくて“今めっちゃ幸せなんだ!”ってことを伝えたいと思いました。
フェムテック tv:子供のことを書いたことで、心境の変化はありますか?
加藤さん:誰かに伝えることって、大事だなと思いました。今まで吐き出してなかった気持ちを文字にしたら、自分自身も整理ができる。自分で自分の言葉にうなずき、自分が励まされているような気持ちになりました。完成したことで、一歩前に進めたなっていうのは自分でも感じます。
フェムテック tv:子供や年の差婚のことなど、ファンの方からの相談が増えそうですね。
加藤さん:私、めちゃくちゃ相談しやすいみたいで、この前も街で声を掛けて頂いた方の悩みを聞いていました。私から何かアドバイスするわけじゃなく、何時間でもとことん話を聞くんです。そうすると相手も自分のことが整理できるみたいなんですよね。それは親友の鈴木奈々ちゃんから学んだこと。奈々ちゃんは「そうだね、それはツラいね~」って何時間でも話を聞いてくれる。話終わると、なんだか乗り越えられた気持ちになるんです。私も人に相談されたら嫌な顔せず、ずっと話を聞いてあげられる人になりたい。そう思い、今そうしています。
フェムテック tv:書籍での鈴木奈々さんとのエピソードも素敵でした。
加藤さん:奈々ちゃんからは「めちゃくちゃ泣いた」と2回言われました。同じことを何回も言うんです(笑)。奈々ちゃんとのエピソードの部分は、正直泣けるような話じゃないんですよ。だけど号泣して電話を掛けてきて「そんなに私のこと好きでいてくれてありがとう」って。やっぱり奈々ちゃんて変わってるなと思いました(笑)。
“お互いが生きるパワー”と認め合う最高のパートナーの形
フェムテック tv:10年前、結婚を決意するにあたり“45歳差” 、“加藤さんがトップスター”ということを壁に感じたことはありましたか?
加藤さん:結婚するときは全然何も考えてませんでしたが、結婚後に生活が一変して悩むことは多かったです。加トちゃんの常識と私の常識が違いすぎたり、私生活を人に言われたり見られたりすることに慣れませんでした。それに対して私が両親に愚痴をこぼすと、父からこう言われたんです。「加藤茶と結婚するっていうのはそういうことなんだよ。綾ちゃんも世の中のバッシングにムカつくのもいいけど、そこから学ぶこともたくさんあって、綾ちゃんも成長せんといけん」って。そこから私も少しずつ変わっていきました。両親は結婚の際も「あなたが選ぶ人なら大丈夫」と私を信用してくれてたんです。
フェムテック tv:パートナーシップの形は、加藤家のように多様化していますよね。もしかしたら、そこにはそれぞれの悩みがあるかもしれません。綾菜さんが悩み相談を受けたとしたら、ご自身の経験をもとにどんな言葉をかけたいですか?
加藤さん:かけるほどの人間じゃないからな~。永遠にその方の話を聞くしかできないですね。歳の差結婚に関しても、InstagramのDMに1日100件以上、把握できないほどの相談が送られてきます。歳の差があると一緒に過ごせる時間が短いので、やっぱり寂しいなという思いもありますよ。加トちゃんが私と同い年だったら、もっと一緒にいれたのに!って。私は加トちゃんだから上手くいったけど、加トちゃんじゃないと結婚もしてないと思います。お母さんからも「加トちゃんに感謝し!」と言われますね(笑)。
それから、いじめに関しても相談されることがあります。私のちょっとした経験でそれが誰かの勇気になっているのなら、いじめられてよかったとは思わないですが、当時の自分が救われたなと思いました。
いじめられても「自分は誠実に生きる」と決めた
フェムテック tv:学生時代のいじめ話はとても印象的でした。悩みは気づきの通過儀礼だなと感じる一方で、やはり悩んでいる時期って辛いですよね。
加藤さん:いじめの話は、実は一割しか書いてないんです。書けないくらいひどいことも多くて、その頃はストレスでものすごい嘔吐の繰り返し。それでもお母さんの手紙を毎日読んで励まされて、学校に通っていました。私が加トちゃんと出会ってからストーカーのように手紙を送っていたのも、このときに母からもらった手紙の影響かもしれません(笑)。
いじめが続く日々の中で、ある日ふと電車の中で「私のことをいじめてるあの人たちも、何か苦しいのかな?」って思ったんです。そしたら彼らのことを“許そう”と思えた。13歳ながらにそう思えた自分にも感動したし、お母さんの言っていた「一番苦しんだ人が一番幸せになれる」ってことも理解できた気がしたんです。許した直後、いじめてた子に「おはよう」と言ったら「おはよう」と返してくれた。そのことにもめっちゃ感動したんです。やっぱり自分が変わると、目の前が開けてくる。だからバッシングされていた時代も「何を言われても誠実に生きるんじゃ」と自分に言い聞かせて、今日も頑張ろうという思いで生きてきました。
フェムテック tv:夫婦のこれまでの葛藤も赤裸々に綴られていましたが、誰かのために生きる人生はいいなと思いました。
加藤さん:加トちゃんも「綾ちゃんがいたから長生きできる」、「綾ちゃんのおかげだよ」とこの前も言ってくれて、お互いが生きるパワーになっています。加トちゃんはめっちゃ病院が好き! だから健康なんだとも思います。私の4月の誕生日プレゼントは、人間ドッグなんですよ。私は去年、突発性難聴になってしまったんですが、いつも加トちゃんのことばっかり気にしてたので全然気付かなかったんですね。病院に行って薬を飲んだらすぐ治りました。健康第一ですね。
フェムテック tv:最後に、このコミックエッセイを読んだ方にどんなことが伝わったらいいなと思いますか?
加藤さん:コロナ禍だったり戦争だったり世の中がいろいろと大変なときに、一人でもくすっと笑ってもらい心が温かくなってもらえたら、それだけでうれしいです。
加藤綾菜さんがマンガ家デビューを果たした、コミックエッセイ『加藤茶・綾菜の夫婦日記 加トちゃんといっしょ』(双葉社)は現在、絶賛発売中。
加藤 綾菜
かとう・あやな 1988年4月12日、広島県生まれ。O型。2011年にザ・ドリフターズの加藤茶さんと結婚。年齢差45歳の年の差婚として話題に。YouTube『加藤家の日常』では得意の料理を披露し、夫の体調を考えた「美味しく減塩料理」を日々磨き深める。介護食アドバイザーの資格も取得。
YouTube:『加藤家の日常』
Instagram:@katoayana0412
Twitter:@katoayana0412
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