PMS/生理 今月のFな人 メンズ by 小嶋美樹

【マーティン×ゆみえ先生】“基本の性教育” vol.3:「月経をコントロールできるピルは女性の味方」を知り、もっと生理について語ろう!

朝の情報番組などで活躍中のタレントのマーティンが、日頃から疑問に思っている“女性の身体”のアレコレを学ぶ「基本の性教育」。「女性が日々、生理など女性特有の不調で辛そうにしていることは知っていても、僕たち男性がどう声を掛ければよいのか、何をしてあげればいいのか、分からないことだらけ。この機会にぜひいろいろ教えてほしいです」と言うマーティンの疑問に、産婦人科医の池田裕美枝先生が答えます。

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【マーティン×ゆみえ先生】“基本の性教育” vol.1 現代女性の生涯月経数が「約10倍以上 に急増」!?

【マーティン×ゆみえ先生】“基本の性教育” vol.2:「三陰交のツボ押し」を男性は覚えておくべし!

 

月経をコントロールできる「ピル」を知ろう

マーティン:
前回はPMSの症状や月経痛の対処法を教えていただきました。改めて、女性は僕ら男性とは違い、普段からさまざまな不調を我慢していることを知って驚きの連続でした!

池田先生:
女性の身体のことを理解し、男性がそういう気持ちを抱いてくれるだけでも、女性たちは嬉しいのではないでしょうか? 日本ではまだまだ月経や性の話はタブー視されがちですからね。男性に言いにくい手前もあって、不調を我慢して日常生活を送っている女性も多いと思いますよ。

マーティン:
僕たち男性も、「変なこと聞いて、セクハラだと思われたらどうしよう?」とか「生理の話題に触れたらまずいかな?」とか思ってしまい、その話題を避けてきたところがあります。でも恥ずかしがらずに、まずは知ることが大切なんだと思えてきました。

池田先生:
では、そんなマーティンさんにさらに知って欲しいことがあります。それは、今までのお話は月経の痛みに対する対処療法(※本記事②参照 )だったのですが、月経そのものをコントロールできる薬もあるんです。日本の場合は、医師の診察後でないと手に入らないのですが「ピル」という薬です。

ピルを飲むことで、月経周期や出血する日を自分で決めることができたり、月経の回数を減らすこともできます。つまり、月経に伴う辛い症状の緩和も期待できるのです。

マーティン:
自分で決めることができるって、すごいですね!

「月経の回数を減らすこと」は身体に悪い?

池田先生:
ただ、日本の女性は、「副作用が強そう」とか「そもそも薬を毎日飲むなんて身体に悪そう」など、ピルに対してあまり良いイメージを持っていない人も多いように感じています。

たしかに、ピルを飲むことで副作用が出る人もいますが、ほとんどの場合は最初の数日間だけ。その後は身体が慣れて、副作用がおさまることがほとんどです。また、現在日本で処方されているピルは4種類あって、自分の身体に合わないピルがあったとしても、医師の指示のもと他のピルに変えてみることで、副作用が緩和されることもあるんです。

マーティン:
日本人に限ってかどうかは分かりませんが、なんとなく「薬に頼りすぎるのはよくない」ってイメージが、たしかにありますよね。

池田先生:
「ピルによって月経をコントロールすること自体が身体に悪い」との間違った情報を信じている女性も多いかもしれません。でも、「そもそもこんなに生涯月経回数が多いのは、人類の長い歴史のなかでも現代女性だけ(※本記事①参照 )」という事実をみても、月経の回数を減らすことは決して悪いことではないのです。

マーティン:
「人類史上、現代女性がもっとも多い月経を経験している」でしたよね?

池田先生:
その通りです。月経の回数が多すぎることによって、子宮内膜症や子宮筋腫など婦人科系の病気への罹患リスクも高まることも分かっています。ピルを正しく使うことで、そのリスクを減らすこともできるのです。

マーティン:
でも、ピルは医師の診察後でないと手に入らないんですよね? 月経の痛み止めと同じように薬局で買うことはできないんですか?

池田先生:
日本では処方箋がいる薬なので、病院を受診する必要があります。しかし、特に10~20代の女性は、婦人科やレディースクリニックを受診することに抵抗を感じる人も多く、毎月寝込むほど月経痛が辛くても、病院には行かず、我慢して過ごしている人が多いのではないでしょうか?

マーティン:
僕もそんなイメージがあります。

池田先生:
あまりに激しい月経痛は痛婦人科系の病気に起因している場合もあり、その場合には治療が必要です。そうではなかったとしても、今までお話してきたように、月経に伴う苦しみを軽減できる選択肢はいろいろとあるのです。もっと気軽に婦人科やレディースクリニックを利用してほしいなと思います。

「今日、生理なんだ」が普通の世の中に

マーティン:
女性はずっと痛みを我慢しているイメージがありますが、それを察したとしても、僕ら男性からその話題に触れていいのか、悪いのか……。正直、どうすればいいか戸惑っています。

池田先生:
じゃあ今日からはぜひ、仕事中やお友達との集まりなどの最中に辛そうにしている女性がいたら、思い切って声をかけてみてあげてはどうでしょう? 

マーティン:
そんなことができたらカッコいいですよね。でも、あまりにスマートな対応をしすぎても「うぁ~こいつ、女に慣れてるな」とか「遊んでそうだな」と思われそうで……ちょっと怖いです(笑)。

池田先生:
そこは正直に「仕事で話を聞く機会があってさ」とか「ちょっと勉強したんだよね」でいいと思いますよ。あとは、日頃から月経のことや女性の身体のことを、もっと気楽に話題にすることですかね。

今まで一度も話題に出たことがない男女間で、いきなりさっと月経痛の鎮痛剤を渡されたら……たしかに、ちょっとびっくりする女性もいるかもしれません(笑)。日頃からパートナーや職場の男女間で、もっとラフに女性の身体のことを話せる環境になるのが理想ですよね。

マーティン:
男性が女性に対して、「あっ今日、生理なんだ。無理しないでね」が普通の世の中になるといいですよね!

池田先生:
マーティンさんのような世代の男性が、普段から月経やPMSのことを「明るい生理現象」として、より気軽に話してもらえたら、世の中は変わるのかもしれませんね。

マーティン:
そのために僕もできることから頑張ってみようと思います。今回は貴重なお話をありがとうございました。

 

マーティン
1995年4月6日、アメリカ人の父と日本人の母との間に生まれる。4歳から日本で育ったため、英語はまったく話せなく「侍魂」を持つ日本人。いつかはハリウッドに出ることを夢見て役者活動に励み中。2019年4月1日より朝の情報番組『ZIP! 』(日本テレビ系)の「いただきます!日本全国朝ごはんジャーニー」を担当。

 

池田裕美枝先生

いけだ・ゆみえ
京都大学医学部卒業。「市立舞鶴市民病院」「洛和会音羽病院」にて総合内科研修後、産婦人科に転向。現在は「二宮レディースクリニック」での産婦人科外来、「神戸市立医療センター中央市民病院」の女性外来、「京都大学医学部附属病院」の女性ヘルスケア外来を担当しながら、京都大学大学院医学研究科社会健康医学系健康情報学博士課程にて、女性の社会的孤立や月経前症候群による社会的インパクトなどを研究している。

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小嶋美樹
編集者、ライター、ディレクター。大学卒業後、出版社に勤務し、女性誌や実用書・ビジネス書の編集、WEBディレクターなどを経て、2020年からフリーランスに。現在は主にインタビュー記事や女性のライフスタイル・子供の教育系記事の執筆、韓国エンターテインメント記事の編集・執筆など行う。趣味は旅行で、今一番欲しいものは子供たちと日本中を旅して回れるキャンピングカー。