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by 保住ひろえ

『卵子凍結』の手順や費用は? 痛みはあるの?|杉山医師にあれこれ聞いてみた・後編

いまの年齢の卵子を温存することができる『卵子凍結』。まさにタイムマシンのような技術ですが、どのくらいの費用が掛かるのか、通院や採卵をする際に仕事や家事とのバランスは取れるのかなども気になるところ。そこで後編の今回は、実際に卵子を凍結保存するまでの具体的な方法や手順、費用を中心にご紹介します。

不妊治療の名医としても知られる杉山力一医師に、『卵子凍結』についてお話を聞きました。

前編はこちら:『卵子凍結』のリスクやメリットをちゃんと知ろう|杉山医師にあれこれ聞いてみた-前編-

『卵子凍結』の手順って? 通院回数は?

一般的に『卵子凍結』は、3つのステップでおこなわれます。

1.排卵の誘発

2.採卵

3.凍結保存

内服薬や注射などの排卵誘発剤を用いて卵胞の発育を促し、採取した卵子を−196°Cの液体窒素のなかで凍結保存するという流れです。

杉山医師に、具体的な通院回数と診察内容について聞いてみると

「排卵の誘発から採卵までは生理周期に合わせておこなうので、通院回数は生理開始日からカウントしてその月に5回くらいです。血液検査やホルモン検査、注射の回数を決めたり、卵胞をチェックしたりします」とのこと。

通院回数は最短で3回というケースもあるようですが、クリニックによってプランは異なるため、受診予定のクリニックに問い合わせるのが確実といえそうです。

排卵誘発ってどうやるの?

排卵誘発剤を使わずに、完全自然周期で卵子を採取することもできますが、その場合の採卵数は1個に限られます。未受精卵は非常にデリケートであることに配慮すると、凍結する卵子は複数個あるほうが理想的といえるため、排卵誘発剤を使う場合が多いようです。

「私たちのクリニックでは、内服薬と自己注射の両方を使って排卵を誘発します。自己注射といっても、自分で血管に打つわけではありません。ボールペンのようになっている注射器をお腹にパチパチと打つだけです。耳にピアスを通すくらいのイメージなので、それほど難しくありません」と杉山医師。

排卵誘発剤の副作用はある?

排卵誘発剤を用いた場合に、多くの女性が心配するのは仕事やプライベートとの両立。自己注射で簡単に排卵の誘発ができるといっても、痛みなど身体に何かしらの副作用はないのでしょうか。杉山医師は「食べすぎたあとのような腹痛が続く」と例えます。

「食べすぎたあとの腹痛というと、10~20分を予想されると思いますが、3日間ほど収まらないと思ってください。いろいろなホルモン剤を投与して、多少は痛みをやわらげることができます」

しかしこの痛みは、より多くの採卵を希望して、排卵誘発剤をたくさん使用した場合に多いのだそう。

「排卵誘発剤の効き目には個人差があり、それは事前のホルモンチェックで予測できます。注射をどのくらい使用するかは、希望の採卵数によって相談しながら決めます」

妊娠に必要な凍結卵子の個数は?

凍結保存した卵子の融解後の生存率や受精率、妊娠率を配慮すると、できれば10個以上の採卵が望ましいとされています。なるべく多くの卵子を凍結保存したいけれど、痛みに耐えられるか心配という方も多いのではないでしょうか。杉山医師いわく、

「1回の採卵数を10個くらいにしておけば、ひどい副作用はでません。ただ卵子凍結は一定の費用が掛かりますし、1回のことならやはり欲張りたいですよね。私は来院される方に、なるべく多く採卵するのが望ましいので、できる限りお腹が痛いのは我慢してください 、と伝えています。2回、3回と何回も卵子凍結をすることもできますが、時間も費用も2倍、3倍とかかってしまいます」

排卵誘発のリスクはないの?

将来は自然妊娠で子供を授かることを第一に考えたときに、排卵誘発や採卵によって卵巣機能が低下してしまう心配はないのでしょうか。

「それは過剰な量の排卵誘発剤を投与して、過度な回数の卵子凍結をおこなった場合です。1回や2回の卵子凍結では、卵巣機能の低下を引き起こすリスクは低いと考えていいです」と杉山医師。

『卵子凍結』の費用は?

健康な女性が将来の妊娠・出産に備えて『卵子凍結』を選択する場合は、いまのところ保険適用外。そのため、クリニックによって費用に差がありますが、1回あたり35~50万円が相場のようです。

杉山クリニックの未受精卵凍結の費⽤

1.準備:約10万(7〜10万)※初回検査、ホルモン検査、排卵誘発剤など

2.採卵:20万 (個数にかかわらず)※⿇酔ご希望は、局所⿇酔2万、静脈⿇酔5万が加算

3.凍結:1本 3万円/年(1本には3個まで凍結可)※4~6個は6万円、7〜9個は9万円、10~12個は12万円

(例)採卵12個の場合の費用は37万円+税

1.準備:8万(初回検査、ホルモン検査、排卵誘発剤など)

2.採卵:20万 (⿇酔なしの場合)

3.凍結:3本 で9万円(採卵12個のうち、成熟卵は9個として)

※2年目以降は、凍結延⻑費⽤(9万円)が毎年かかります。

前後編でご紹介している『卵子凍結』のあれこれ。ご自身のライフプランの選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか?

杉山力一氏

杉山産婦人科 院長

東京医科大学卒業後、一貫して生殖医療に従事、セントマザー産婦人科医院で体外受精の基礎を学ぶ。2001年杉山レディスクリニック、2007年杉山産婦人科世田谷、2011年杉山産婦人科丸の内、2018年杉山産婦人科新宿を開院。医療法人社団杉四会・杉一会理事長。

http://www.sugiyama.or.jp

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