PMS/生理 by 木川誠子

コロナ禍で急増したPMS。その理由と解決策を探る

コロナ禍によってこれまでの当たり前が変化し、それに伴いワーキングスタイルもライフスタイルも変化しました。慣れない生活はいつも以上にストレスがかかるため、身体にも、精神的にも不調が起こりやすいですよね。PMSの症状もそのひとつです。

ストレス過多はPMSを悪化させる

まだまだ続くであろうコロナ禍においてPMSに悩んでいる人が増えているだろうと、産婦人科医である髙橋怜奈先生は警笛を鳴らしています。その理由を伺いました。

「コロナ禍に限らず、もともと7割以上の女性がPMSの症状がありました。その中で、自粛生活、テレワークなどの生活変化が起きたことで、ストレスが溜まりやすくなったため、PMSの症状に気付きやすくなった、さらには症状が悪化した人が増えているように思います」

髙橋先生が話すように、生理管理アプリでおなじみの「ルナルナ」が行った意識調査結果(2021226日)でも、6割以上の人が労働環境に変化があったと答えており、4割近くの人がコロナ禍の前と後ではPMSの症状に変化を感じていました。その理由に挙げられるのは、会いたいに人に気軽に会えなくなった状況やコミュニケーション不足によるストレスが影響しているようです。中には、仕事の負担が増えたという人も。

悪化した症状としては、イライラする、不安になる、憂鬱になるといった精神的な面に表れている人が多いようです。

PMSの原因は不明……

 

PMSとは、PreMenstrual Syndromeの略で、月経前症候群のこと。月経前、310日間続く精神的、身体的な症状を指し、月経が始まると緩和、もしくはなくなります。その症状は人によりさまざま。

精神的な症状

・イライラする

・不安になる

・集中力にかける

・そわそわする

・ちょっとしたことで怒りっぽくなる

など……

身体的な症状

・頭痛

・腰痛

・むくみやすくなる

・疲れやすくなる

・なかなか眠れなくなる

など……

精神的、身体的な症状を合わせると200種類以上もあるとか。精神的な症状があまりにも強い場合は、PMDDPreMenstrual Dysphoric Disorder)という月経前不快気分障害の可能性もあり、場合によっては精神科による治療が必要なケースもあります。

PMSの原因ははっきりとは分かっていませんが、排卵などによる、女性ホルモンの変動が影響していることが考えられます。ただ、女性ホルモンの分泌に関係している脳内ホルモンや神経伝達物質はストレスの影響を受けやすいため、これ!というひとつが原因ではなく、さまざまな要因から起こると言われています」

PMS、PMDDについての詳しい内容は下記の記事をチェック!

フェムテック tv:PMS(月経前症候群)ってなに? 月経前にやってくる不調について知ろう!」」

フェムテック tv:「PMS(月経前症候群)の原因ってなに?月経前の不調のメカニズムを知ろう!」

生活習慣の見直しも緩和の第一歩

 

また、カフェインやアルコールの摂取、喫煙習慣も、PMSの症状を悪化させると言われています。習慣化している行動もPMSの症状に影響を及ぼしていると考えると、症状が起きたから対処するのではなく、常日頃から意識することが重要。PMSの症状に有効的な方法を髙橋先生に伺いました。

解決策1:ピルの内服

「排卵が起こることで女性ホルモンが変動し、それが原因のひとつと言われていることもあり、ピルを服用することで改善が見込めます。ピルにもいろいろな種類があります。使用してみて合わないようであれば別の種類のピルに変えることもできますので、専門医に相談してみてください」

解決策2:漢方薬を取り入れる

「漢方薬は、ひとりひとりの症状や体質に合わせて使用できるのが魅力です。同じ薬による治療でも、ピルに抵抗がある人におすすめです」

解決策3:生理管理アプリでリズムを知る

「生理周期を管理できるアプリを用いて、自分自身のリズムを知ることで緩和につながることもあります。もしイライラしたとしても、生理前だからだと思うと気持ちが少し楽になりますよね」

解決策4:生活習慣を変える

「生理前の期間だけでも、PMSの症状を左右すると言われているカフェインやアルコール、喫煙を控えるのも有効的です。またカルシウムやマグネシウムなどのミネラルを積極的に取り入れるのもサポートになります」

身体を動かしてストレスを解消しよう

 

新しい生活様式の中では、気軽に旅行に行けない、会いたい時に友達や恋人に会えないなど、これまで当たり前のようにできていたことができないこともあり、それがPMSの天敵である、ストレスになっていることもありますよね。そこで重要なのは、ストレスを定期的に解消していくこと。

「何かと変化が起きやすい状況が続いていることもあり、気を付けていてもストレスを感じてしまうと思いますが、やはりPMSとストレスの相性は最悪です。PMSの症状を緩和させるためには、ストレスとの付き合い方が鍵を握ります。感染対策をしながら散歩するなど、気分転換になることは日常的に取り入れてください。

また、テレワークが増えたことで運動不足を感じている人も多いと思います。ウォーキングやストレッチなど、軽く運動することでもストレス発散になるので、意識的に身体を動かすことも効果的です。

もちろん自分の力でPMSの改善を試みるのもいいですが、PMSで日常生活のパフォーマンスが下がるなどして、少しでも改善したい場合には、さまざまな治療があります。専門医に相談することをおすすめします」

髙橋 怜奈

女医+所属。東邦大学医療センター大橋病院・産婦人科に在籍。ベリーダンサー、プロボクサーという一面も。メディア出演をはじめ、Twitter@renathksh)、TikTokYouTubeなど、SNSでの医療情報の発信も積極的に行っています。

参考:コロナと働く女性の体調変化についての意識調査

 

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木川誠子
出版社勤務を経て2009年よりライター・エディターのフリーランスとして活動。ウェルネスや美容、ライフスタイルのコンテンツを発案し、ディレクションから執筆まで一貫して携わる。2016年から兼ねてより関心のあったフェムテック領域に本格的に取り組み始め、フェムケアをはじめ、五感を通して自分を知るための”フェムアートプロジェクト”を立ち上げる。2022年には「株式会社k company」を設立し、その実践の場を創造・提供している。ライフオーガナイザー1級/アロマ心理/公認フェムテックマイスター(TM)