【村重杏奈×亜希子先生】理由もないのに泣いてしまう……心が不健康になるその前に! ピルの効果とPMSとの向き合い方|後編
PMSという言葉を最近知り「気持ちが少し楽になった」と話していた村重杏奈さん。今回の【今月のFな人】では、村重さんがPillクリニック新宿院長の宮本亜希子先生からPMSやPMSも緩和するピルのことを詳しく教えてもらいました。
>>前編の記事はこちら『ロケ番組収録中に経血漏れ! アイドル時代の生理との付き合い方』
生理前の怒りや悲しみは“自分が弱いから”なんかじゃない
村重さん:私は20歳過ぎた頃くらいから体質が変わったのか、生理が来ると生理痛が激しくなってしまったんです。それまでは生理痛なんて全くなかったのに……。それが仕事にも行けないくらい。朝起きるのも辛くなってしまった。そういうのが続いて、生理前に頭がおかしくなって怒ったり自分の負の感情を止められなくなったりするのは、最初は精神的な病気かと思ったんです。それでネットで調べたらPMSと呼ばれる症状で「ピルを飲むと楽になる」と書いてあったので、産婦人科に行き処方してもらいました。
亜希子先生:杏奈さんの場合はPMSの中でもPMDDっていう気持ちの問題が大きいのかなって思うんですけど、PMSもPMDDも原因ってまだ分かってないところが大きい。だけどピルを飲むことで、心も体も安定させることができます。
村重さん:頭がおかしくなったりするのは自分の意思や気持ちが弱いわけじゃなくて、しょうがないってことですよね?
亜希子先生:そうです、自分が悪いわけじゃない。
村重さん:病気じゃなくてよかった。ご飯の量とか普段は気をつけられているのに、生理3日前とかになると普段食べないラーメンやケーキを半ホールとか食べちゃう。本当に自分を止められなくなっちゃうんです。ピルを飲んでても、まだ止められない部分もあるけど……だいぶ落ち着きました。
亜希子先生:ピルの中でも、保険適用のものがあります。その中でもドロスピレノンと呼ばれる黄体ホルモン配合のものはPMSやPMDDに他のピルよりも効果があります。また抗男性ホルモン作用がありニキビにもいいと言われていて、むくみにくくもなります。ピルって副作用でむくんじゃう人がいるけど、むくまないピルもあるんです。
村重さん:すごくむくみやすいので、気になります。それに保険適用のピルがあることを知らなかった!
亜希子先生:ピルは病気じゃなくて避妊目的で飲むと自分都合ということで病名が付かず自費となりますが、飲む目的が月経困難症や子宮内膜症など病名がつくものだと保険適用になります。自費の避妊用のピルをOC、保険適用のピルをLEPと呼んでいます。ピルには、卵巣がんや大腸がん、子宮体がんが減る効果もあるんですよ。
村重さん:そうなんですか!? じゃあピルを飲むことは病気の予防にもなるんですね。
亜希子先生:そうなんです。子宮内膜症という生理痛や将来不妊症の原因になったりする可能性があるややこしい病気があるんだけど、それは生理を重ねるごとに悪化する傾向があるんですね。エストロゲン(女性ホルモン)と関連があるためです。ピルを飲んでると低いレベルのエストロゲン量で生理を起こすことができ、生理を軽くできるし子宮内膜症にもいいんです。
村重さん:へ~! もっとみんなにもその情報を知って欲しいな。私は生理不順や精神的にバランスが崩れやすいから飲んでるのに、友人に「ピル飲んでる」って言ったら「え? 遊んでるの?」って返されたことがあって。それ以来、ピルを飲んでると言うのは、ちょっと気まずくなりました。
亜希子先生:ピル=遊んでるは違いますよね。「ピルを飲んでると妊娠しにくくなる」と言う人もいるけど、「排卵が必要なとき=妊娠したい時」以外は、ピルを飲んで排卵をお休みさせておいたほうがいいと個人的には思います。
そのおかげで前述のように防ぐことができる病気もありますしね。
昔の人は初潮が遅く、閉経も早く、今よりたくさん子供を産んでいて、排卵や生理の回数が少なかったので今ほど卵巣がんや子宮体がんになる女性の数が多くなかった。でも今は晩婚化が進み、子供を産まない選択肢を選ぶこともありますよね。
産まないことでこれらの病気は増えているとも言われています。
どんなスタイルが正常かはわからないけど、今のライフスタイルだとピルで生理や排卵回数を減らした方が理にかなってると言えると思います。
村重さん:PMSや生理痛がない人でも飲んだほうがいいんですか?
亜希子先生:いいと思いますよ。例えば、高校受験を控えてるのに生理前とテスト前が被って眠くなってしまい勉強に集中できないなど、全然いいことない。
村重さん:月1回の生理が重いのは、本当にしんどいです。
亜希子先生:ピル等でホルモン剤でホルモンを補充してない人は毎月排卵して生理が来る方がいいです。
でも、現代女性のライフスタイルが変わってきていますので。
出産回数が減り、生理の数が多すぎることで増える病気もあるということ。それから女性の社会進出が進んで来ていることもそう。
女性は生理休暇を取れたりする会社もあるけど、結局そういうのがあると「女性はすぐ生理で休むからあるから役職をあげられない」とか言われてしまいますよね。ちょっと前にホリエモンさんが「女の人が社会進出するには、ピルを飲んだ方がいい」と発言して拒否反応を示す方もいらしたみたいだけど、あれは正しいと私は感じました。女性は排卵に用事ない期間はピルを飲んで、快適に過ごしたらいいんじゃない? 私はそういう考えですね。
村重さん:ピルを愛用していながら、どこかで勝手にちょっと危ないものなのかな?って怖さもあったんです。でも、そんなことないんですね。
亜希子先生:そんなことないです。でも血栓症や子宮頸がんは、ピルを飲んでる人に多い傾向に。子宮頸がんは、ウイルス感染なんです。日本って子宮頸がんワクチン接種率がものすごく低い。海外では男性も女性も打ってるくらいなのに。
村重さん:子宮頸がん検診は、最近受けました!
亜希子先生:20歳以上で性交経験のある人は、2年に1回は受けましょうと言われています。ただ日本はワクチン接種率も低いけど、検診率もずば抜けて低いんですよ。「日本だけ、子宮頸がんが増えてる」とWHO(世界保健機関)に名指しで怒られるくらい。
村重さん:カッコ悪い! でも確かに避妊目的もあるって聞くから、ピルを飲んでる子は、ゴムをしないのが当たり前だと思ってました。
亜希子先生:コンドームって、マスクと一緒。病気を防ぐためには、コンドームが必要です。決してピルの服用が子宮頸がん率を上げてるわけではないということ。
自分の体と向き合うのは大事なこと。何もなくても産婦人科へ!
村重さん:個人的な話なんですけど、生理前にカンジダにかかりやすいんですよ。調べたら「ピルとか抗生物質を飲んでるとかかりやすい」みたいなことが書いてありました。
亜希子先生:抗生剤を飲むと膣の常在菌のバランスがかわってが変わってカンジダにかかりやすくなることはあります。あとはカンジダはカビの一種で自分の免疫力が弱ってるとかかりやすくなります。
村重さん:お母さんに伝えたら、妊娠を疑われました。でも性交は関係ないんですよね?
亜希子先生:処女かどうかは関係ないです。カンジタは“膣の風邪”って言われてる。ちょっと免疫力が弱っている時に風邪を引くみたいにかかるもので、5歳くらいの小さい子もなりますよ。それから妊婦は免疫力が下がりやすいので、かかりやすいんです。
村重さん:気が楽になりました。細菌性膣炎とかもかかりやすくて、私って変なのかな?って思ってたんです。いろいろ気をつけてるつもりなのにかかってしまう。病気になるのが怖いんです。怖いので、何かあるとすぐに病院に行きます。
亜希子先生:自分の体と向き合っていて、偉いです! 何かあればすぐに来てほしいですね。
村重さん:本当ですか? “コイツめっちゃ来るな”と思われないかなって心配だったんですけど……。
亜希子先生:思わない、思わない! だって何もなくても検診するのが人間ドックや健康診断。それで見つかる病気もある。
村重さん:大事ですよね。ただ女性特有の生理のことやPMSのことは男性医師の方には理解されなかった経験もあります。「気の持ちよう」とか「頑張って起きよう」と言われたことも。起きられないから来てるのに……。それで何度も産婦人科は変えています。最近通ってるところは男性医師だけど、女性の気持ちに寄り添ってくれるからいいんですよね。
亜希子先生:同じ産婦人科医として、そんな風に言う医師がいると思うと悲しいです。
村重さん:男性のみなさんも寄り添ってやさしくしてくれたらうれしいです。今回はすごく勉強になりました!
村重杏奈
むらしげ・あんな 1998年07月29日生まれ。2011年、HKT48の1期生オーディションに合格し、活動開始。現在はグループを卒業し、バラエティ番組やコメンテーターなどの多岐にわたって活動している。
TikTok:@anna07294848
YouTube:たのシゲch –村重杏奈–
instagram:@hktanna4848
Twitter:@annashige0729
宮本亜希子先生
みやもと・あきこ Pillクリニック新宿院長。産婦人科医として数々の病院やクリニックで経験を積み、2021年10月からは東京美容外科 婦人科医としても勤務。2022年4月「女性が女性であることを楽しめる人生のお手伝い」のできるクリニックとして、Pillクリニック新宿開業。話しやすく明るい人柄で、スタッフからも「あっこ先生」と慕われる。
instagram:@dr_akko、@pillclinic_shinjuku
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