コロナ禍でストレス増!PMSや生理への影響とその改善策を産婦人科医のえんみちゃんに聞く
現代人は忙しくストレスフルと言われている中で、長引くコロナ禍もあり、心身ともに負担が大きくなっているのではないでしょうか。その影響を受けているからなのか、疲れやすくなっていたり、PMSや生理の症状に変化が出てきているという人もいるかもしれません。
子宮や卵巣がストレスに影響される理由
「PMSや生理(月経)の症状はひとりひとり異なります。その前提があったうえで、ストレスによって生理不順が起きたり、ホルモンバランスだけではなく、複合的な要因で起こると言われているPMSへの影響も否定はできないと思います」と、教えてくれたのは、中学校、高校などで性教育の講演を行い、えんみちゃんの愛称で知られる産婦人科医、遠見才希子先生。
「PMSや生理に関係している女性ホルモンは、脳からの命令によって卵巣から分泌されています。その際、身体の仕組みとして、脳にある視床下部から脳下垂体、卵巣という流れを辿りますが、この視床下部がストレスの影響を受けやすいと言われています。そのため女性ホルモンの分泌にも変化が起こり、いわゆるホルモンバランスの乱れによって生理不順につながる場合も。
一概にストレスといっても、コロナ禍という状況に限らず、食事や運動、体重の変化など、日常生活の中にあるさまざまなことが影響してきます。子宮や卵巣がそのような影響を受けてしまうのは、同じ臓器でも心臓や肺とは違い、直接的に生命維持にかかわっていないからです。だからこそ、ちょっとお休み状態になったり、命令を出すのが遅れたり……と、ストレスによる変化を受けやすいと考えられています」
生理周期は28日とは限らない
ストレスの影響によって、生理不順が起こる可能性も否定できないことがわかりましたが、その前に自分の生理周期は知っていますか?生理は身体のバロメーターといえるので、まずは判断材料となる生理周期を知っておくことは大切です。
「生理周期は28日というイメージが強いですが、正常な周期は24日から38日と、意外と幅があります。たとえ28日周期でなくても、生理不順には該当しませんので、安心してください。
自分の生理周期を知ったうえで、24日から38日の正常範囲を超えて、短い周期になってしまっている、長い周期になってしまっているときは、ストレスなどの影響を受けているかもしれないと、気に掛けるきっかけにしてもらうのがいいと思います。また、生理不順をコントロールする低用量ピルや子宮内避妊システムといった選択肢もあるので,産婦人科で相談してもらえたらと思います」
PMS日記で症状の変化を見つける
生理前から生理中にかけて、イライラしたり、落ち込みやすかったり、むくみやすかったり……と、心身共にいろんな症状が出てくるのが、月経前症候群=PMS。
「PMSの症状が表れるのは、女性ホルモンの影響とも、それ以外の要因も合わさって複合的に起きているとも言われていて、これといった原因はいまだにわかっていません。どんな症状が表れるかなど、傾向と対策はひとりひとり異なります。そのため、自分のPMSの症状を把握することも治療のひとつです。
日記を書くように、手帳やアプリなどにPMSの症状を記録していきます。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月と続けて記録することで、生理の何日前からイライラしやすくなって、何日前にはむくみがひどくなるなど、だんだん傾向がわかってきます。
傾向がわかると、今は生理何日前だから、プライベートの予定は入れず、家でゆっくり過ごそう。PMSの症状が表れる前に大変な仕事を片付けておこうと、すべてをコントロールすることが難しくても、何かしらの対策がとれることもあります」
自分の身体を知って対策する
ストレスの受け方も、PMSや生理の症状もひとりひとり異なることを考えると、やっぱり自分の身体を知ることが改善への第一歩。
社会的に変化が起きやすくなっているからこそ、自分の身体を知ることが重要に。まずは自分の生理周期を知ること、そしてPMSの症状を記録してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
遠見才希子氏
えんみちゃんの愛称で知られる産婦人科医。大学時代から全国の中学校、高校などで性教育の講演を行っている。子どもと一緒に性教育について考える絵本『だいじ だいじ どーこだ?』(大泉書店)も話題。
twitter@emmi__chan
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