PMS/生理 フェムテック/ケア by 木川誠子

意外とハードルは低い! 基礎体温の活用法

生理や排卵のタイミングを知るために、基礎体温が活用できることは知られていると思います。そのため、基礎体温は妊活の時に取り入れるものという印象はありませんか? 「それは、基礎体温の役割の一部分です。基礎体温から身体のバイオリズムを知ることができます」と教えてくれたのは、約10秒で測定ができる婦人用電子体温計を発売しているオムロン ヘルスケア株式会社の石崎恵さん。基礎体温の基本的なことから妊活以外の活用法についてもうかがいました。

基礎体温についての知識をアップデート

「弊社から基礎体温計の一号機が発売されたのは1984年です。当時は、3分間口内(舌下)で測定しなければなりませんでした。ただ、朝起きてすぐに3分間、舌下で測定するのは難しく続けられないという声が多く届き、現在の約10秒の予測式が誕生しました。

最近では、ルナルナ 体温ノートやラルーンという多くの女性が使っている基礎体温管理アプリとの連携が可能になったこともあり、より習慣化しやすくなったのではないかと考えています」

基礎体温計は時代の流れ、ライフスタイルに合わせて変化していき、より取り入れやすくなっている一方で、未だに妊活のためのツールという認識が根強いのも確か。

基礎体温の大切さを打ち出すために妊活というキーワードが用いられていたことはあるものの、先入観や固定概念が残っているとも考えられます。石崎さん曰く、「基礎体温は、妊活に限定されたことではなく、身体の状態を知るための日記帳です」

身体の状態を客観的に知ることができる

「一般的な体温計はワキに挟んで発熱があるかどうかを調べるのに対して、基礎体温は必要最小限のエネルギーしか使われていない安静状態にある時の体温のことで、厳密には寝ている間の体温を指しています。ただ、寝ている時に測定できないため、毎朝、目が覚めて活動をする前、起き上がる前に、口内で測ります。

一般的な体温計は、3桁表示(小数点第一位)なのに対し、基礎体温計は、0.3~0.5℃ほどの微妙な体温の変化を知るために4桁表示(小数点第二位)表示されるようになっています。

基礎体温には正しい測定方法はあるものの、測り忘れた日があっても大丈夫です。測定方法に縛られすぎず、気楽に測るようにしてみてください」

大切なのは測定を続けること。それは、基礎体温を記録していくことで自分のバイオリズムがわかってくるからです。

「基礎体温は、生理が始まってからの低温期(約2週間)と、排卵すると始まる高温期(約2週間)があり、生理と排卵により一定のサイクルを繰り返しています。

毎日きちんと測っていても、体調や就寝環境などで誤差が出る場合もありますし、周期は人それぞれ異なります。基礎体温の測定は、自分の身体を客観的に知ることができる方法のひとつとして捉えてみてください」

PMSなどの生理前の不調対策に活用

基礎体温を記録することで意識したいのは、低温期と高温期に分かれているかどうか。

「低温期と高温期に分かれていることで女性ホルモンがきちんと分泌されているかがわかります。1日、2日測定を忘れたとしても、全体的に見てなんとなく低温期、高温期分かれているかを確認してみてください。

そうすることで、基礎体温の変化で生理が始まる日を予測することもできますし、生理前の不調(PMS)や排卵痛などにも早めに対処することができます。

PMS(月経前症候群)は、高温期にあらわれる様々な不調のことをいいます。基礎体温を測定することで、低温期から高温期に切り替わるタイミングが分かるので、生理が始まるまではのんびり過ごせるように予定を調整したりと、不調への対策ができるようになると思います。

また、基礎体温の一定のサイクルを繰り返す特性は、月経や排卵によって女性ホルモンが正しく分泌されていることの判断材料となります。そのため、いつもと違う変化が表れた時は身体からのサインです。何か身体に負担がかかることがあったかどうかを振り返ることで、医療機関にも相談しやすくなると思います」

毎日忙しいとついつい生理のことを忘れてしまいがち。基礎体温を測定してアプリを活用することで生理予定日や排卵予定日を教えてくれる機能もあるので、現代女性の必要不可欠なものと言えるのかも。女性ホルモンに関する正しい知識をアップデートしながら、自分の身体の状態を知るアイテムとして活用してみてくださいね。

 

 

オムロン ヘルスケア株式会社
グローバルコミュニケーション統轄部 広報部
石崎恵さん
いしざき・めぐみ 2009年からスタートした女性の健康をサポートするプロジェクト「オムロン式美人」を担当し、ライフステージに寄り添い女性をエンパワーメントするための啓発活動をおこなっている。活動を通して得た知識を若い世代や毎日を忙しく過ごしている女性たちに伝えたいという想いで、中高生向けの健康教育と企業向けセミナーを企画。女性一人ひとりがすこやかに毎日を過ごせるよう健康機器やサービス、情報提供を積極的におこなっている。https://www.healthcare.omron.co.jp/bijin/

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木川誠子
出版社勤務を経て2009年よりライター・エディターのフリーランスとして活動。ウェルネスや美容、ライフスタイルのコンテンツを発案し、ディレクションから執筆まで一貫して携わる。2016年から兼ねてより関心のあったフェムテック領域に本格的に取り組み始め、フェムケアをはじめ、五感を通して自分を知るための”フェムアートプロジェクト”を立ち上げる。2022年には「株式会社k company」を設立し、その実践の場を創造・提供している。ライフオーガナイザー1級/アロマ心理/公認フェムテックマイスター(TM)