未来予想図は描けない。導かれた先にあったパラレルキャリア
どんな人、どんな働き方でも居場所がある社会に
フェムテックtv:フェムテック・ケアで意識されていることや使用しているアイテムはありますか?
世永さん:何かしなきゃいけないと思ってるんですが、自分の体の現実を理解しているくらい。去年の夏頃に右腕を骨折してしまい、生きていることに感謝のフェーズで。それ以上のことは、何もやれてないんですよね。後遺症も残ってしまい腕が上がらず、握力も1桁くらいに。「ママって人に意地悪もしないで一生懸命生きてるのに、なんでこんなひどいことになっちゃったの」って子供は泣き出しちゃいました(笑)。
「家族の後ろ姿を見るのがすごく好きです。最近では子供たちも大きくなり、私が家族で一番小さくなりつつあります」
フェムテックtv:お仕事にも少なからず支障が出てしまいますよね?
世永さん:思うように腕が動かないし、仕事をする気も起きないし、初めて仕事が遮断されました。これを機に、全部辞めようと思ったんです。ただみなさんに「待ってますよ」 「大丈夫になってからでいいよ」などと引き止めてもらって。そこが私の恵まれているところですよね。
それで思ったのは、確固たる目的や、なりたい自分像がない私でも、ある程度のところでお仕事をさせてもらえるんだよということ。「目標がなきゃいけない」と言うけれど、3年後、4年後のビジョンなんて45歳の私でもわかりません。何がなんでも“じゃなきゃいけない”になる世の中は窮屈だし、いろんな人の可能性を潰す気がしていて。もちろんそういう目標をしっかり持てる方は尊敬しますし、憧れます。
「料理をしている時は無心で仕事でのトラブルや時間に追われている日々を忘れて無心になれます。どんなに忙しくてもとにかく家で夕飯は作りたい。子供が生まれてから仕事との両立は今でも答えが見つからないほど難しい課題です。子供の頃に食べたご飯、美味しかったなぁ。と将来、子供達が社会に出て何か壁にぶつかったときに思い出して支えにしてもらったらな、そんな事を考えながら日々必死にご飯作ってます」
フェムテックtv:では最後に、世永さんが思うウェルビーイングな社会とは?
世永さん:多様性だと思っています。“こうあるべき”が、どんどん必要のない時代。息子の学校の保護者会に行った時に、先生が「僕は協調性があるクラスが、いいクラスだとは別に思いません」と仰っていて。みんなで肩を組んでやるのが好きな子もいれば嫌いな子もいるから、やりたい子はやればいいし、やりたくなければやらなくてもいいと。息子は「学校にいると居場所がない人がいないのがいい」って話をしていました。「スポーツが好きな子、理科が好きな子、それぞれに居場所があるから今の学校が好きなんだ」と。
私はこれこそが、社会の理想系だと思っています。選択肢が広がっているからこそ、必ず9~17時で会社にいれて、最前線で戦える人だけが評価される時代じゃない。もちろん、そこで活躍できる人もいれば、フルリモートで働く人も評価されていい。多様性が認められ始めているのはコロナ渦を機に感じますし、子供たちを見ていてもすごく思う。本人の努力やスキルさえあれば、なんでも叶うと思います。
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