お悩み相談室 連載 by 小嶋美樹

「朝、起きるのがしんどい」という病気 「起立性調節障害」の治療法と自分でできる対処法!

「朝なかなか起きられない」「午前中はボーっとする」「起床後、しばらくは動くことができない」などの症状が現れる「起立性調節障害」という病気をご存じですか? 今回は、この「起立性調節障害」が疑われた場合の、自分でできる対処法や治療法に関してゆみえ先生に伺っていきます。

朝になったらベッドから出ることも大切な治療のひとつ

―起立性調節障害とは、自律神経の乱れが原因で脳への血流が減少することで、朝、起きることができなくなったり、起きても倦怠感がなかなか抜けない、などといった症状が現れる病気だということを前回、伺いました。自分の意思に反して日常生活がままならくなったときが医療機関受診の目安だとも教えていただいたのですが、主にどんな治療が行われるのでしょうか?

「10代の患者さんに対しては血圧を上げる薬を処方されることも多いです。ただ、起立性調節障害は自分でもできる行動療法がいくつかあるので、それを伝え、実践してもらうことも同時に行います」(ゆみえ先生・以下同)

―たとえばどんな行動療法があるのか教えてください。

「起立性調節障害は、怠いからと言って身体を起こすことなく1日中寝ていると、下半身から心臓に向かって血流を押し上げる筋肉の反射が起こらなくなってしまい、より悪化してしまいます。少々辛くても、朝になったらきちんとベッドから出ることが大切です。

それも難しい方は、まずは血流を上に押し上げることを手助けしてくれる加圧ソックスを履いてみることから始めてみたり、下半身の筋肉量を増やす努力を心掛けていただいたりするのがいいと思います。身体全体の水分量が上がると上半身に血流が回りやすくなるため、適切に塩分をとったり、水を多めに飲むことも有効的です」

―足の筋肉を鍛えることが、「朝が辛い」症状の緩和につながるなんて思ってもみませんでした!

「筋肉を活性化させることで脳や心臓への血流を促すことができます。他にも、起床時に身体を起こす際、急な動きをしないこともポイントです。まずは寝ながら軽く伸びたり、手を閉じたり開いたりしながら、徐々に交感神経を活性化させる。その上で上半身を起こすことで、脳への血流を促すことができます。

このように、いくつかできる工夫の中から、無理なくできそうなことを選び、実践してもらうようにします」

朝の辛さは脳の血流を増やす工夫で解消?

―他にもできることがあれば教えてください。

「たとえば、朝起きるのがしんどかったのに頑張って起きて会社に向かうために電車に乗ったはいいけれど、満員電車の中で気分が悪くなることがある、との相談を受けたこともあるのですが、そういう場合はその場で横になるのが一番の対処法です。つまり、重力に従って足に滞ってしまっている血流を、心臓や頭のほうに流れやすくするために、身体をフラットな状態に保ってあげればいいわけです。

ただ、そうは言っても通勤途中にどこかで寝るわけにもいかないでしょうから、オフィスに着いたら、ほんの5分でもいいので休憩室などで横になるのがベスト。できれば足の下にクッションのようなものを入れて足を少しだけ高くしてあげるとより効果的です。

もちろん、気分が悪くなった原因が起立性調節障害だとは限らないで、それでも一向によくならない場合には医療機関を受診してみてくださいね」

―朝の倦怠感に悩んでいる人 は、「脳への血流を促す工夫で解消できることもある」と、ぜひ覚えておきたいですね。

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小嶋美樹
編集者、ライター、ディレクター。大学卒業後、出版社に勤務し、女性誌や実用書・ビジネス書の編集、WEBディレクターなどを経て、2020年からフリーランスに。現在は主にインタビュー記事や女性のライフスタイル・子供の教育系記事の執筆、韓国エンターテインメント記事の編集・執筆など行う。趣味は旅行で、今一番欲しいものは子供たちと日本中を旅して回れるキャンピングカー。