PMS/生理

by 丸山彩

生理とZ世代。タブーに向き合う若き活動家たち

生粋のデジタルネイティブであるZ世代。既存のルールにとらわれることを嫌い、社会問題に対しても積極的に発言する傾向にあるといわれている彼・彼女たちですが、生理というタブーへ立ち向かい、すでに大きな功績をあげている人たちがいるのをご存知ですか?

そもそもZ世代とは?

Z世代とは、1996年〜2012年生まれの人々を指します。生まれたときから当たり前のように高速インターネット、スマホ、様々なゲーム機が身近にあり、SNSを日常のツールとして使いこなしています。
Z世代は、その前のミレニアル世代(1981年〜1995年生まれ)に比べSNSを通じ、社会問題について仲間とよく意見交換をする傾向が強いといわれています。また、グローバルな感覚を持ち、既存のルールにとらわれず、周りと同じように見られることを嫌い、スタイルに独自性を求め、テックネイティブであるといった特徴を持ち合わせています。
アメリカでは、人口の約1/4を占めるほどの大きな人口グループとなり、多大な影響力を持ちはじめています。

参考:Criteo「Z世代の特徴と傾向

Criteo「Z世代の特徴と傾向」

女子高生2人が開発!『タンポンラン』

みなさん、『タンポンラン』を知っていますか? 女子高生2人が開発し、2015年に発表されたゲームで、世界中でウェブ版とスマホアプリ版を合わせ50万人がプレイしているそうです。女の子が、タンポンを奪おうと追ってくる敵に向かってタンポンを投げつけるという内容なのですが、まだまだ月経がタブー視されていた2015年にこのゲームが発表されたときの衝撃は、とても大きなものでした。
『タンポンラン』を開発したのは、ソフィー・ハウザーとアンドレア・ゴンザレスというアメリカ人2人組。2人の出会いは、IT業界における男女格差解消を目的に設立されたNPO団体『Girls Who Code』の夏季講習でした。『Girls Who Code』ではプログラミングを学ぶ機会を提供していますが、先生も生徒も全員女性で構成されています。この環境でフェミニズムについて考えるようになったソフィーとアンドレア。最終課題でペアを組むこととなり、ソフィーの「タンポンを投げ合うゲームを作ったらいいと思う!」という提案から、2人は生理のタブーについて議論したそうです。

☑タンポンを買うのは恥ずかしいから、母親に買ってきてもらう
☑学校でトイレに行くときは、袖の中にタンポンを隠して廊下を歩く
☑生理用品のCMには赤ではなく青い液体が使われている
☑銃で撃たれて流す血液は問題ないのに、経血は汚いとされる
☑発展途上国や女子刑務所は、生理に対する理解の不十分さから、不衛生な状態におかれている

上記のような議論をし、試行錯誤を経て、ついに完成した『タンポンラン』。その生理をタブー視する社会への風刺が受け、発表会では大好評となり、公開からわずか17時間後には、イギリスの新聞に記事が掲載されました。ソフィーとアンドレアはまさに、一夜にして有名人に!
2人は、コーディングを学ぶ中で、社会をより良い方向へ変えて行く力が自分にも備わっているのだと気がつき、生理のタブーに向き合い、結果に結びつけました。

参考文献:『ガール・コード プログラミングで世界を変えた女子高生ふたりのほんとうのお話』(Pヴァイン刊)

「生理の貧困」撲滅のため立ち上がった女子高生

「生理の貧困」撲滅のため立ち上がった女子高生

生理用品を買うお金がなかったり、利用できない環境にあることを「生理の貧困(Period poverty)」といいます。先進国でもこのような状態に悩まされている女性は多く、生理用品が買えないことで、学校を休まなくてはならない女子学生が多くいるというのです。
イギリスの2017年のデータによると、10人に1人が「生理の貧困」に陥り、生理用品が買えないことで年間13万7700人が学校を休まなくてはいけないのだそうです。
このような状況を改善すべく、スコットランドでは、2018年から生理用品の無償提供が始まりました。そして2019年からはイギリスでも女子学生への生理用品の無償提供がスタート。この決定に大きく貢献したのが「生理の貧困」を終わらせようという「Free Periods」というプロジェクト。率いるのはイギリス人女子学生のアミカ・ジョージさんです。
アミカさんは17歳のとき、全ての女子が生理用品を使えるようにするための署名活動を始め、20万人の署名を集めました。その後、2017年には2000人の賛同者とともに、首相官邸の外で無料の生理用品が必要だとデモンストレーションを行いました。
この活動によってアミカさんは、2018年のタイム誌が選ぶ「最も影響力のある10代」のひとりに選ばれました。また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団がグローバル・ゴールの達成のために貢献した人物に与える「グローバル・ゴール・アワード」のキャンペーン賞も受賞しています。
現在ケンブリッジ大学に通うアミカさんは、生理用品が買えないことで学校を休まざるを得ないことは人権問題であり、教育の問題であると主張。イギリスの平等法のもとで、子供たちを学校に行かせるのは政府の義務だと訴え、より良い教育のために戦い、生理が恥ずかしいものだという考えを払拭していきたいと話しています。
アミカさんの活動をはじめとする「生理の貧困」撲滅の動きは、さらに今広がりを見せていて、2021年2月にはニュージランドで学生への生理用品の無償提供が始まり、同月にフランスでも学生への無償提供が決定したと発表されました。

アミカさんの活動をはじめとする「生理の貧困」撲滅の動き

自らの経験を通じNPOを設立した大学生

ハーバード大学に通いながらホームレスの女性たちに生理用品を配るNPO「カミオンズ・オブ・ケア」を設立したのは、ナディア・オカモトさん。この団体は、高校や大学など40以上の支部があり、生理用品の寄付を募ると同時に、集めた生理用品を届けるための資金を集める活動をしています。
ナディアさんがこの活動を始めたのには、自身の経験が影響しているのだそうです。9歳で両親が離婚、母親と姉妹と暮らしていましたが、彼女が15歳のときに母親が失業してしまい、友人の家を泊まり歩くなど、ホームレス生活をおくることになってしまったのです。そのとき、生理用品が準備できなかったため、学校を休まなくてはいけなかった経験をしたり、ホームレスの女性たちと出会う中で、彼女たちが古い紙袋やゴミ箱から拾った布や新聞紙を生理用品の代わりに使っていることを知りました。
生理中の衛生状態が悪いと、細菌性膣炎や尿路感染症など命の危険に関わる毒性ショック症候群になってしまう場合もあります。
経済的に安定した環境に戻れたナディアは、同世代で運営する「支援、教育、調査を通じ、生理時の衛生状態の問題を解決し、支援すること」を目的としたNPO「カミオンズ・オブ・ケア」を立ち上げました。多くのシェルターや路上で暮らす女性たちへ生理用品を届けています。
ナディアは、その活動が評価され、2016年ロレアル・パリの「Woman of Worth Honorees」に選ばれました。その賞金は、アメリカ、ラテンアメリカ、アフリカ、そして南アジアのホームレスの女性たちのために使いたいと話します。

活動について話すナディア動画
https://youtu.be/GDRycRi9UDQ

なぜこのようにZ世代が、生理について声をあげ、タブーを打ち破ろうと動くのか。それは、恥ずかしがらず生理について語ることで、救われる人が数多くいるからではないでしょうか。偉業と呼べる大きな変化はもちろん、身近な変化も期待できます。
例えば、PMSや生理痛に悩んでいるのに、どうしていいか分からない人も、生理についてオープンに話せる環境になれば、緩和法を簡単に知ることができます。毎月の辛さから解放されることは、生活のクオリティアップにつながり、人生に変化をもたらしてくれることでしょう。

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丸山彩
東京都出身。某出版社での雑誌編集を経て、フリーランスの編集・ライターに。美容、女性のライフスタイルをテーマにしたカタログ・広告・webなどの制作を多く手掛ける。