
生理とZ世代。タブーに向き合う若き活動家たち
「生理の貧困」撲滅のため立ち上がった女子高生
生理用品を買うお金がなかったり、利用できない環境にあることを「生理の貧困(Period poverty)」といいます。先進国でもこのような状態に悩まされている女性は多く、生理用品が買えないことで、学校を休まなくてはならない女子学生が多くいるというのです。
イギリスの2017年のデータによると、10人に1人が「生理の貧困」に陥り、生理用品が買えないことで年間13万7700人が学校を休まなくてはいけないのだそうです。
このような状況を改善すべく、スコットランドでは、2018年から生理用品の無償提供が始まりました。そして2019年からはイギリスでも女子学生への生理用品の無償提供がスタート。この決定に大きく貢献したのが「生理の貧困」を終わらせようという「Free Periods」というプロジェクト。率いるのはイギリス人女子学生のアミカ・ジョージさんです。
アミカさんは17歳のとき、全ての女子が生理用品を使えるようにするための署名活動を始め、20万人の署名を集めました。その後、2017年には2000人の賛同者とともに、首相官邸の外で無料の生理用品が必要だとデモンストレーションを行いました。
この活動によってアミカさんは、2018年のタイム誌が選ぶ「最も影響力のある10代」のひとりに選ばれました。また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団がグローバル・ゴールの達成のために貢献した人物に与える「グローバル・ゴール・アワード」のキャンペーン賞も受賞しています。
現在ケンブリッジ大学に通うアミカさんは、生理用品が買えないことで学校を休まざるを得ないことは人権問題であり、教育の問題であると主張。イギリスの平等法のもとで、子供たちを学校に行かせるのは政府の義務だと訴え、より良い教育のために戦い、生理が恥ずかしいものだという考えを払拭していきたいと話しています。
アミカさんの活動をはじめとする「生理の貧困」撲滅の動きは、さらに今広がりを見せていて、2021年2月にはニュージランドで学生への生理用品の無償提供が始まり、同月にフランスでも学生への無償提供が決定したと発表されました。
自らの経験を通じNPOを設立した大学生
ハーバード大学に通いながらホームレスの女性たちに生理用品を配るNPO「カミオンズ・オブ・ケア」を設立したのは、ナディア・オカモトさん。この団体は、高校や大学など40以上の支部があり、生理用品の寄付を募ると同時に、集めた生理用品を届けるための資金を集める活動をしています。
ナディアさんがこの活動を始めたのには、自身の経験が影響しているのだそうです。9歳で両親が離婚、母親と姉妹と暮らしていましたが、彼女が15歳のときに母親が失業してしまい、友人の家を泊まり歩くなど、ホームレス生活をおくることになってしまったのです。そのとき、生理用品が準備できなかったため、学校を休まなくてはいけなかった経験をしたり、ホームレスの女性たちと出会う中で、彼女たちが古い紙袋やゴミ箱から拾った布や新聞紙を生理用品の代わりに使っていることを知りました。
生理中の衛生状態が悪いと、細菌性膣炎や尿路感染症など命の危険に関わる毒性ショック症候群になってしまう場合もあります。
経済的に安定した環境に戻れたナディアは、同世代で運営する「支援、教育、調査を通じ、生理時の衛生状態の問題を解決し、支援すること」を目的としたNPO「カミオンズ・オブ・ケア」を立ち上げました。多くのシェルターや路上で暮らす女性たちへ生理用品を届けています。
ナディアは、その活動が評価され、2016年ロレアル・パリの「Woman of Worth Honorees」に選ばれました。その賞金は、アメリカ、ラテンアメリカ、アフリカ、そして南アジアのホームレスの女性たちのために使いたいと話します。
なぜこのようにZ世代が、生理について声をあげ、タブーを打ち破ろうと動くのか。それは、恥ずかしがらず生理について語ることで、救われる人が数多くいるからではないでしょうか。偉業と呼べる大きな変化はもちろん、身近な変化も期待できます。
例えば、PMSや生理痛に悩んでいるのに、どうしていいか分からない人も、生理についてオープンに話せる環境になれば、緩和法を簡単に知ることができます。毎月の辛さから解放されることは、生活のクオリティアップにつながり、人生に変化をもたらしてくれることでしょう。
※1 参考:Criteo「Z世代の特徴と傾向」
※2 参考文献:『ガール・コード プログラミングで世界を変えた女子高生ふたりのほんとうのお話』(Pヴァイン刊)
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