PMS/生理 by 熊木 美香

“生理の貧困”とは? 生理用品の受け取り方など情報まとめ

最近、メディアで頻繁に耳にする“生理の貧困”というワード。昨今では経済的な理由で生理用品を購入することができない女性たちのために、国や地方公共団体による取り組みが行なわれています。

そこで、各地域で行なわれている生理用品の無料提供などの取り組みをまとめてみました。ぜひ参考にしてみてくださいね。

なぜ今、“生理の貧困”が話題になっているの?

まず“生理の貧困”とは、経済的な理由などにより、十分な量の生理用品を入手できないことを指します。コロナ禍が長引いたことにより、経済的に不安定な状況におかれる女性が増加し、貧困問題が深刻化したのが主な原因だと考えられています。

同性同士でも生理に関する悩みはなかなか話しにくいのが現状で、ましてや経済的に厳しくて生理用品が購入できないとなるとなかなか人に切り出せないもの。また、アルバイトなどで自身の生活費をまかなっている学生の場合、食費や学用品の購入でいっぱいいっぱいになってしまい、生理用品の購入費用まで手がまわらないという人もいるそうです。購入はするものの、ナプキンの交換頻度を減らして節約するなんてことも……。私達女性にとって決して他人事ではないこの問題、一緒に考えていきませんか?

負担を感じず、気軽に生理用品を受け取れる支援の動きまとめ

実際に調査を行なったところ、受け取りが対面式でなかったり、声に出さず受け取れたりと女性の気持ちに寄り添った団体が多かったのが印象的でした。未開封の生理用品の寄付を募っている地方公共団体も増えています。※9月20日現在の情報なので、変更している場合もあります。

【青森県弘前市】

小中学校のトイレに生理用品を設置

8月から順次、市内の小中学校の女子トイレに生理用品を設置することが決定。洗面台でなく、個室に置くなど配慮したり、「困っていたら相談を」と記載した手紙を添付する学校も。

【青森県十和田市】

専用カード提示で無料配布

経済的な理由で生理用品を購入できない人を対象に、専用窓口で生理用ナプキンを無料配布。また窓口で説明せずとも受け取れるように、専用カードも作成。専用カードは青森市男女共同参画プラザ「カダール」、青森市働く女性の家「アコール」の窓口及び各市民センターなどに設置。

【新潟県長岡市】

チラシやポップを指さすだけで受け取れる

コロナウイルスの影響で仕事や生活に不安を抱える女性を支援する“ながおか・スミレプロジェクト”を開始。市民協働センター、男女平等推進センターなど市内14カ所の窓口にチラシやポップを提示し、生理用品が必要な人は指さすだけで受け取れる仕組み。また、私立小中学校でも必要な児童、生徒に配布する。相談できる専用窓口も設置されている。

【茨城県水戸市】

小中学校へナプキンを無償配布

〝みとちゃん・ミモザ・プロジェクト〟として、小中学校へ6469パックの生理用品を寄付 。また未開封の生理用ナプキンの寄付を募っています。市民から寄付された生理用品(パック単位)は、市の公共施設などで配布しています。困っている人であれば、誰でも受け取れるそうで窓口でプロジェクトのロゴマークを指さすか、声かけせずに市役所1階の女子トイレに設置したケースから持ち帰ることも可能です。

【東京都豊島区・中野区】

アプリでナプキンを提供

豊島区は区役所本庁舎、男女平等推進センター、としま区民センターにある女子用個室トイレ、中野区は区役所の女子用個室トイレに生理用品の取り出し容器を設置。取り出し容器のQRコードに専用アプリをダウンロードしたスマホをかざすと、ナプキン1つを無料で受け取れるように。

【滋賀県大津市】

無料配布のほか、各種支援の情報提供も行なう

市内の女性相談窓口にて、希望する人に生理用品の無料配布を開始。配布の際には、コロナ渦で不安を抱える人のために、健康・福祉、女性の悩み、子供・子育てなどに関する相談も行なっています。

【大阪府高槻市】

名前や住所など伝えずに受け取れる

男女共同参画センターの窓口にて、経済的に困窮し生理用品の購入が困難な女性に向けて、7月から災害用に備蓄している生理用品の一部を無料配布。人の目が気になる場合でも名前、住所の明記などは不要で、対応は女性職員が行なうので安心。なくなり次第終了

【愛媛県松山市】

専用カードを見せれば、声に出さず受け付け

松山市男女共同参画推進センター・コムズ、市役所、市有施設、市内の小中学校の保健室などで生理用品を無料配布。窓口近くに置いてある専用のカードを職員に見せると、声に出さず受け付けが可能です。

【佐賀県】

県立学校の女子トイレに生理用ナプキンを設置

通常、保健室に常備している生理用ナプキンですが、男子生徒も出入りすることから受け取りにくいという声があり、女子用個室トイレに置く準備を進めています 。県立学校のほか、県立男女共同参画センター、生涯学習センターにも試験的に置くことを検討中。

全国の30%あまりの自治体が支援策に取り組んでいます


紹介しきれませんでしたが、全国各地で“生理の貧困”問題に関して支援の輪は広がりを見せています。ほとんどは自治体の管理する施設、学校などで配布を行なっていますが、民間団体が運営するこども食堂やフードバンクなどで配布している場合も。ぜひ困ったことがあれば、お住まいの地域の状況を調べてくみてください。

もし自分自身が生理用品が購入できないほどの経済状況に陥ってしまったと考えると、周囲の人になかなか助けを求めにくいと思います。ただ名前や住所を言いたくないという人の気持ちを汲んでの取り組みも行なわれているので、支援を受けるハードルは思ったより低いのかもしれません。「自分でなんとかしなきゃ」と自分自身を追いつめてしまうのは、とても悲しいことですよね。

しかしコロナ禍により、そんな思いを抱えて悩んでいる女性達が多く存在するのも事実。毎月必要となる“あたりまえ”の生理用品だからこそ、“あたりまえ”に使用できる世の中になることを願います。

 

出典:男女共同参画局:「生理の貧困

 

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熊木 美香

女性誌を中心に手がける編集・ライター。Uターンし、現在は二児の育児をしながらリモートワーク中。直近の夢は子供達と東南アジアを巡ること。