PMS/生理 フェムテック/ケア by 山田佳苗

自身の家庭環境から悟った“生理の貧困”

韓国ドラマ『リッチマン』などに出演し人気を博し、昨年日本でも本格的に芸能活動をスタートさせた女優のハ・ヨンスさん。芸能活動以外に、過去に生理用品ブランドと共同で児童福祉施設へ生理用品の寄付を行った経験を持ち、現在も「困っている子を救いたい」という思いを抱いていると言います。

寄付のきっかけとなった“生理の貧困”への問題意識から、日韓の女性の健康にまつわる文化の違いなどについてお話を伺いました。

情報や物資が足りない子どもは世の中にたくさんいる

ーエリエールのモデルに抜擢された経験から、生理用品に関心を持たれたのですか?

私は片親育ちで、そこまで余裕のある家庭環境ではなかったんです。小学校を卒業してすぐに母と暮らし始めたのですが、貧しさを感じる場面は数多くありました。

生理は中学2年生のときにはじめて来て、それからナプキンの使い方や排卵の仕組みなどは、すべて母に教えてもらって。その時ふと、「父子家庭で育った子や親がいない子は、こういうときに正しい知識を得られず、とても困るだろうな」と感じたんです。

エリスと共同で視覚障がい者の福祉施設にナプキンを寄付

それから芸能界デビューをして、日本の生理用品ブランド・エリスが韓国に本格進出したいということで、キャンペーンモデルに抜擢されました。その際に、幼少期に感じた思いから「ナプキンを寄付したい!」とメーカーに伝えたんです。メーカー側も私の提案を快諾してくれ、キャンペーンモデルを務めるかたわら、エリスと共同で視覚障がい者の福祉施設にナプキンを寄付しました。

ーそれはすばらしい活動ですね。韓国では以前から生理用品の寄付が盛んに行われていたのでしょうか?

韓国では近年、生理用品の寄付活動を行う団体や人が増えています。家が貧乏であることを周りに知られたくないからか、保健室の先生に「ナプキンをください」と言えない子が多いみたいで。過去に、上履きのインソールをナプキンの代わりに使っている女の子がいると、大きなニュースになったこともあります。それくらい、お金がない子たちは誰にも言えず、不憫なやり方で生理期間をやり過ごしているんです。

ーそんな状況に追いやられる子がいるとは、深刻な問題ですね。生理用品において日韓の違いを感じたことはありますか?

月経カップやナプキン、タンポンは日本とほぼ同じものが流通しています。値段はそれぞれですが、ナプキンが一般的です。韓国も日本も、コンビニで生理用品を買うと黒い袋に入れるのは変わりませんね。環境問題を意識して、月経カップを使う人は増えていますが、私は外出時に月経カップが満杯になってしまうのが心配なので、日常的には使っていないです。

韓国では昔、国産のナプキンに人体に有害な成分が混入していることが判明し、大きな問題になりました。私はそのときかなりショックを受け、両手にあふれるぐらいの生理用ナプキンをドイツ旅行で買って帰りました(笑)。ドイツでは当時から100%オーガニックのナプキンも数多く発売されていて。でも今は、日本でも韓国でも、オーガニックなナプキンを気軽に手に入れることができますよね。

 ー女性の特にセンシティブな部分に触れるナプキンに、有害な成分が入っていたとはショックですね。少し話題を変えて、韓国では、PMSや月経がある場合、どのように対処するのが主流ですか?

 PMSや月経などの症状がひどい女性の間では、IUS(※1)が流行っています。日本円で10万円以上するようですが、効果が数年続くので、取り入れている人は多いみたいです。ミレーナが体に合わない場合は、避妊具インプラノン(2)を試す人もいますね。

私の10〜20代は生理痛がそこまでハードではなかったのですが、30代になったら生理痛を感じやすくなり、生理前に気持ちが揺らぐことも多くなりました。その際に、生理痛を緩和してくれる痛み止めの錠剤を飲みますが、本音をいえば化学的な薬は極力飲みたくありません。なのでPMSで落ち込んだときは、いつも気合いで乗り越えています。

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山田佳苗
フリーランスエディター・ライター。ファッションからライフスタイル、ビジネスまで幅広く携わっています。根っからのカルチャーっ子なので、その文脈で熱いファムテック情報を記事にしたいと思案中。