PMS/生理 フェムテック/ケア by 山田佳苗

自身の家庭環境から悟った“生理の貧困”

20代後半に腫瘍を摘出 身近になった「がん」という病気

ー健康面での印象的な出来事はありますか?

20代後半に、左脇周辺がうまく動かせないくらい痛くて、検査をしたんです。そしたら、両脇に計3つの腫瘍ができていて。韓国では、乳がんはレベルが6段階に分かれていて、レベル4から乳がんだと言われています。私の3つ腫瘍のうち1つがレベル3で、今後レベル4になる可能性があるから取る必要があると言われ、摘出手術をしました。

60万円も出術費用がかかってびっくりしたのですが、腫瘍を摘出したことで目の前の不安が解消され、気持ちは一旦落ち着きましたね。でも、またいつ見つかるか分からないので、油断できないなと思っています。実は私の友人にも、胸の腫瘍の摘出手術をした子がいて。それまでがんは遠い存在でしたが、この件をきっかけに誰でもなる病気なのだと思い知らされました。そろそろ健康診断の時期なので、韓国に帰って診てもらわないといけないなと思っています。

 ーそれは大変な思いをされましたね。日本では乳がんは女性がいちばんかかりやすいがんだと言われています。

 そうなんですね。また、韓国では20歳になる前から子宮頸がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)のワクチン・ガーダシルを3回接種することが一般的です。私も母に「絶対やらないといけないから」と病院に連れられ、注射を打ちました。男性もそのウイルスを持っている可能性があるので、打つ人は多いと思います。日本はワクチンの接種が必須ではなく、やらないよりやったほうがいいといったスタンスですよね。

ー日本ではやっと子宮頸がんのワクチン接種が普及してきましたが、韓国との意識の差がそこまであるとは思いませんでした。それでは最後に、これまでの経験から今後どのような活動をしていきたいですか?

やはり、子どものころの大変だった記憶が心に焼き付いているので、ゆくゆくは、貧困家庭の子どもたちを助けるプロジェクトを企画・運営したいです。以前、ネクタイの結び方や、水道の修理方法、DIYのやり方など、父親が教えてくれる豆知識を紹介するYouTubeチャンネル『Dad How Do I』が大流行しているという記事を見たことがあります。

私もこのYouTubeのように、母親が教えてくれるような、女性の体の変化や体のケアの方法、病気の対処法などを紹介するコンテンツを発信してみたいなと。日本に来たばかりなので時間がかかるかもしれませんが、いずれ困ってる子たちの一助となる活動をやっていきたいですね。

※1 IUS

子宮内避妊器具(IUD)に、ホルモン徐放剤を含ませたもの。子宮の中にT字型の小さな器具を装着する

※2 インプラノン

上腕の皮下にホルモンの徐放剤を含んだ棒状のプラスチックを埋め込むもの。3年効果が続き、避妊効果や月経量が少なくなる効果がある。

ハ・ヨンス

ネットショッピングのモデルで注目を浴び、2013年に映画『恋愛の温度』で芸能界デビュー。テレビドラマ『伝説の魔女』『コント・アンド・ザ・シティ』『リッチマン』に主演するなど、映画やドラマなどに多数出演。2022年から本格的に日本で芸能活動を開始する。

Instagram:@hayeonsoo_

photographer Shiori Ota

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山田佳苗
フリーランスエディター・ライター。ファッションからライフスタイル、ビジネスまで幅広く携わっています。根っからのカルチャーっ子なので、その文脈で熱いファムテック情報を記事にしたいと思案中。