
生理前の眠気にどう対処する? 婦人科医がアンサー!
生理前になると「猛烈な眠気に襲われる」「しっかり寝たはずなのに日中も眠い」と悩んでいる女性は多いのではないでしょうか? 実はそれ、女性ホルモンの影響かもしれません。忙しい現代女子のライフスタイルに寄り添ったアドバイスに定評がある、婦人科医・松村圭子先生に、生理前に眠たくなる原因と対策について教えていただきました。
生理前に眠くなる原因は?
生理前に眠くなる経験は、多くの女性がしていることでしょう。これは、生理周期によって変化する女性ホルモンの影響が大きいと松村先生。
「生理前に眠たくなるのは、“体を休ませて”という女性ホルモンのサイン。眠気が強くなるのは、ホルモンがしっかり作用している証拠なので、そういった意味では正常です。できれば我慢せずに眠たいときに寝るのがベストですが、それが無理ならできるだけ質のいい眠りを得るための工夫が必要です」
まずは夜の眠りをしっかり確保
生理前の眠気と上手に付き合うには、夜しっかりと眠ることが第一。そのためには、眠る前は交感神経を刺激しないことが大切です。自律神経は、呼吸や体温、心拍の調整など、生きていくための活動に欠かせない神経で、交感神経と副交感神経から成り立っています。体の機能を活発にする必要がある日中は交感神経が優位に働き、体を休ませる夜は副交感神経が優位に働くというのが本来のバランスです。
「質のいい睡眠のためには、ベッドでのスマホは厳禁。頭が覚醒して脳が興奮し、交感神経が優位になって眠りにつきにくくなります。また、実は寝る直前の歯磨きもNG。ミントの効果で口の中はスッキリしますが、頭もシャキッとして目が冴えてしまいます。歯磨きは食後すぐにすれば、食べ過ぎを防ぐことにも役立ちます」(松村先生・以下同)
体温を下げるには入浴が効果的
「人は体温が下がるときにすんなりと眠りに入れるので、夜はお風呂に浸かって体温を上げてください。お気に入りのアロマを垂らして入浴すればリラックス効果もあります」。
お風呂で体を温めておくと、布団に入るときには自然と体温が下がってきて、入眠しやすい状態になります。眠りの質を良くするには、ぬるめのお湯にゆっくり浸かり、ベッドに入る90分程前にすませておくのがおすすめです。
ベッドルームは寝るための空間に
眠るときの環境を見直すことも、睡眠の質アップへとつながります。
「ベッド周りは物を減らして、目から入る情報を減らしてください。カレンダーのような生活感が出るものも置かない方がいいでしょう。また、寝るときは、必ずパジャマに着替えます。肌ざわり、吸湿性、通気性のよいものを選びましょう。パジャマを着ることで、“これを着たら寝る合図”と脳に覚えさせると、パジャマに着替えるだけで体は眠る準備を始めるようになります。寝返りも打ちやすくなり、朝までぐっすり眠れるようになります」
どうしても眠れない夜は、無理に眠ろうすると逆効果になってかえってストレスになるので、ベッドから出て、好きなことをして過ごしましょう。
「一つだけ守ってほしいのは、朝起きる時間を決めること。そうすることで、夜になると自然と眠れるようになります」
我慢せずに昼寝もOK
生理前は女性ホルモンの影響で体温が上がるため、いろいろ対策をしてみても眠りが浅くなり、日中眠くなってしまうこともあるでしょう。そんなときはいっそのこと眠ってしまうのがいいと松村先生。
「日中眠くなる場合は、昼寝がおすすめです。ただし、夜の眠りに影響を及ぼさないようにするためには30分以内のお昼寝を。仕事場のデスクなどで仮眠をとるときは、コーヒーを飲んでから寝ると、カフェインの作用で自然と20~30分程度で起きられます」
自分に合う対策法を見つけて、毎月訪れる眠気と上手に付き合っていきましょう。
松村圭子先生
まつむら・けいこ 婦人科専門医。成城松村クリニック院長。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学附属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。月経トラブルから更年期障害まで、女性の一生をサポートする診療を心がけ、アンチエイジングにも精通。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。『これってホルモンのしわざだったのね』(池田書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など著書多数。
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