生理×男性の組み合わせが話題! NHK特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』演出・橋本万葉さんの挑戦
2023年3月24日に放送されるNHK特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』。生理をテーマにしたドラマであり、原田泰造さん演じる、“生理のおじさん”が主人公です。これまでにはあまり見られなかった、生理をテーマにしたストーリーにおじさんを組み合わせたチャレンジングなドラマは、どのように制作されたのか。その背景、ドラマを通して伝えたいことなど、演出を担当した橋本万葉さんに伺いました。
INDEX
- PAGE 1
- 今までのドラマでは生理が描かれていないと気づいた
- PAGE 2
- 女性の中でも考え方や感じ方は違う
- PAGE 3
- 生理を楽にしてもいいという新しい気付き
今までのドラマでは生理が描かれていないと気づいた
-生理をテーマにしたドラマ制作のきっかけを教えてください。
最初のきっかけとなったことを振り返ると、2019年に二人目の子どもを出産して育休を取得した時です。「この先、どのようなドラマを制作していきたいか」と、考えていたのですが、そのタイミングで日本のジェンダー・ギャップ指数が121位というデータを目にしました。同時に、そのことに対して多くの女性たちがSNSで声を上げていることを目の当たりにして、男性の多いドラマ業界で働きながらモヤモヤしていたことが、「こういうことだったんだ!」と気が付きました。
そこから「今後は女性を応援するようなドラマを作っていきたい」という想いを持ち、具体的にどういうドラマを作ろうかと考えました。その時に生理の歴史について書かれている記事を拝見し、女性の生きにくさを解消するために尽力されていた歴史上の方々の功績に感謝する一方で、タブーとされている事実は変わっていないと。
実際、私もドラマの制作に携わっているものの一度も女性が生理中であるという描写をしたことがなかったので、「チャレンジする価値があるのではないか」と思ったことが、制作を始める最終的な決め手でした。
-『生理のおじさんとその娘』は、生理にくわしいおじさんが主人公ということがポイントになっていると思います。
今回のドラマで一番描きたかったことは、生理のある当事者と生理のない非当事者の間にあるコミュニケーションです。
生理のない人の代表としてお父さんがいて、その娘とのやりとりがドラマのメインになってきます。その二人が生理を通して、あることをきっかけに親子喧嘩をしてしまうのですが、それをどのように乗り越えていくのか。その模様を描いているので、女性だけに限定しない話なのかなと考えて、男性が主人公になっています。
-演出するうえで、生理がテーマになっているからこその難しさはありましたか?
生理は、まだネガティブなワードだと思っているので、とにかく楽しいドラマにすることを一番意識しました。それは、ストーリーの内容だけではなく、視覚的にも明るい雰囲気にしたり、衣装の色だったり、細かいところも含めてです。
そして生理には、女性の中でもいろいろな考え方があり、女性同士でも分かり合えない部分があると思います。その人が生理についてどのように考えているかというのは、仲のいい友達にもあまり話さないことなので、よく分からないですよね。
明るい性格だからオープンに話すのかというとそういうわけでもないと思いますし、固定観念に捉われないということも含めて、「こういう役だからこうだよね」と決めすぎてしまうと、生理の話にはそれは通じなくなってしまいます。だからこそ、少し複雑にキャラクターを構築していくということも意識して考えました。
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