by 木川誠子

セックスレスの問題から日常的なケンカまで、パートナー間の悩み解決するカップルセラピーという選択

セラピーを通して、お互いが思っていたことを明確にできる

「相手にとって何が不満なのかが漠然としている場合は、セラピーを通して輪郭化することで『来てよかった』と思ってもらえることが多いと感じています。

例えば、生理の影響で気分が落ち込んだり、調子が悪いことがあったりした時、女性は言葉にしなくても労わってほしい、何か手伝ってほしいと思う一方で、パートナーは女性の気持ちにまったく気が付いていないケースがあります。そのすれ違いによってケンカが起こることもあると思いますが、セラピーを受けることでお互いが感じていたことや期待していたことが明確になります。

その後は、すれ違いに対する具体的な解決法をカウンセラーが提案します。例えば、怒りや悲しみなどの負の感情をコントロールする方法や、相手に伝わりやすいコミュニケーションの取り方などです。

『そんなことも相談していいんですね』と言われることがありますが、些細だと思うことでも、また、普段は言いづらい内容を語る場所としても、セラピーを活用していただきたいと思っています。また、必ずしもおふたりで受けてもらう必要はありません。おふたりでも、おひとりでも、好きな形で活用していただけます」(久保田さん)

思っていることを心の外に出すことで落ち着く

「心理学の視点では、心の外在化といって、心の中に思っていること、感じていることを心の外に出すというプロセスがあります。心の外在化をすることで落ち着くことができます。

ただ、心の外在化を家族や友達にすると、否定されたり、理解されなかったりすることもあると思います。そうすると、『こういうことは話さないほうがいいんだ』と、外に出すこと自体をしなくなることがあります。

カップルセラピーでは、カウンセラーが意見を受け止めます。『ここでは何を話してもいいんだ』と思ったうえで話していただくと、客観的に自分の思っていることを知ることにもつながります。おふたりでセラピーを受けていただいた時は、パートナーが話すことによって、『私はこう思っていたけど、あなたはそのように捉えていたんだ』と、お互いのことも客観的に知れます。

カウンセラーは、どちらかの味方をすることもありませんし、正しい、正しくないとジャッジすることもしません。あくまでも中立の立場で、おふたりの間にある課題に対して、おふたりで答えが出せるようにサポートする役割です」(今井さん)

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木川誠子
出版社勤務を経て2009年よりライター・エディターのフリーランスとして活動。ウェルネスや美容、ライフスタイルのコンテンツを発案し、ディレクションから執筆まで一貫して携わる。2016年から兼ねてより関心のあったフェムテック領域に本格的に取り組み始め、フェムケアをはじめ、五感を通して自分を知るための”フェムアートプロジェクト”を立ち上げる。2022年には「株式会社k company」を設立し、その実践の場を創造・提供している。ライフオーガナイザー1級/アロマ心理/公認フェムテックマイスター(TM)