PMS/生理 フェムテック/ケア by 木川誠子

PMSの改善に有効なハーブとして話題!チェストベリーって?

PMSや月経不順、月経痛などの改善に有効と、チェストベリーというハーブに注目が集まっています。まだまだ知られていないチェストベリーの特徴や効果効能について探っていきましょう。

歴史がある伝統的なメディカルハーブ

チェストベリーとは、地中海沿岸地域やアジアなどに自生するチェストツリーの果実のこと。夏になると淡い紫色の花が咲き、レモンのような爽やかな香りがすることもあり、庭木としても楽しめます。

その歴史は古く、ギリシャ・ローマ時代から、チェストベリーの抽出物が婦人科系疾患の治療に用いられていたと言われているほど、伝統的なメディカルハーブです。

チェストベリーのチェスト(chaste)は、清純や貞操など意味があるそうで、学名表記は汚れなき子羊という意味がある、 agnus castus 

ギリシャ神話では、結婚、母性、貞節を司る女神であるヘラは、チェストツリーの下で生誕したと言われていたり、中世では、修道僧の性欲を撃退させるためにも使われていたり……と、さまざまな逸話もあるようです。

チェストベリーの働きとは?

このように古くから、月経や妊娠にまつわることなど、婦人科系疾患の治療に用いられていたチェストベリーは、現代になって科学的な研究が進み、女性ホルモンのバランスを整える作用があることが徐々に明らかになってきています。

チェストベリーが注目されている理由としては、フェムテックの大きなムーブメントもありますが、もっとも重要なのは、脳下垂体に直接働きかけること!この働きによって、黄体形成ホルモンの分泌は促しつつ、卵胞刺激ホルモンの分泌をセーブ。女性ホルモンと呼ばれているエストロゲンとプロゲストロンのバランスが整うことにつながります。

女性ホルモンと聞くと子宮や卵巣を思い浮かべる人も多いと思いますが、分泌を司っているのは、実は脳の視床下部です。

まず、視床下部が脳下垂体に「ホルモンを分泌せよ!」と命令を出します。すると、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンが分泌され、卵巣に作用します。そして、エストロゲンとプロゲステロンが分泌されるというのが、ホルモン分泌の流れ。

黄体形成ホルモンには、排卵とプロゲステロンの分泌を促す役割があり、卵胞刺激ホルモンには、卵胞の成長とエストロゲンの分泌を促す役割があります。いわゆる女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンとプロゲステロンは、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンが正常に働くことで、バランスのいい状態が保てます。その結果、女性ホルモンに影響されるPMSをはじめ、月経不順、月経痛などの不調の改善が期待できるのです。

チェストベリーの取り入れ方

ホルモンバランスを整えてくれる作用のあるメディカルハーブのチェストベリーは、さまざまな形で取り入れることができます。ここでは、代表的な方法をご紹介します。

ドライタイプをハーブティーとして

ハーブティーは身近にある飲み物なので、取り入れやすいですよね。チェストベリーは、香辛料として使用されることもあるくらいなので、辛み、苦みを感じるかもしれません。その場合は、ハチミツなどで甘みをプラスしたり、他のハーブとブレンドすることで飲みやすくなります。

サプリメントとして定期的に摂取する

最近は、チェストベリーを配合したサプリメントが増えてきています。手軽に取り入れられるうえ、一定量を摂取することができる点が魅力です。

精油で多角的に取り入れる

精油はいろんな取り入れ方ができます。アロマディフューザーなどで香りを楽しめますし、ホホバオイルやアーモンドオイルなどのキャリアオイルに混ぜてアロママッサージをするのもおすすめです。お風呂が好きな人は、塩と合わせて入浴剤として取り入れることもできます。

23ヶ月は継続して使ってみる

ハーブであるチェストベリーは、市販薬とは異なり、ゆっくりと穏やかに効果をもたらしてくれます。そのため中長期的に使用することが大切。23ヶ月を目安に、様子を見ながら続けてみてください。

ホルモンバランスが崩れやすく、PMSの症状が現れる、排卵から月経前の期間に用いるとより効果を感じやすいと言われているので、参考にしてみてください。また、服用している薬がある場合は、自己判断はせず、専門医に相談することを忘れずに。

田端春奈氏

ノバスコシアオーガニックスジャパン代表取締役。自身の体調不良をきっかけに植物療法を本格的に学び始め、2008年にカナダのオーガニックハーブサプリメントブランド「ノバスコシアオーガニックス」の輸入を開始。ハーバルセラピストの資格を持ち、(はははるな)というペンネームでハーブ漫画を描いている。二児の母。

https://novascotiaorganics.jp/

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木川誠子
出版社勤務を経て2009年よりライター・エディターのフリーランスとして活動。ウェルネスや美容、ライフスタイルのコンテンツを発案し、ディレクションから執筆まで一貫して携わる。2016年から兼ねてより関心のあったフェムテック領域に本格的に取り組み始め、フェムケアをはじめ、五感を通して自分を知るための”フェムアートプロジェクト”を立ち上げる。2022年には「株式会社k company」を設立し、その実践の場を創造・提供している。ライフオーガナイザー1級/アロマ心理/公認フェムテックマイスター(TM)