PMS/生理 by 木川誠子

ピルの副作用のひとつ、血栓症って何? 知っておきたい血栓症のリスク〈医師監修〉

医師がピル処方していることでリスクは下がっている

「実は、遺伝的に血栓症になりやすい人がいるのですが、日本人は欧米人と比べてその遺伝子の保有率が低いことが知られています。また、ピルを薬局で販売している国がある中で、日本では医師による処方が必要なのは、リスクを見誤らないためです。

リスクが高いと判断してピルが処方できないケースは大きくふたつあります」

1.タバコを1日15本以上吸っている

「WHO(世界保健機関)では、35歳以上で1日15本以上タバコを吸う人にはピルを処方してはいけないと決められています。そういう人たちには、エストロゲンを増やさない形で月経コントロールができる、ミレーナやミニピルなどの他の選択肢を検討いただきます」

2.前兆のある片頭痛がある

「女性は片頭痛を持っている人が多いのですが、“前兆がある”かどうかがポイントになります。例えば、生理の時や肩こりから起こる頭痛の場合は当てはまりません。

前兆とは、キラッと目の前が光った後に頭痛が起こるケースです。その場合は、ない人と比べて脳卒中の引き起こすリスクが約2倍。ピルを服用することでそのリスクをさらに高めてしまいます」

ピルのメリットを活かすためにもリスクを知る

「医師がピルを処方する際は、飲み始めの1ヶ月がもっとも血栓症になる確率が高くなることも含めて、必ずリスクについての問診をし、場合によっては注意喚起のカードをお渡しします。

医師から処方されてピルを飲んでいる場合は、血栓症のリスクは低いと思って問題ありません。ただ、ピルのリスクを知ったうえで普段と違う症状が出てきて新しい医療機関にかかる時には、ピルを飲んでいることを申告することでより安心して診察や治療を受けることができます」

池田裕美枝先生

いけだ・ゆみえ 京都大学医学部卒業。「市立舞鶴市民病院」「洛和会音羽病院」にて総合内科研修後、産婦人科に転向。現在は「二宮レディースクリニック」での産婦人科外来、「神戸市立医療センター中央市民病院」の女性外来、「京都大学医学部附属病院」の女性ヘルスケア外来を担当。また、SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ)の勉強会や調査、啓もう活動を行う一般社団法人SRHR Japanの代表も務める。

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木川誠子
出版社勤務を経て2009年よりライター・エディターのフリーランスとして活動。ウェルネスや美容、ライフスタイルのコンテンツを発案し、ディレクションから執筆まで一貫して携わる。2016年から兼ねてより関心のあったフェムテック領域に本格的に取り組み始め、フェムケアをはじめ、五感を通して自分を知るための”フェムアートプロジェクト”を立ち上げる。2022年には「株式会社k company」を設立し、その実践の場を創造・提供している。ライフオーガナイザー1級/アロマ心理/公認フェムテックマイスター(TM)