コンドームだけじゃない! ピル、IUD(子宮内避妊具)、避妊パッチに男性不妊手術……女性主体の「避妊方法」
INDEX
「男性の不妊手術」という選択肢
「避妊方法としてさらに知っていただきたいのが、男性の不妊手術です。女性の不妊手術は簡単にはいかず、一般的ではないと先ほど申しましたが、実は男性の不妊手術は女性に比べて圧倒的に手術が簡単なんです。
日帰り手術ができるほど手軽で避妊率も高いのですが、一度手術を受けると2度と子供を授かることができなくなってしまうデメリットも。お子さんを望んでないカップルや子どもを授かり終わったご夫婦などに検討いただきたい避妊手段です」
―男性の不妊手術とは意外でした。ただ、知っていれば避妊についてカップルで話し合う際、候補に上がる可能性もありますし、女性にも必要な知識ですね。
「男性が不妊手術を受けたとしても、男性ホルモンのテストステロンが抑えられるわけではないので、性機能には全く影響がありません。たとえば今後も妊娠を望まないカップルで、ピルが身体に合わない女性パートナーを持つ男性などには、ぜひ視野に入れて欲しい方法です」
―男性側から提案してもらえると有難いですよね。「不妊手術を検討して欲しい」とは言い出しにくい女性も少なくはない気がします。
避妊法の選択肢を持つことは「女性の生きる権利」
「妊娠や出産という人生を左右する大きな出来事が『なんとなくコンドームを付けていたら大丈夫』といった不確かで男性任せの避妊法によって、半ば“運任せ”のように行われていることに、女性たちはもっと問題意識を持ったほうがよいと私は思っています」
―「いつ妊娠をして、子供を何人授かるのか」などは、明確な意思を持って選択したほうがよいですよね。
「そうですね。だから、『結婚したら出産して当然』とか『女性は子供を産んでこそ幸せ』などといった社会通念を押し付けられるのもおかしなことなのです。
私が日々、研究を行っている『SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ)』という考え方では、『自分の体や人生は自分自身のもので、誰かに強制されたり、捧げるものではない。“どんな人生を送るのか”の決定権は自分自身にある』という理念を大切にしています。
住む場所や職業を自分自身で決めるのと同じように、誰もが安全で効果的な避妊法の選択肢を持つことができ、女性たちが妊娠・出産にまつわることをもっと自由に選んでいける世の中になったら嬉しいなと思っています」
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池田裕美枝先生
いけだ・ゆみえ 京都大学医学部卒業。「市立舞鶴市民病院」「洛和会音羽病院」にて総合内科研修後、産婦人科に転向。現在は「二宮レディースクリニック」での産婦人科外来、「神戸市立医療センター中央市民病院」の女性外来、「京都大学医学部附属病院」の女性ヘルスケア外来を担当。また、SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ)の勉強会や啓もう活動を行う研究会「 SRHR Initiative」の代表も務める。
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