イライラ、ほてり、関節痛……もしかしてプレ更年期かも?〈医師監修〉
自律神経の乱れが更年期のような症状を引き起こすことも

女性ホルモンの数値を調べ、エストロゲンの分泌量が十分に保たれているにもかかわらず、更年期のような症状に悩まされる場合は、自律神経が乱れている可能性も考えられると槍澤先生。
「ストレスや疲れ、睡眠不足、生活習慣の乱れなどで自律神経が乱れると、頭痛やめまい、イライラ、不眠といったさまざまな症状が現れやすくなります。月経が順調なのに不調が続く場合は、自律神経の乱れが原因かもしれません。まずは生活習慣を整えるように心がけてみましょう。クリニックでは、症状に合わせて自律神経の乱れを整えるのに適した漢方を処方することで改善する方も多くいらっしゃいます」
漢方薬は、ドラッグストアや漢方薬局などでも手に入ります。少し飲んでみて症状が改善しない場合は、医師に相談した方が良いでしょう。
他に、月経前症候群(PMS)を更年期と勘違いしているパターンもあるそう。PMSの場合は、月経の3~14日前くらい前になると、イライラや不安、集中力の低下、だるさ、食欲不振、過食などの不調が起こります。月経前になると、女性ホルモンが大きく変動することが不調を引き起こす一因とみられていますが、更年期とは違って月経がくれば症状は緩和されます。月経前だけ体調が悪いという人はPMSの可能性がありますので、婦人科で相談してみるといいでしょう。
基礎体温をつけて体調の変化を知る

では、プレ更年期と上手に付き合っていくためには、どんなことを心がけたらよいのでしょう?
「まずは毎日、基礎体温をつけてみてください。あわせて体調の変化、どんな症状が起こったかを記しておけば、月経周期の時期によってどう体調が違っているのかが分かりやすくなります」(槍澤先生)。
女性の基礎体温は、体温が低めの低温期と、黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用によって体温が高くなる高温期があり、低温期から高温期になる境目が排卵期です。この二相のパターンが繰り返されていれば、排卵の機能は安定しています。しかし、更年期が近づいてくると、少しずつ卵巣の機能が低下し、それに伴って月経周期や基礎体温にも変化が現れます。
更年期に入り、閉経に近づくと、二相にはっきりと分かれていたグラフが、低温期と高温期の区別がつきにくいグラフに変化していきます。高温期を作っていたプロゲステロンが減少するためです。ただし、基礎体温が理想的なグラフにならないからと気にしすぎるのは禁物。ストレスや心配事は、プレ更年期の不調を作り出す一因になります。あくまでも体の変化を把握するためのデータとして活用しましょう。
>>基礎体温計に関する記事はこちら:『意外とハードルは低い! 基礎体温の活用法』
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槍澤ゆかり先生

うつぎさわ・ゆかり
医学博士、1995年岩手医科大学医学部医学科卒業。同産婦人科勤務後、2002年より湘南鎌倉総合病院、葉山ハートセンター婦人科勤務。2005年より横浜元町女性医療クリニックLUNA勤務、2008年6月院長就任。2012年女性医療クリニックLUNA横浜元町院長就任。日本産科婦人科学会専門医。
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