フェムテック/ケア by 寳田真由美

たけのこ、アスパラ…春に旬のものを食べて心と体をケア

四季のある日本では、季節に応じて旬の食べ物をさまざまに楽しめます。旬の食材は安くておいしいだけでなく、栄養もたっぷり。その時期体に必要な栄養素を効率よく摂れたり、目や舌で季節を感じられるなど、旬の食材を食べることのメリットや、食事の楽しみ方について、管理栄養士の成澤文子さんに伺いました。

旬の食材は、栄養が豊富

栽培技術の発展などにより、1年を通じて店頭に並ぶ食材は多くありますが、実は、本来の収穫時期にとれたものを食べることは、体を整えるために大変役立ちます。

「旬のものは味が濃く、風味も豊か。余計な味付けをしなくても、シンプルにおいしさを楽しめます。また、同じ野菜でも、季節によって栄養の含有量は変動します。旬の食材は栄養価が高く、その時期に必要な栄養素をたっぷり含んでいます」(成澤文子さん・以下同)

例えば、冬が旬のほうれん草は、夏にとれるものに比べて、ビタミンCの含有量が約3倍も含まれています。寒さの中で凍らないように水分を放出し、糖分を高めてじっくりゆっくり育つので、甘みも増しておいしくなります。

春に旬を迎える食材を聞いてみました。

「山菜やたけのこやアスパラガスの他、スナップエンドウ、そら豆のような豆類も春においしい食材です。料理に旬の食材を取り入れることで、季節感を楽しめるのはもちろん、栄養を効率よく摂ることができます」

下の写真は、成澤さんの『春のお弁当』。
青豆や菜の花、薄ピンク色の桜の塩漬けなど旬の食材が器を彩り、爽やかな春の訪れを感じさせてくれます。

    
写真/成澤文子さん

●春のおすすめ食材

“たけのこ”でむくみ対策

日本人に不足しがちな食物繊維が豊富。特に、水に溶けずに水分を吸収して膨らむ不溶性食物繊維が多く、便のカサを増やして便秘を予防するなど、お腹の調子を整えるのに役立ちます。ナトリウム(塩分)を排泄する役割のカリウムも多く、むくみ対策にも。朝晩と日中の気温差が大きく気圧が低い春は、むくみやすい季節なので、積極的に摂りたい食材の一つです。煮たり、焼いたり、たけのこご飯にしたり、食べ方もさまざまに楽しめます。

腸内環境を整える“アスバラガス”

春採りのものは筋もやわらかく、食べやすいのが特徴。ほのかな甘さで、どんな食材ともマッチします。栄養素の代謝を活発にして体内でエネルギーを作り出すビタミンB群や、抗酸化作用のあるβカロテン、ビタミンCEを含むので、細胞の老化防止や美肌にも◎。穂先には、フラボノイド色素の一種であるルチンが含まれ、血管を丈夫にする働きもあります。

また、アスパラガスに含まれるフラクトオリゴ糖は腸内環境を整え、健康のために役立つという報告も。鮮度を保つためには、立てて保存しましょう。

紫外線予防に“スナップエンドウ”

さやごと食べられるので、さやに含まれるβ-カロテンも摂取できるのが◎。βカロテンは、体内でビタミンAに変わり、活性酸素を減らす抗酸化作用があります。また、コラーゲンの生成に欠かせない抗酸化作用のあるビタミンC100gあたり43mgと豊富。ビタミンCは水溶性で熱に弱いので、調理の際は水や熱に接する時間を少なくしたり、スープにして汁ごといただくのがおすすめです。

春は紫外線が強くなる季節だけに、活性酸素の働きを抑えてくれる抗酸化食品はしっかり摂りたいですね。

“そら豆”は代謝が上がる春に最適

そら豆に豊富に含まれるビタミンB群は、体内でエネルギーを作り出す際に重要な栄養素。代謝が徐々に上がるこれからの時期に不可欠です。ビタミンB群の一種、葉酸も豊富。筋肉などの体の組織を作るたんぱく質、体の中の余分なナトリウム(塩分)を外に出すカリウムのほか、鉄、亜鉛、銅などのミネラルが多いのも特徴です。

さやごと丸焼きにすると、甘味が引き立ち、ホクホクとした食感も楽しめます。鮮度を保つため、さやつきのものを選び、さやつきで保存しましょう。そら豆に多く含まれるビタミンB1は、にんにくや玉ねぎに含まれるアリシンと一緒に調理すると体への吸収がアップします。

季節に合わせて、テーブルコーディネートを変化

食事の効能は、栄養を摂ることだけではありません。

「規則的な食事は体のリズムを調整する大切な役割がありますし、リラックスして食事を楽しむことは、自律神経系の安定化にも役立ちます。味や香りを堪能する、好きな人と食事を囲む、季節に応じてテーブルコーディネートを楽しむなど、忙しい日々の中にもちょっとしたゆとりを取り入れて楽しみたいですね。

私は春、明るい色合いのクロスや食器を選び、季節のお花を添えて気分を上げています」


写真/成澤文子さん


ある日の成澤さん家の朝食。

箱の中に、旬のそら豆を使った炊き込みご飯、鮭の幽庵焼きなどが上品に盛りこまれています。まるで旅館の朝食のような趣で、ゆったりとした朝の時間を過ごせそう。そっと添えられたハナミズキの花は、庭に咲いたものだそうです。春の訪れを感じさせてくれますね。

忙しく過ごしていると、ついつい季節の変化に気づきにくくなってしまうものですが、そんな時こそ、旬の食材を食べて、心と体を満たしてあげましょう。

 

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成澤文子さん

なりさわ・あやこ 管理栄養士・料理研究家。2011年「日本一家庭料理がうまい女性決定戦」(日本テレビ系)にて有名シェフ審査員10名満場一致で「初代レシピの女王」となる。
その他料理コンテスト多数受賞。家庭で作れる本格レシピが人気。メディア、企業に向けたレシピ提案から、食育指導、特定保健指導など健康支援でも活躍中。

Instagram:@ayako_narisawa

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寳田真由美
編集者、ライター。大学卒業後、出版社や編集プロダクションに勤務。情報誌や女性誌、旅行誌などの編集を経て、2000年よりフリーランスで活動。現在は、主に女性のライフスタイルや健康、医療記事の編集・執筆などを行う。いま一番はまっているのは、愛犬と旅するためにはじめたキャンプ。