フェムテックが社会で活躍する女性を後押し!各企業の取り組みを総まとめ
2021年はフェムテック元年と言えるほど、認知が広がり、さまざまなサービスや製品が誕生しました。引き続き、ムーブメントが起きている中で、フェムテック企業と異業種企業とのコラボレーションが増えていることからも分かるように、フェムテックが働く女性の活躍を広げる後押しとなっているようです。その取り組みをリサーチしました。
INDEX
『花王』や『ロート製薬』は社内制度でサポート
生理用品、美容アイテムを製造する『花王』は、2008年から女性の健康への取り組みを行っています。相談窓口を設けるほか、定期検診に婦人科ガン検診を組み込みながら、ガンが発見された場合は就業配慮や職場復帰後のフォロー面談などでフォローアップ。
また、製薬会社『ロート製薬』は、婦人科検診の無償化をはじめ、貧血・隠れ貧血対策としてセミナーを実施し、社内食堂では対策メニューを提供するなど、多角的に取り組んでいます。
このように福利厚生も含め、女性の健康課題を意識した社内制度が各企業で一般化してきている印象があります。そして、一般企業がフェムテック企業とタッグを組んで充実化を図る流れも高まっています。
LCCの『ZIPAIR Tokyo』は吸水ショーツの機内販売を開始
日本初の中長距離国際線LCC(格安航空会社)の『ZIPAIR Tokyo』は、超吸水型サニタリーショーツブランド『Bé-A』と業務提携を締結。その第一弾として吸水ショーツの機内販売をスタート。その経緯について、『ZIPAIR Tokyo』の西山さんにお話を伺いました。
「弊社は、2018年の設立当初から女性活躍推進に取り組んでいます。その一例としましては、客室乗務員の制服は働きやすさに重点を置き、着回しというコンセプトのもと、スカート、パンツ、ワンピースなどのアイテムから自由に組み合わせられるように設計しております。さらに、不安定な機内でも動きやすく、かつ疲れにくさにも配慮してスニーカーを採用しました」
客室乗務員はヒールが当たり前だった中、スニーカーを採用したニュースは、大きな注目を集めました。そんな中、成田-ロサンゼルス線の新たなる就航に合わせて、乗客がフライト中、さらには、海外滞在中も安心して過ごせるようにと、吸水ショーツ『Bé-A』の機内販売を開始。
「吸水ショーツは交換する手間がなく、繰り返し洗って使えるため、ゴミを減らすことにつながります。 SDGsの 観点からも共感できるアイテムであり、乗客はもちろん、客室業務員の働き方のサポートにもなると考えました。
このプロジェクトには客室業務員も関わっており、吸水ショーツの使い心地についてフィードバックをしながら、よりよい形で取り組みが開始できるように準備してきました。
単に機内販売を行うというだけではなく、客室乗務員をはじめとした全スタッフが、吸水ショーツについて、生理についてなどの健康課題に関する知識を深め、女性活躍推進に向けた情報を『Bé-A』と弊社の双方で発信していきながら、今後も多角的なアプローチを予定しております」
『ハグユー』は吸水ショーツで女性アスリートをサポート
同じく吸水ショーツブランドの『HUG you(ハグユー)』は、女性アスリートとの取り組みを行っています。その背景には、プロジェクトマネージャーである山口さん自身の経験が活かされていました。
「私自身、幼少期からアルペン競技スキーを中心とした生活を送っていました。その中で生理にまつわる悩みや不安などを経験したことから、日常生活のみならず、走る・飛ぶ・座るといった競技の激しい動きの中でも“漏れ” に耐えられる吸水ショーツを開発しました」(山口さん)
『HUG you(ハグユー)』の有用性をテストするために女性アスリートに協力を依頼したことが、『Wear peace of mind〜安心を着用する〜』をコンセプトとした『ハグユープロジェクト』につながっているそうです。
都内私立高校での授業中
「吸水ショーツの有用性を確かなものにするためでもあり、フェムテックをブームで終わらせないためにも、実証データは必要だと考えています。また、『HUG you(ハグユー)』のコンセプトに共感と支持をいただいた女性アスリートのみなさんから、生理に関する問題点やエピソードを聞く機会がありました。
生理周期に伴い、その期間は心身に影響が出てきます。パフォーマンスの維持にも関わってくることから周りの理解も必要だと考え、リアルボイスとして女性アスリートの生理にまつわるエピソードを届けることで、理解につながり、若い世代の意識を変えるきっかけになるのではないかと思いました」
そのリアルボイスは、【生理のエピソードをインタビュー】として、オフィシャルサイトに掲載。さらに、婦人科の医師監修による【生理に関する知識】も発信しつつ、生理について正しい知識を身につけること、男性や社会への理解と認知を深めていくことをテーマにした話し合いや講演なども行い、女性アスリートの活躍を支えています。
個人のリテラシー向上につながる
さらに、大手口コミサイト『@cosme』を展開する『アイスタイル』はリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)』の制度を導入。また、航空会社『JAL(日本航空)』、総合商社『丸紅』、生理管理アプリ『ルナルナ』を展開する『エムティーアイ』、ヘルスケアに関するコンテンツを展開する『カラダメディカ』の4社が手を組み、女性の健康課題改善に向けた共同取り組みのニュースが発表されるなど、働きやすい環境づくりにフェムテックがひと役買っているようです。
企業内の福利厚生などの制度や一般企業×フェムテック企業の取り組みが盛んになるということは、ひとりひとりの意識変化にもつながっていきます。自分が務めている会社の取り組みにも注目しつつ、少しずつ意識を高めていきたいですね。
参照:
『働く女性の健康応援サイト』
『エムティーアイ「JAL・丸紅・エムティーアイ・カラダメディカの4社による働く女性の健康課題改善に向けた共同取組みの開始について」
『アイスタイル、従業員の「リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)」に寄り添うべく、 人事制度「iselect(アイセレクト)」をアップデート ~(株)nanoni提供の「carefull(ケアフル)」を企業として初の導入~』
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