フェムテック/ケア by 保住ひろえ

『卵子凍結』の誤解って? よくある見落としがちなポイント

未来の可能性を拡げる“選択的卵子凍結”

「Grace Bank」では、自身のライフプランのためにする『卵子凍結』のことを、“選択的卵子凍結”と呼んでいるそう。その理由について、花田氏は次のように話します。

 

花田氏:「私たちは、必ずしもすべての方に『卵子凍結』をおすすめしていません。ほかのあらゆる医療行為と同じように 、経済的、時間的、肉体的に多少の負担がかかることは事実だからです。

どのくらいの想いの強さで、将来のお子さんを願うのかも、みなさんそれぞれの価値観があると思います。周りがどうこうではなく、最終的にはご自身で判断することが一番大切だと考えているからこそ、私たちは“選択的”というスタンスを大切にしています。

そのため、『卵子凍結』するにしてもし ないにしても、後悔のないようにご納得いくまで理解を深めていただくことが重要だと考えています。将来の妊娠・出産に備えて若いうちから体調を整えておく“プレコンセプションケア”という概念もあります。まずは少しでも早いうちから正しい情報を受け取り、ケアを始めていただきたいと思います」

クリニック選び≒体外受精をするクリニックの確保

『卵子凍結』という選択肢を知ったものの、採卵後に凍結保存しておくことだけにフォーカスしていた筆者。将来的に凍結保存した卵子を用いて体外受精することや、転勤やお引越しで自分の環境が変わったり、転院の可能性もあったりすることについては、全くイメージできていませんでした。

 

花田氏:「将来みなさんが、凍結保存した卵子を使用して体外受精をするとき、クリニック間の信頼関係がなければ、採卵・凍結をしたクリニック以外での実施(卵子の移送)は難しい場合があります。

すなわち、『卵子凍結』するクリニックやサービスを選ぶということは、将来、体外受精をするクリニックを選ぶこととほぼ同じです。体外受精を行っていないクリニックで採卵される方もいらっしゃるようですが、その場合には、ご自身の身体にリスク無く採卵が行えるかどうか、将来の体外受精を行えるクリニックが確保できるのかどうか、この点には大きな注意が必要です。

また、中長期で保管する場合には、保管期間内に担当の先生が独立したり、ご自身がお引っ越しされたりする可能性もあるでしょう。未婚の方であれば、パートナーの方次第で体外受精を実施したい地域が変わることもあります」

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保住ひろえ
1993年生まれ。ファッション誌のエディターを務め、美容系IT会社のコンテンツ制作部・ディレクター兼ライターに。ビューティー&ヘルスケア系のテーマを中心に執筆中。