フェムテック/ケア by 保住ひろえ

『卵子凍結』の誤解って? よくある見落としがちなポイント

最近、様々なメディアをはじめ、周りの友人からも『卵子凍結』の話題を耳にすることが増えました。いうまでもなく『卵子凍結』をする・しないは個人の自由。今年28歳になり、まだまだ働き盛りの筆者は、将来の結婚や妊娠、出産についてなんとなくイメージはしているものの、具体的な想像や自分の身体に向き合うことは後回しになっていた一人でした。

しかし今回、選択的卵子凍結保存サービス「Grace Bank(グレイスバンク)」を運営する株式会社グレイスグループの花田秀則氏のお話を聞いて、たくさんの気づきがあったと同時に、自分のヘルスリテラシーの低さを痛感……。取材で知ったことや感じたことをレポートします。

※2021年11月1日に掲載された記事です。

まだまだ誤解が多い『卵子凍結』

検索すれば、ありとあらゆる情報が手に入るいま。便利な一方で、情報がパーソナライズ化されて視野が狭まったり、玉石混交の情報により誤解や錯覚が生まれやすかったりするのは確か。そういった時代背景から、『卵子凍結』についても不透明な情報を鵜吞みにしてしまうという問題があるそうです。

花田氏:「私たちが卵子凍結保存サービスを運営していて気づくのは、『卵子凍結』は女性のライフプランの有意義な選択肢になり得るにも関わらず、クチコミやネット上に偏った情報がたくさんあり、誤解している方がまだまだ多いということです。

『卵子凍結』そのものについてはもちろん、生殖医療界の外で暮らしていると、クリニックやサービス選びも難しいところです。高額なクリニックやサービスほど高品質だと思ってしまったり、料金体系や卵子凍結の保管に明確な基準がなかったりなど、情報が不透明でトラブルになりやすいというのが現状です」

日本の生殖医療技術は世界トップクラス

ほかの医療と比べるとまだ歴史の浅い分野なのでは? 技術には大丈夫なの? 花田氏いわく、そういった疑問や不安を抱く方もなかにはいるよう。

 

花田氏:「そもそも、採卵(体外受精のために卵巣内から卵子を取り出すこと)は、国内で年間25万件ほど実施され、高い安全性が臨床で十分に証明されている技術です。意外と知られていませんが、生殖医療における日本の凍結・融解技術は非常に高く、世界でトップクラスとの評価を受けています。

そんな世界最高レベルの技術があるにも関わらず、日本は性や妊孕性に関するリテラシーが低く、ある程度高齢になって不妊が顕在化してからしかクリニックに行かないため、体外受精の出産率がとても低い現状があります」

 

出典:『アメリカでの卵子凍結

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保住ひろえ
1993年生まれ。ファッション誌のエディターを務め、美容系IT会社のコンテンツ制作部・ディレクター兼ライターに。ビューティー&ヘルスケア系のテーマを中心に執筆中。